PTP
 


Brief Summary of Each Supplement


Progress of Theoretical Physics Supplement No. 167



The Jubilee of the Sakata Model


Proceedings of the International Symposium pnΛ 50

原田 正康, 大貫 義郎, 沢田 昭二, 山脇 幸一 編集

この巻は 2006年11月25日 および 26日に名古屋大学で行われた「坂田模型 50年 国際シ ンポジウム」における14の講演をもとに編集したものである。講演者には G. 't Hooft 教授はじめ著名な物理学者が多数含まれている。この他、会議に出席できなかった H. J. Lipkin 教授, 南部陽一郎教授 および L. B. Okun 教授も快く執筆を引き受けられ、こ れらの論文も収録されている。

坂田模型は故坂田昌一名古屋大学教授が提唱したもので、クォーク模型への決定的な 一歩を与えたものである。この模型の提唱は、1956年の Progress of Theoretical Physics, Vol. 16 (1956), pp. 686-688 に発表された論文でなされた。坂田模型は単 にクォーク模型の原型となったと言うに止まらず、坂田自身と牧・中川・大貫の共同 により、レプトンまで含む大きな枠組み(いわゆる「名古屋」模型)に発展した。さ らにこれがニュートリノのフレーバー混合いわゆる牧・中川・坂田(MNS)行列と いう革命的な段階にまで到達したのである。さらに、クォークのフレーバー混合とCP の破れを記述する小林・益川(KM)行列は、坂田門下の小林誠、益川敏英によって提唱 された。MNS行列とKM行列は今日素粒子物理学におけるフレーバーの理論として確立 している。

このシンポジウムは坂田模型の50周年とその後の偉大な発展を祝うために催されたもので ある。会議の主な内容は坂田模型とその関連する諸発展の歴史的な総括 および 素粒子論 の今日的展望にあった。この巻は、坂田模型のクォーク模型への劇的な展開の歴史、およ び 現代素粒子物理学におけるフレーバー物理の確立を導いた坂田学派の栄光の歴史、な どの今日的意義に関心のある読者に有益であろう。


  Copyright © 2008 Progress of Theoretical Physics