日記


1/31:

朝から素晴しいニュース。指導教官であった川崎先生がB. Alderと共に ボルツマンメダル を受賞されることが決った。言うまでもなくこの賞はノーベル賞に次いで格式 の高いものであり、過去の受賞者には統計力学の歴史を作ってきた大御所たち が並ぶ。過去の受賞者リストは ここ にある。日本人としては久保亮五以来2人目の受賞。川崎先生には研究に 対する執念というものを日々感じさせられた。僕が九大にいたころは60前後 であったが日曜も必ず学校に来て、研究をなさっていた。1月1日以外は必ず 学校に来て、よく泊まり込みで研究をなさっていた。また午前中は面会謝絶で 研究の時間としていた。研究時間を確保するためにはどんな事でも惜しまない という事は徹底していた。不肖の弟子(とも呼べないかもしれないが)として はまさに恥入るばかりである。


1/30:

すっかり流れている状況でBingham流体は何故plug flowの特徴を示すか。それ も境界付近ではなくて境界から離れた所で尚、その傾向が強くなるのは何故か? と御手洗さんに問われて、通常yield stressとされている項は動かないときの 効果ではなく、速度勾配がないときに働くshear stress であるという事を改 めて認識。そうすると次に勾配がないときのcollisional shear stressを何ら かの運動論から導出できないかという問になる。従来のkinetic theoryでは議 論されていないが、当然考えないといけない問題である。また粉体における Pascalの原理は何かという基本的な問にも部分的に答える事が可能になる(こ うした問は静力学の方が大事だが、そっちの方が難しい)。この問は難しいか と思えばさにあらず。既に計算した境界条件の計算の焼き直しで議論可能であ ることに気附く。うまく計算できれば従来のkinetic theoryの枠を越えた本質 的な発展となるだろう。といっても計算は面倒そうだ。

最近、学生の試験での不正行為が段々ひどくなっている。注意されたら2階か ら飛び降りて逃げたというのは愛敬があったが、4時間粘って証拠を出して落し たりする作業は疲れる。今日はやくざみたいに恫喝して、挙句、証拠湮滅を図って 逃走した学生がいた。それを取り抑えるのに一苦労。ともかく開き直られると 手も足も出ない。

論文。時間が かかった。投稿は別の雑誌に1998/11にした。沖縄の学会でのネタ。Refereeと やりとりしている間にもっとスマートな似た論文が出てしまった。これは失敗 作。

京大では紙媒体としての雑誌を廃止しようという動きが急。それだけに電子 ジャーナルが飛躍的に便利になった。もっとも殆どがpdfでps usresとし ては面倒な面もあったが、その対策もある程度立った。


1/29:

理学部よりM2の学生が来る。彼は大変優秀であることを昔強く印象づけられた 事がある。あまり 調べずに修論の一部を計算したらしいが、よく知られた結果と一致してしまい その辺りの議論のOriginalityを主張できなくなった。Communicationや検索も 必要ということだ。無論、修論のメインとは関係ないし、修論自体に Originalityを必ずしも求める必要はないので別に気にする必要はないのだが、 茶飲み話で情報交換が出来無かった理学部の状況はちょっと気にかかる。

論文が届く。T. Elperin and A. Vikhansky, Phys. Rev. E 55, 5785 (1997); Physica A 260,201 (1998). 砂山のdipを変分法できれいに論じている。うー ん。もう一つ。きれいな衝突実験。PRE56,5717 (1997).

物性研究の編集 後記。えらく保守的だが、それだけ用もなく動きたがる世の中はおかしいとい う事。子供の病気で多動症というのがあり、先生の話を聞けず問題となってい るが、社会全体もその傾向があるのか?朝永先生の様に「反動ならざる保守」 を目指す方がいい。無論、機が熟せば迅速に動くべき。今は「動かざること山 の如し」でいいだろう。

面白い原稿があったら教えて下さい。


1年前の狂躁もなく静かに21世紀が明けた様に感じる。物理学の中では100年前の プランクのクリスマスプレゼントに相当するものがあったかどうか、さざ波すら 感じないが、実際の処はどうであろうか。

さざ波以下の動きは日常の中で生じる。物性研究の編集長の後退もその一つであ る。前任者が海外渡航のために私が大任を仰せつかる事になった。もっとも売れ 線を狙ってじたばたするつもりはないので編集長の違いが雑誌の個性の変化に繋 がるかどうかは分からない。かつて「自然」という優れた一般読者のための自然 科学雑誌があったが、「ニュートン」等のビジュアル系の雑誌の台頭のために潰 れてしまった。またそれに対応して生き永らえようとした「科学朝日」は得体の 知れない読むに値しない雑誌に変化し、昨年廃刊になったと聞く。 「ニュートン」はもとより読むに値しない。 似た様な失敗 は朝日ジャーナルの廃刊の際の女性編集長の悪あがきにも感じる。一般向けの科 学の紹介という媒体に関してここ20年余りの動きは一方的に後退であったと言わ ざるを得ず、そうした失敗はない需要を掘り起こそうとした失敗であったと思う。

こうした無駄な動きは大学の再編の際にも感じる。最近、人間環境を唱った 大学、学科、研究科の設立広告をしばしば 新聞等で見掛ける。言うまでもなくその魁をな したのは京大の人間・環境学研究科(人環)であるが、その人環は設立後10年を経 て改組の動きが急である。元来人環は教養部の片割れであるが、こうした実体の ないものへの改組は話をややこしくしただけであった。無論、他大学の追随した 動きは必ずや失敗に終わるであろう。そもそも少子化の時代に新しい理解不能な 大学や研究科を新設しようとすること自体理解不能である。

京大は懲りもせず、どんどん新しい研究科を作って組織をますます形骸化しよう としている。人環の改組は新研究科設立の構想と無関係ではなかったが、その新 研究「科」はこの段階に来て、新研究「堂」になり、専攻のかわりに学房、その 下の大講座に相当する組織は学廊という名前を取る。また教育組織は学舎で、他 に学林というのもある。この資料は会議の席上で失笑を買ったが、真 面目にこういった不可解な組織をこの時期に作ろうとする執行部の動きと京大の 先行きに不安を覚える。

新編集長である私はこうした訳の分からない暴走はする能力もなく、そのつもり もない。むしろ悪あがきをしない事をもってこの雑誌の潔さとしたい。


1/27:

Chapmann-Enskogによる拡散方程式の導出はうまくいく。またランダムウォー クに焼き直して、ジャンプの距離分布を持たせることで今迄と同じ解析が見通しよ くできる様になった。修論は質的に改善されたと言える。原稿の修正1。

MS-Word添付のメールは激増中。対策は一応立てたが迷惑な話。


1/26:

表層流の速度profileについてちょっと考える。high shearのときのBagnold則 を思い出し、密度一定で計算すると高さ方向の依存性は3/2乗の関数になった。 多少、表面の方が流れやすい傾向が出ているが不充分。密度の補正が必要。 というメールを共同研究者に送ったらちょうど同じ事をやっていた。密度の補 正を考えてどうなるという解析もやっていた。うーむ。共同研究がうまく回っ ている証拠ではあるが、もうちょっと解析しないといけない。

いろいろ原稿がたまっているが筆は進まず。岩波も再開し、ぼちぼちと書いて いるが亀の様なスピード。


1/25:

表層流の境界条件の問題はほぼ解決した。因みに衝突の際接線方向に力が働か ない場合にはマクロな流れにも接線応力が境界でなく、1次元化したときに dragが働かない(Flat wall)。衝突の際、接線方向に力が働くと粒子は必然的 にトルクを受けて回転する。だから1次元で粉体の特徴を残した流れにするに は極性流体にするのが自然。改めて探すと3次元でも極性流体の論文はある。 僕が 論文を書いたときに、そういう認識はなかった。このときは非圧縮を仮定 したが粉体への適用を考えるならば圧縮性は必要。

さてあんまりcoworkerがよく出来ると欲も出てくる。ここでChapman-Enskogを 使ってしまってはyieldが出ない。とりあえず標準的な手法での極性流体方程 式は押えるとして、yield stress込の流体方程式の導出を考えたい。これは塊 が止るか止らないかという安定性から論じられないか。


1/24:

昨日、今日と修論の練習会。いろいろと(深刻な?) 問題が表面化してくる。両方とも大幅に書き直しが必要になりそうだ。

博士進学の学生の課題についての共同研究者としての雑感: Inelastic Lorentz gas自体はおもちゃみたいな話だが、はねかえり係数e:一定 とするとエネルギーTの散逸率 dT/dtが1-e^2に比例するかと思えばさにあらずむ しろ数値計算やSonine多項式を使った計算では1-eに比例して散逸が生じると した方が実体に近い。これは玄人でも誤解する。もうちょっと説得力のある議 論が必要。また運動そのものは時間スケールを伸ばした拡散で特徴づけられる 事がはっきりしたが、それをChapman-Enskog等を使って正当化する必要がある。 この辺りをクリアする必要がある。またそうした計算をすることが今後の彼の 研究生活で生きるだろう。どういうテーマを彼は今後選ぶかという大事な問題 である。

就職する方の学生の発表の方が圧倒的に反応が多かった。まとまりはないが確 かに面白い内容を含んでいる。それだけに論文にするのは困難。継承者はいそ うもないのでそのまま研究成果毎消える可能性大。勿体ない。

下坂さんによると速度 プロファイルは層高に依存するとの事。


1/23:

最近よくMs-Wordの書類が添付されたメールを受け取る。いつもWindows Machineに転送しないといけないので面倒で仕方がない。全く誰がこんなもの を使っているのだ。おまけに肝心な部分に表示できない文字がある。


1/22:

土曜の研究打ち合わせ。論文をしっかり読んできたつもりだったが学生 さんに甘い見通しの間違いを指摘される。何はともあれ最初はFlat surfaceを 極めて、次にRough surfaceを考える事になった。また境界に垂直方向に積分 するとストレステンソルの境界での値が效くので1次元流として見たときに drag termが存在することもはっきりした。だから走行方向の不安定性もほぼ 自明。 しかし通常の交通流等とはちょっ と違い、granular temperature 経由の項である。この辺りは真面目に計算を しないといけない。

1週間主に表層流を考えて見通しは立った様に思う。この問題に関しては優秀 なcoworkersがいるのでとことん正攻法でいこうと思う。正攻法とはkinetic theory経由の理論である。最近振動層でも殆ど正攻法でうまくいくという論文 が複数出ている。それよりは表層流はうまくいくであろう。例えば2Dの Jenkins & Richmanの論文はMicropolar fluidの方程式をkinetic theoryで不 完全ながらも導いている。バルクと境界条件を吟味しながら保存量の方程式を 導出し、それを解析するという愚直な手法は手間がかかる割には成果は予想の 範囲内なので、とても一人ではやる気にならないが、優秀なcoworkersに恵ま れれば採用すべき方法であろう。正攻法はそれだけ理解しやすいし、間違いは 少い。それでも記述不可能な問題があるのであればそれはまた一つの成果であ る。正攻法で粉体の有効流体モデルとしてのMicropolar fluidとその境界条件 が確立すると大きな進歩である。(無論、静止状態の記述は不可能であるのだ が。)

目論見通りいけば表層流の話は今迄の僕のけちな論文よりはずっと意味のある論文 になる。その目論見は間違いでなければいいのだが。

表層流の方に目途がついた?ので衝突の問題も考えないと駄目だ。とりあえず 3次元を考えてみよう。これは確実に出来るのだが早速つまる。

学会で発表予定の2次元低速衝突はthermal deformationがないと 弾性論とは整合しそうはせず pendingになっている. 低速でFluctuationは確かに増大するが単に熱速度との比が有限になった 効果とすると身も蓋もない。

下坂さ ん(同志社)によると通常の表層が速度が大きい速度というのも一応定常化は 達成されているとの事。すると18日の記述はどうなる。やっぱり単純ではない。


1/19:

修論の提出日。あぶないと思っていた学生の方がさっさと提出した。こ ちらの学生さんの方が難しいテーマを選択し、まとめにくかったであろうと思 う。彼のセミナーには随分人も集まったし、粉体層の破壊という興味深いテー マであるが、まとめるのは私が見ても難しい。理論が全くないからだ。彼は就 職するのだがこの結果をどうするのか。出版しないと勿体ないが, 論文にするのには何か鋭角的な切口が必要かもしれない。

もう一人の学生は手堅いテーマの選択だった。しかしそれが本当の 意味で良いかどうかは先になってみないと分らない。2人はこれから発表、論 文の修正という手続きを経るのでまだ気は抜けない日々が続く。

一般に修論をその後、どうするのかというのは悩み深い。特に就職した場合は その結果は闇に埋もれてしまう場合が多い。工学部の先生に訊いたときはちょっ と結果を加えて論文にするのが当然という返答だった。昨年の修士論文も一 人の 論文 はかなり計算を加えて、更に私が別のモデルの計算を行って何とか 投稿論文 にした. しかしもう一人のは極めて意味がある(と指導教官は思って いる)論文 にも拘らず、お蔵入りである。彼も就職する。指導教官が書き上げてしま うのも面倒だし、やはりそうした行為にはちょっと抵抗がある。


1/18: 定期試験の問題作りと鹿児島大学のレポートの採点に追われた。後者では力作 が多かったが、ある問題の解答に同じ答案が多々現れた。通常 は引用文献と議論した友人を明記させるのだが、集中講義中にあまり考えずに 問題を出したのでこうした重複を防ぐ手はなかった。どちらにせよ自分で考え た跡の見える答案の方が見るのが楽しく、点も高くなる。

明日は修論の〆切というのでM2は最後の追い込み作業に入っている。一人は 投稿論文 があるのでばたばたしないかと思ったがそうはいかない様だ。もう一人はもっ とぎりぎりの状態。

西浦さんが数理研の教授になった(京大学生新聞による)!? 北大の 研究室 はどうなる。多分本籍は北大においたままの併任なのだろう。

御手洗さんのDEMの重要な結果。斜面に鉛直な速度profileは近似的に2次曲線に乗 る。底のスリップも多くはない。という事はNewtonianに近い。これで簡単化 できるか。逆に言えば粉体らしくない現象か。 (その後の註釈:詳細に見ると境界から離れたところでは流速が飽和しており Binghamの特徴が現れている。従来、表層流で速度プロファイルが線形ないし 1次より小さいとされていたのはどうも定常化していない加速流のものかもし れない。定常化するとパイプ流と同じくBingham的であるというのはreasonableで ある)。


1/17: 御手洗セミナー: 1次元に比べて2次元は複雑である。流体モデルと いう路線で本当にいいのかな。ちょっと別な話の様な気もしなくはない。 交通流の話は当然の如くまとまりすぎていた。1次元は簡単。

シミュレーション概論の講義終了。実はこの講義は来年から冨田さんが担 当するので講義そのものももうやらなくて済むかもしれない。初年度はプログ ラムを組みコンパイルして(そのまえに何をやるのかを決めて)、準備が大変 だった。数値解析一般の勉強にはなった。

Jenkinsの論文で境界条件に必然的にcouple stressやMicrororotaionが入って いる。当然と言えば当然。従って流体方程式はMicropolar fluidになる。また rough surfaceのもっと古い理論はnormal head on collisionしか考えていな い(Jenkins and Richman, Richman)。するとその辺をJenkinsの92年の論文風 に書き換える事から始めるべきだろう。もし難しかったら撤退するが、有効的 にその効果を採り入れるのは簡単な筈。


1/16: 砂山は知らん(手が回らん)うちにどんど進んでいるようだ。うーむ。 とりあえず室蘭の 高橋さんに論文とこちらの計算ノートを送る。似たようなこ とを考える人はいるものだ。

原稿は粉体のところでつまる。交通流まで人に見てもらったら、案の定、知ら ない人には分らないだろうと言われた。ちょっと交通流を書きすぎたか。

それやこれやで原稿は一休み。表層流を考える上で境界条件が重要だという話 になった。JenkinsのReviewがある論文に引用してあったので探してみたが、 実はもっと基本的な論文の別刷をもっていることを発見。この論文は非常に丁 寧に書いてあり読みごたえがある。という訳でM1並に全部式を計算しながら読 む。この論文ではFlat surfaceと粉体の境界条件を考えているが、Rough surfaceだったらどうなるのか?

Binghamでいいのかと言うと本当は分らない。例えばパイプ流はかなりいい。 しかし表層流はもっと流れがきつくなる。これを密度補正で繰り込んで考える のだがうまくいくかどうかは分らない。とりあえずKinetic Theoryと直結させ て考える事は可能だと思う。

3月の粉体基礎現象研究グループ会では僕以外の2人は表層流の話をする。僕 もそれに揃えたかったが、いくらなんでも2月では無理。目標は10月あたり か。


1/12: 物理学概論の最終会。宇宙の話を一回でまとめるのは難しく、駆け足になっ た。やっぱり素人受けはするだろうと思いながら宇宙論の概略、星のエネルギー 源、主系列星、巨星に何故進化するか、星の重力崩壊などを喋った。準備は大 変だったが、反面楽めた講義であった。九大の 成清 さんも講義で紹介するらし いのでまあうまくいったのでは?来年度は本(といっても簡易製本で講義用に 配布する)にしてみよう。
1/11: 御手洗さんとの打ち合わせ。表層流の話をすることになった。 とりあえず流体モデルとしてBinghamで何が分って何が分らないのかを考える 事にした。表層流は粉体では手の届きそうな所にあってまだ具体的な解析をし ていなかったテーマである。うまくいくか?Neptisでの さんの発表を聴いた限りではうまくいって然るべきである。

原稿は交通流の移流不安定性について書く。ちょうど御手洗さんの仕事である。 岩波は(原稿の長さについて)手強そう。


1/10: おやもう田崎さんに日記の存在が知れましたか。早かった。情報伝播の シミュレーションをしたかったのだが、田崎日記経由のパスが出来てしまった ので、シミュレーションにはならな い。日記を始めたのは田崎さんや佐々の日記が情報交換に役に立っているのを まのあたりにしたからでもあります。また友人に垂れ流しメールをする事もあ るが日記の方がましかなと思ったからでもある。

まだ会議疲れはある。大袈裟な会議ではあったがいろいろ面白かった。詳細は 暇な時でも書こう。

今日は高城史子さんのセミナー。聴衆は多く、盛んな議論があった。面白い内 容は多々含んでいるが、もう少し突込んで解析をしたら更にいいものになるという印象 をもった。


1/6: 明日からのNeptisの会議の準備。OHPのメインは ここ。何故か京都の会議なのに強制的に宿泊させられる。工学系の会議だ から気疲れしそうだ。今年は会議が多い。明日からのはお金がかからないが、 5月の仙台の会議では自ら申し込んだためにお金が大変。特に登録料は未だ嘗 てない程高い。登録料は科研費とか校費を使えないので痛い出費になる。
1/5: 仕事始め。田崎さんが批判している岩波講座「物理の世界」を書く。 私の担当は小冊子「散逸粒子の力学」。1章は物理学概論の授業でやった 不可逆性についての説明とランジュバン方程式について。2章は衝突について。 ここまでは年末に大体書いたが、書き直しに時間がかかった。3章は交通流。 すぐ書けると思ったが、現役を離れて久しく、その後に発展があったことも考 慮すると時間がかかりそうだ。4章は粉体。何を書こうか。一応、大学院の集 中講義用に使えるストーリーだと思うが、分量が限られているので決して読み やすくはないだろう。僕としては気にいったストーリーであるが、読者はそう は思わないだろう。何れにしても名の通った人の批判があるので書きにくい。

もう一つの教科書はまだストーリーが定まらない。大学院 で講義をしたり、部分的にはTexにしてあり、鹿児島での 講義でも使ったが、あのストーリーはあ くまで統計力学のものだろう。この2冊は本来旧年中に書き上げる筈だったが、 当然の様に今年にずれこんだ。本を書くという作業はこれからそんなに機会は ないと思うが、予想通り大変だ。もっとも最近滅多やたら教科書が出版されて いるが商売が成り立っているのか疑問。もっと数を減らした方がいい。(そう すると私が書く機会はなくなってしまうが)。

おやおや田崎さんまで砂山に ちょっかいを出している。12月初めにした計算を早く論文にまとめる必 要があるが、どうも今一だし、論文を書く時間がない。

本年は御手洗さん中西さんとの共同研究で幕が開きそうだ。彼女はよく出来る ようだし、こちらも中途半端な状態で手を離した題材だから本腰を入れて考え よう。衝突と砂山はどうするかって?真面目にやりますが、手をどうやって回 すのか?要領が悪い。