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完全流体における循環の保存

ここまで来ると後は簡単である。完全流体とはどんな流体であったかを思い出し て頂ければよい。接線方向に(摩擦)力が働かない流体であった。 従って図4の様な流体中の任意の球形要素 (どうみたって円形であるが球の断面と思って下さい)を持って来るとその要素に 働く力は法線方向、即ち球の中心に向かう(かその反対)しか存在しない。 従って破線のような循環(=渦)が存在したときにその増減に作用する力はない。 これは流体粒子の持つ角運動量を考えても分かる。接線方向に力が働かないので 力のモーメント(トルク)は常に0である。従って角運動量は一定になる。

 
Figure 4: 球形の渦とその要素に働く力
\begin{figure}
\epsfbox{fig-rot4.eps}\end{figure}

自然界で渦が安定に見られるのは粘性が境界を除いて小さく、近似的に完全流体 として扱える場合が多いからである。



Hisao Hayakawa
2000-04-12