Subject: [sg-l 5190] 素粒子メダル選考報告【修正版】
Date: 2009年7月25日 20:36:57:JST

素粒子論グループの皆様、

本日送付しました表記報告に一部誤記がありましたので、
修正の上、再送致します。

素粒子論委員会 素粒子メダル担当
船久保 公一
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2009年度第9回素粒子メダル及び素粒子メダル功労賞 選考報告書

 2009年度の素粒子メダル1件1名を以下のように選考しましたので、
ご報告します。なお、本年度は素粒子メダル功労賞は推薦がありませんでした。

			2009年度素粒子メダル選考委員会
				宇川彰  風間洋一 九後汰一郎*
				日笠健一 米谷民明
                                       (* 委員長)

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<2009年度素粒子メダル>
○坂井 典佑氏
「超対称大統一模型の提唱」

<選考経緯>
本年度は、最初の推薦募集締切の時点で推薦がなかったが、素粒子論委員会と
選考委員会の協議の上、再募集することを3月の素粒子論懇談会で決定し、幸い、
素粒子メダル5件6名の候補者推薦があった。素粒子論委員会の船久保公一委員
よりこの報告を受けて選考委員会では、先ず、メールで選考手続きの確認を
行った後、各委員から素粒子メダルについて文書で推薦を求め、委員間で
回覧した後、選考委員会を開催して協議した。その結果、
出席者の全員一致で、素粒子メダル1件1名を決めた。
なお、候補者リストに名前があがっていた坂井典佑選考委員は、
「今年度の選考・決定過程に全く関与しない」ことを申し出られたので、
これを承認し、選考は上記5人の委員のみで行った。

<受賞理由>
<素粒子メダル>
○坂井 典佑佑氏
「超対称大統一模型の提唱」
N. Sakai, Naturalness in Supersymmetric GUTs,
Zeitschrift fuer Physik C 11, 153-157 (1981)

大統一理論は強,弱,電磁の3つのゲージ相互作用を1つの単純群のもとに統一する
理論である。標準模型の実験的確立と相前後して,Georgi-Glashowにより SU(5)
大統一模型が1974年に提唱されたが、この理論にはフェルミスケールと大統一スケール
という14桁も異なる2つのスケールが内包されている。この2つのスケールを量子補正
に対していかに安定に保つかという,いわゆるゲージ階層性の問題に対し,超対称性が
その解答を与えることが示唆された。坂井氏は,Dimopoulos-Georgi と独立に、
初めてSU(5)ゲージ群に基づく超対称大統一模型の具体的かつ基本的なモデルを構成して
見せることにより,一つの魅力的で現実的な解決の可能性を提唱した。超対称性はその後
現在に至るまで標準模型を超える物理の有力な候補としてさかんに研究が続けられており,
LHC においても超対称粒子の発見がその中心的目的の一つである。坂井氏の業績は、
このような現在の実験・理論双方の研究を導く基本的な考え方の端緒を与えたものであり,
その重要性と影響力の大きさは素粒子メダルで顕彰するにふさわしいものである。

以上
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(担当者補足)
選考委員が賞候補者として推薦された場合は、「選考委員会運営および選考委員の
役割に関する補足事項」の第5項にあり、それに従っていただきました。