Brief Summary of Each Supplement
Progress of Theoretical Physics Supplement No. 168
New Frontiers in QCD
— Exotic Hadrons and Hadronic Matter —
Proceedings of the Yukawa International Seminar 2006 (YKIS2006)
國廣 悌二、延與 秀人、原田 正康、初田 哲男、保坂 淳、慈道 大介、
金田-延與 佳子、S. H. Lee、中村 純、中野 貴志、岡 真、菅沼 秀夫 編集
この刊は京都大学基礎物理学研究所にて、2006年11月
20日から12月8日の期間
開催された湯川国際セミナー2006 (YKIS2006)
``New Frontiers in QCD — Exotic Hadrons and Hadronic Matter —"
の会議録を収録したものである。近年非摂動QCD分野の研究は
理論、実験ともに発展が著しい。この会議ではその中から特に、
(1) エキゾチックハドロン
(2) 高温高密度におけるQCD物性
(3) 核物質および有限核におけるカイラル対称性
の3テーマを主要な軸として、QCDに基づくハドロンダイナ
ミクスの諸問題について、
理論および実験の両面からの総合的な討論がなされた。
それぞれの問題を解く強力な方法となる格子QCDやAdS/CFTに
よる成果もカバーされた。
取り上げる具体的テーマを幾つか列挙すると、
(i) マルチクォークハドロン、 H-ダイバリオン、ラムダ (1405)、スカラー中間子
(ii) 強結合クォーク・グルーオンプラズマ、カラー超伝導、QCD 臨界終点な
どの問題を中心とする
高温度・高密度クォーク物質の物性と相転移、
(iii) 核媒質中でのカイラル対称性の回復: カイラル有効理 論、ハドロンの性質の変化、ハドロン
原子、ハドロン原子核を用いた探索
(iv) および格子QCD、AdS/CFT、ホログラフィック QCDを含む関連する非摂動手法など。
この巻はこれらのテーマについて、実験では世界の主要な実験の責任者による
報告、理論については各分野の世界的な第一人者による報告を集録したものに
なっている。そこでは最近の進展や展望だけではなく、研究の重要性や背景
などについても詳しく解説されている。この巻は非摂動QCDに関する、
理論実験研究の最新の状況と将来の展望について現在望み得る最高の
網羅的文献となっている、と言っても過言ではない。
この分野に参入しようとする新しい世代の研究者にとってのみでなく、
この分野に関心のある現役研究者にとっても有用な文献となるであろう。
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