Brief Summary of Each Supplement
Progress of Theoretical Physics Supplement No. 137
Quark Cluster Model of Baryon-Baryon Interactions
岡 真, 清水 清孝, 矢崎 紘一 編
原子核内ダイナミックスの基本要素である核力の起源は古くから原子核物理学の
重要課題であった。特に短距離での強い斥力は中間子の交換によってはなかなか説明
できず、核子の内部構造の寄与が不可欠と考えられてきた。この問題を核子の
クォーク構造を直接取り入れて調べる理論的手法がクォーククラスター模型である。
東京大学の原子核理論研究室を中心としたグループでは、1979年にこの方法を初めて
定式化、命名し、過去の20年間にわたり様々な角度からこの問題に取り組んできた。
本書はそれら一連の仕事に実際に携わったメンバーによるレビューを中心に、
これまでの成果をまとめたものである。最近の成果として、格子ＱＣＤによる閉じ込
め相互作用、インスタントンによるフレーヴァー混合の効果との関連、バリオンの励
起状態のクォーク模型による記述との整合性なども議論され、また、ハイペロンと核
子、ハイペロン同士の相互作用、ストレンジネス−２を持つＨダイバリオン、ハイペ
ロンの核内での弱崩壊への応用も解説されている。
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