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Brief Summary of Each Supplement


Progress of Theoretical Physics Supplement No. 173



What is Life? The Next 100 Years of Yukawa's Dream


Proceedings of the 22nd Nishinomiya-Yukawa Memorial Symposium

村瀬 雅俊、津田 一郎 編集

この巻は、2007年10月15日から20日に京都市において開催された第22回西宮・ 湯川国際シンポジウム「What is Life? The Next 100 Years of Yukawa's Dream」の招待講演をもとに編集した論文集である。

「生命とは何か?」というテーマは非常になじみ深く、また専門家、非専門 家を問わず多くの人々の興味をそそってきた。ところが、物理学・生物学・心 理学・数学・計算機科学・神経科学・環境科学・哲学など異なる分野の架け橋 を創るという意図のもとに、この種のテーマを論じる機会は少なかった。その 意味では、私たちのシンポジウムは魅力的で挑戦的なプログラムに満ちていた。 したがって、この巻は「生命とは何か?」というテーマに興味をもつすべての 人々にとって、最も価値ある論文集の1つである。

故湯川秀樹博士は1907年に生まれた。このシンポジウムが開催された2007年 は、湯川博士生誕100年にあたる。もちろん、湯川博士は第二次世界大戦後、 日本人として初めてノーベル賞を受賞した理論物理学者としてよく知られてい る。その湯川博士は、実は、シュレーデインガーの名著『生命とは何か?』を 日本に最初に紹介したほど、生命や精神の研究に興味を持っていた。もっとも、 「生命とは何か?」という問題を究極的に解決することは、極めて困難である。 それにもかかわらず、この巻は学際領域の統合への輝かしい発展に寄与してい ると私たちは信じている。

この巻で扱われるトピックスは、
(1) 生体分子モーターによる極性フィラメントの運動、
(2) 細胞モデル、
(3) 鳥のさえずりにおける神経基盤、
(4) tRNAに関する分子生物学上の新仮説、
(5) 老化の分子・細胞生物学的機構、
(6) 生命の起源、
(7) 意識における中枢神経系
などである。

この巻は、こうした分野の理論的・実験的な最新の発展を取り扱っており、 当該分野の専門家のみならず、このテーマに興味をもつ非専門家 や学生にとっても価値あるものであろう。


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