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Brief Summary of Each Supplement


Progress of Theoretical Physics Supplement No. 192



Recent Developments in Nuclear Cluster Physics


堀内 昶、池田 清美、加藤 幾芳


近年、原子核におけるクラスター物理は多くの問題で目覚ましい発展と成果を遂げてきている。本レビューの目的はこの原子核におけるクラスター物理の最近の活発な進展とその成果を論ずることにある。そこでの多くの議論は主に構造論の問題に重心を置く。その理由は最近の著しい進展と成果の多くが構造研究に深く関わっているからである。

本レビューでは、それらの最近の進展してきた研究の中で以下の6つの課題を取り上げる :
(i)   中性過剰核における新たなタイプのクラスター構造について、
(ii)  原子核構造における全く新しいタイプの構造を持った状態であるクラスターガス状態について、
(iii) 分子的構造と超変形構造状態の微視的研究について、
(iv)  広範な質量数領域で観測される平均場的状態とクラスター的状態の共存メカニズムについて、
(v)  非束縛エネルギー領域におけるクラスター構造を持った複素エネルギー状態(共鳴)について、
(iv)  クラスター構造のアブイニシオ(先験的)アプローチについて。

ここで議論されるさまざまな新しい現象やクラスターリングの系統性は、クラスター動力学の問題が原子核多体系における重要な基本課題であることを示している。そして、それがまさに原子核多体系の豊かさの現われでもある。


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