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研究実績概要(2015年度)

H28年度は,インフレーション宇宙のダイナミックスやそれから生ずる様々な現象について, これまでにない新しい知見が得られ,発見があった。その主な成果である。
1.インフレーション宇宙のダイナミックス:インフレーション後の再加熱期における重力的粒子生成を詳しく調べ, 模型によっては従来の見積もりに比べてはるかに効率的な粒子生成が起こることを発見した(中山)。 宇宙論的二次摂動論を展開し,原始ブラックホールの観測制限との比較により, 広域な周波数域の原始重力波の振幅に対して,定量的な上限を与えた(須山)。 また,昨年度提唱した新たなインフレーション宇宙起源の原始宇宙磁場形成モデルに関して, それが理論的に整合的であることを明確に示した(佐々木)。
2.観測的検証: 観測で示唆される強いスケール依存性をもつCMBスペクトルの双極的非対称性の無矛盾な模型を構成した (高橋,佐々木)。初期ゆらぎの非ガウス性によるインフレーションモデルの峻別に関して, 将来の広視野銀河サーベイによって現在のCMB観測より強い制限が得られることを明らかにした(横山修)。
3.理論の追求: 無限階微分を含む非局所的な理論の超対称性化を試み, その超対称性が破れると質量公式が成り立たないことを示した(山口)。 ドジッター時空中に電子対生成を調べ,電場の強さによっては誘起電流が負になる (=電気伝導率の値が負になる)ことを示した(横山順)。 最も一般的なスカラー・テンソル理論(ホルンデスキー理論)の枠組みで, 特異点のない宇宙モデルの安定性を調べ,すべての解が勾配不安定性を持つことを示した(小林)。