Brief Summary of Each Supplement
Progress of Theoretical Physics Supplement No. 187
High Energy Strong Interactions 2010
— Parton Distributions and Dense QCD Matter —
Proceedings of the YIPQS International Workshop
板倉 数記、藤井 宏次、福嶋 健二、八田 佳孝、日高 義将、川村 浩之 編集
この巻は、2010年8月9日から13日にかけて基礎物理学研究所において開かれた
国際シンポジウム ``High Energy Strong Interactions 2010'' の会議録である。
この会議は、7月26日から 8月27日まで開かれた長期滞在型研究集会
``High Energy Strong Interactions 2010 — Parton Distributions
and Dense QCD Matter —'' の一部である。会議録には、シンポジウム
における講演(全てが招待講演)およびシンポジウム前日に開かれた講義録を
収録している。
高エネルギーハドロン散乱の物理はその基礎理論である量子色力学 (QCD) が
定式化される前から議論されており、長い歴史がある。しかし、その物理の
重要性、とくに QCD に基づいた理解の重要性は、最近の高エネルギー
実験 (BNL の RHIC, DESY の HERA, FNAL の Tevatron, および CERN の LHC) に
鑑みると、より増していると言える。本プログラム、シンポジウムの目的は、
現時点で我々がそれらの高エネルギー散乱実験から何を学んだのかをまとめて
議論することにある。
会議で議論されたトピックを以下に挙げる。
(1) 構造関数とスピンの物理:
偏極・非偏極パートン分布関数、TMD 分布・破砕関数、高次ツイスト効果、
一般化されたパートン分布関数、小さい運動量比のパートンの物理とグルーオン飽和
(2) 重イオン衝突:
ハードなプローブ、ジェット抑制、カラーグラス凝縮、多重粒子相関、初期条件と熱化機構
(3) 非摂動的手法:
AdS/CFT対応 と ホログラフィック QCD の応用、現象論的模型、格子QCDシミュレーション
5週間の会議では、102 名の参加者がおり、シンポジウムでは 32 の招待講演が、
その前日には 3つの講義があった。特筆すべきは、LHC実験が始まって日本で
初めて、全ての実験グループ (ALICE, CMS, ATLAS, LHCb, LHCf, TOTEM)
の報告を聞く、貴重な機会となった。
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