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Brief Summary of Each Supplement


Progress of Theoretical Physics Supplement No. 181



Realization of Symmetry in the ERG Approach to Quantum Field Theory


五十嵐 尤二、 伊藤 克美、 園田 英徳

厳密くりこみ群は、非摂動的な計算手法として広い範囲の問題に適用さ れ著しい成功を納めている。多くの具体的な応用については引用文献を読んで 頂くことにして、本稿 では次の2点に的をしぼって分かり易く書いた:
  1)   場の理論の連続極限の構成法
  2)   対称性を持つ系の扱い
一般論とともに(ほとんどは摂動的だが)多くの例を議論した。

厳密くりこみ群では、ウィルソン作用あるいは有効平均作用を用いて理 論を定義する。最初に、これら二つの作用とその関係を説明する。系の対称性が見易い という理由で、本稿では主にウィルソン作用を用いて議論をすすめる。

次に、くりこみ可能性と連続極限、フロー方程式で定義される 「複合演 算子」 などに話題を移す。後者は、後半の議論で特別な位置を占める。 これらの説明の後、対称性を持った系を議論する。厳密くりこみ群で は、最初から運動量切断を導入して正則化するので、系の持つ対称性と 正則化が矛盾することが良く起こる。特に、重要なことは、ゲージ対称 性の扱いが難しくなることである。この状況は、格子理論のカイラル対 称性の場合と良く似ており、実際、くりこみ群の場合も同様に対称性を 維持できる、ということを本稿後半で記述した。運動量切断存在下での ワード・高橋恒等式、あるいは反場形式による量子マスター方程式につ いて議論し、具体的な系をいくつかとって説明した。

厳密くりこみ群の手法が、研究者の共有財産となることを願っている。


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