Brief Summary of Each Supplement
Progress of Theoretical Physics Supplement No. 127
Perturbative and Numerical Approaches to Gravitational Waves
中村 卓史 編集
一般相対論を含むメトリックで記述される全ての重力理論では重力波の存在が
予言されている。一般相対論の予言する重力波の存否に関しては、間接的に連星
パルサー PSR1913+16 の電波観測によって確認されている (1993年度ノーベル物
理学賞)。しかしその直接検出はまだない。宇宙からやってくる重力波を
検出すべく、現在世界で巨大レーザー干渉計の建設がわが国のTAMA計画を
含めて幾つか進行しており、21世紀初頭にもたとえば連星中性子星の合体時の
重力波が検出されることが期待されている。重力波が検出されると我々は自然界
を認識する新しい手段を得ることになりその影響は計り知れない。
理論的には、どのような重力波がやってくるかを予言することが観測デー
タを解析するためにも重要である。近年、重力波に関する理論的な進歩には
目覚ましいものがある。それらはブラックホールの摂動論とポストニュートン
展開に代表される摂動論的手法を用いたものと、数値相対論という数値的手法
を用いたものとに大きくわけることができるが、今後は両者が有機的に結合して
重力波の物理学を全体的に進めることが期待されている。このような展望に基づき、
重力波の理論研究の摂動論的手法と数値的手法をレビューして今後のこの分野の
進展に寄与することが、このSupplement の主目的である。
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