日記(5月)


5/31:

久し振りに何もないのでかなりぼーっとしている。

午前中にSSTの事をまとめようとしたら重大な勘違いに気がついた。計算結果 は昨日書いた通りである。正確を期すために繰り返そう。平衡に ある容器の片方に温度勾配をつける。そうすると温度勾配によって誘起された 浸透圧に相当する項が生れて、温度勾配のある方向から平衡側に質量流が生じ る。圧力も最初の状態では温度勾配のある側が高い。しかしこの状態は定常で はない!実は質量流がバランスして定常化すると当然、温度勾配のある方が希 薄になる(密度が下がる)。その意味で定常状態ではむしろ温度勾配のある側 の(状態方程式で決まる)圧力が下がるという表現の方がより適切である。即 ち温度勾配のある側の圧力と温度勾配によって誘起された浸透圧の和が平衡側 の圧力とバランスする。圧力と浸透圧を一まとめにした有効圧力は当然(等温 では)平衡圧力とバランスする。これらの事をまとめると気体分子運動論の結 果は佐々や田崎さんが主張している事と反対であることになる。

実際、本当のところはどうなのであろうか?初等的な疑問で申し訳ないと思い つつ、彼らにメールを送ったが「大事な問題点を含んでいると思います」との 事で即答はなかった。僕は一連の話の流れから彼らは定常状態を議論したので はなく、最初にどっちが圧力が上がるといった安定性を議論していた様な気がするが どうなんだろう?


5/30:

昨日から今日にかけて講義4つ。毎度疲れる。文系物理で相対論の説明でかな り式を使ったのだが、興味を持ったらしく、質問が絶えなかった。一方、連続 体では弾性波、Rayleigh波をやったがノートが誤殖だらけで悲惨だった。熱力 学はまずまず。大学院は疲れていて、一箇所分らなくなり、かなりパワーがなかった。

今日の昼に岩波が原稿の督促に来る。まあ皆書いていないみたいだけど、とも かく難しい注文をつけられて手が止っている。もっともMicropolarには興味を持 ったみたいだ。教科書としてはどうかと思うが。ともかく講座の性格がはっき りしないのが困る。

昨日はLudingが来る。 こちらのMicropolarの話をした後、Coolingの話、それに伴って吉田君との議論、 ちょっと金君との議論があった。もうちょっと彼のやっている事を聞き出した かったし、真の意味でのstaticsをどう扱うか議論したかったが時間が足りな かった。それと言うのも彼の遅刻と独逸のビデオの規格の違いで時間を無駄に したためである。

国仲君との論文の一つがAcceptされる。時間がかかりすぎ。

出張中に金君がやっていたSSTに関連した気体分子運動論の計算が大体終った様子。 今日計算のチェックと議論。 結果はFIOの質量流に伴う有効圧力(状態方程式を仮定)は増加する。 その値はバルクの圧力の増加と 一致する。但し状態方程式の有効性は甚だ怪しい。 またJouの様に孔に垂直に温度勾配をつけるとバルクの圧力の 孔方向は当然下がるが、質量流から定義できる有効圧力は上がる。Jou等の問 題設定はどうもあまり適切ではない様である。

それよりも気にかかるのはストレステンソル等に密度勾配の展開を含んでいな い事である。単相ではそういうfluxがないとしてもストレステンソルを温度と 速度勾配のみで展開するとちょっとおかしいと思われる。例え ば希薄気体で状態方程式の成立を仮定するためには温度勾配と密度勾配が同程度にな いといけないのだが、得てして気体分子運動論では密度一定で突っ走る様だ。この効果は粉体では顕著だと思われるが、普通の分子気体でも問題になっ てきそうだ。

財団の書類が来る。前に貰った事がマイナスに働く可能性がある。

Refereeの論文が溜ってきた。督促あり。


5/28:

まだ気分が高揚していて手がついていない状態。とりあえずCornell行きの準 備を始める。今のところの予定は2月から2月程。春の物理学会はパスだな。 研究助成をしてくれそうな財団を探すとおあつらえ向きのが一つ 見付かる。ここからは手堅くお金を貰うとして、他にはないかと探す。

さてCornellのグループはどうかということで JenkinsLouge のページを訪れる。更に Gnanular Flow in Microgravityを見るとまさに私のためにあるような projectが並んでいる。

Cornellに行くメリットは多々ある。最大のMeritは 研究の発展期に皆で知恵を出し合って協力して研究を進めることができることである。 こちらでアイデアを出して も、その発展段階でknow howを熟知したexpertsと議論し、協力していかないと とてもその成果の定着はおぼつかない。 Micropolar fluidの例であれば、オリジナリティ、 適用すべき系のアイデア等にはこちらに一日の長があるにしてもkinetic theoryの展開、境界条件の処理では向こうに一日の長がある。まして数値計算、 実験、研究遂行の人員、研究発表の機会等では及ぶべくもない。また重要である と思われる研究内容を特に隠しておく必要もないだろうし、国際協力によって 広くその有用性を知らしめる方がより万人のためになる。2月からであれば こちら側のアイデアは大体出そろって、発展段階になっているであろうから まさにうってつけの時期である。

次に研究に集中できる環境が確保できるというのが有難い。 京大にいても組織もごたごたしている し、Discussionの相手もいないし、何かと雑用が多くて研究に集中できない。 一方、もう40も目前となっている 自分に焦りがないと言えば嘘になる。ここいらで新規巻き直しの機会も欲しい。 その意味でもおあつらえ向きの時期にこういう話が降って来た。

場所としても申し分ない。例えばHerrmannやLudingのいるStuttgartであれば 受け入れてくれるであろうが、Ludingのじっくりした態度には好感は持つものの Herrmannの落ち着きのない上滑べりな研究はちょっと合わないかなと思っていた。 (個人的にはHerrmannは好きな人間である。1989年に英語もろくに話せなかった 私と真剣に議論してくれ、的確なコメントをくれたのが好印象に繋がっている。 他の時も何時もフランクに また徹底的に議論できるのでいい人だと思う. が, もうちょっと落ち着いて論文を 書いたらと言いたくなる)。他の処もよさそうな処はあるが、 (Chicago groupは理論が弱い。Zippeliusの処では人がいない。Edwards, de Gennes といった大御所はお爺さん過ぎるし、相手も忙しいだろう。Hongは人はいいし、 共同研究はできるが質的な向上が望めない、等) 一長一短で積極的に 売り込むのもはしたないなと思っていた処であった。一方でJenkins等の仕事の 重要性と堅牢さは御手洗さんとの共同研究が始まってから何回となく認識せざるを 得ず、まさにDiscussionをしたい第1の人物という評はPG2001のかなり前から固まって いたのである。今回、そういう人物が滞在及び共同研究を誘ってくれたのであるから 乗らない筈がない。

考えてみれば前に台湾で講義したのはその前の秋の会議で講演をしたのがきっかけで あった。その会議ではあまり反響がなくてちょっとがっかりしていたのであるが、 それでも講義の機会を与えてくれた。今回はJenkinsをつり上げる事ができた。 ということからも機会があれば国際会議に出る事は役に立つということであろう。

PG2001の前の法事は祖母の7回忌だった。25年前にCornellに行った時に、 祖母が「Cornellに進学しなさい」と勧めていたのを思い出した。当時(もそ れからも)劣等生だった私は、何を馬鹿気た事を、と思っていたが、こういう 機会が得られたのも祖母の功徳の御陰かとも思う。


5/26:

一週間ぶりの更新。 今週はずっと PG2001に参加していた。

おそらく今迄参加した研究会及び国際会議の中で最も楽しく有意義で、かつ (すくなくとも個人的には)将 来重要な意味を持つであろう会議であった。

会議の中でのトピックスを並べてみよう。


5/19:

明日は墓参りをしてから仙台に向かう。墓が鎌倉にあると不便。仙台は reception dinnerにありつけるかどうか。

SST絡みで気体分子運動論を考える機会があったのでもう一回shear flowを考 えてみる。そうすると相転移などというものは持ち出さなくてもストレステン ソルを密度勾配で展開していけばいいことに気がつく。基本的にGoodman & Cowinは正しい様だ。30年前の論文が(無名だった訳でもなく)受容されず、 阿呆な論文が山程出るというのは変な話だ。説得力のある議論にするには分子 運動論に戻るか。SSTで気体分子運動論と等価な事が予言できるならば粉体系 にSSTが使えるというのはあながち的外れではないかもしれない。

一週間の出張。もう旅費はない。


5/18:

SST関連の話が白黒つくかと思ったがさすがに2日で全部計算を完了させるの は無理だった。おそろしく複雑になる。温度勾配の1次の影響はないことはす ぐ確認できたのだが。

基研に行き、古い論文をコピーしてChapman-Cowlingと見比べて考える。分っ たことは温度勾配でストレステンソルの対角和は影響は受けないが、個々の成 分は値が変わる。例えば温度勾配と同じ方向の対角成分は温度勾配の2乗に比 例して値が大きくなる。(横方向の対角成分は値が小さくなる。 ) この値がSSTで議論している圧力変化と解釈するなら ばSSTの予言そのままである。結合系で、この圧力の上昇が影響を与えないと は考えにくい。従ってSSTは正しい予言を与えていそうという事だ。勿論、ちゃ んと結合系で計算をしてみないと「ほれみろ」とは言えないが、有望であるこ とは間違いない。金君も興味をもっていたので出張中に独立に計算をしてもら うことにした。


5/17:

テスト前になると漫画が読みたくなるというのと同じ心理で、出張前になって 発表の内容と違う事を考えたくなった。そもそも発表内容以外にも打ち合わせ のためにノートを作るという話もあった筈だが。

気が散る対象はSSTである。昨日は理学部の院生と「SSTに誘惑されて何も残ら なかったら悲惨だ」とか話していたが気になることは気になる。田崎さんの日 記の記述もよく分らないので佐々に文句を言ったら懇切丁寧に教えて貰った。

そうすると本当に確かめたくなるのが人情。まず問題を2段階に分けてみた。 (1) 同じ温度の別々の容器に気体を入れて圧力が温度勾配の影響で変化を受け るか、受けるとしたら上るか下るか。(2)容器を小孔で繋いで粒子の出入り が平衡になる様にする。等温で平衡にしたときに圧力差が生じるか。この2つ の問題は何れも統計力学(というより気体分子運動論)で解答できる問題であ る。当然(1)の方がより簡単で、(1)が実現したら繋いでも圧力差は保た れるであろう。(2)の方がよりSSTのもとの設定に近い。因みにそれぞれが 平衡分布をする気体の小孔を介しての平衡では Knudsen effectとして知られておりP_1/P_2=(T_1/T_2)^{1/2}が実現する。

昼から計算をはじめて3時間程で分った事は、(1)の問題で温度勾配に比例 する項の入った非平衡分布関数を求めたが、その結果は圧力には影響が出ない。 次にこの手の計算をするときに不可欠なChapmann-Cowlingを持ち出す。すると (速度勾配や温度勾配の)2次のストレステンソルも載っている。しかし圧力 (対角和の平均)にはその影響が出ないと書かれている。とするとやはりまともに (2)を計算する必要があるということだ。(2)もそれほど難しくないと思 う。金君なら出来る。暇だったら僕の出張中に計算してみて下さい。研究会ま でにはっきりした結果が出れば飛び入りだな。

昨日の院生がもってきた問題も気が散る対象となっている。気が散るばかりで まとまらないのはいかん。


5/16:

健康診断の開始が遅れたあおりを食って授業にも少し遅れる。走って教室に行 ったから息が上って大変だった。授業後に理学部の院生と食事と雑談。SSTと は何か?多孔質膜に圧力差があれば流れが生じて定常状態(一方的に流れる) になると思うが、そんな当然な現象を議論している訳もなかろうと雑談。院生さんは 優秀な学生なので面白いアイデアを一杯もっており、そのことも紹介してもらっ た。

宗像さんのセミナー。(断熱)ピストンの話。正確にはBrownian Pistonであ ろうとのこと。簡単なシミュレーションと理論解析で、ピストン(揺らぎ)の 速度分布の異方性から系統的に(等圧な2つのセルの間の)ピストンは低温側 から高温側へ動くという話。熱力学に固執していたら出来無いであろうが(統 計)力学で簡単に話が出来るというデモンストレーションになっていた。最も あまり舞台裏をあかすと面白味がなくなるのは避けられない。


5/15:

Chemical Engineering Scienceの原稿を送る。投稿規定に従って書いたら51ペー ジにもなった。妙に長い。

授業。Michelsonの実験等。やっていることは単純だと思うが、どうも難しく 感じているようだ。授業をしながら次回の特殊相対論の事について考える。 PoincareとEinsteinとの確執についてノートが残っていない。思い出す必要あ り。流体はノートを配った分が終了。準備しないといけない。

Couette flowは考え出すといろいろ気になる。密度場は振動している部分が少 しある。すると一階微分がある筈だがそんな項がある理由はない。そもそも密 度を秩序変数と解釈するのには無理があるかもしれない。拡散場であればOKだ が、何が拡散しているのか?あまり密度差がないので相共存というのも無理が ある気もする。


5/14:

週末にCouette flowについていろいろ考える。まずは普通の極性流では12日 に書いた通り、密度を决める方程式もなく、圧力一定となって駄目である。次 にBingham流体として考えてみたがストレステンソルは速度勾配に依存すると いう形式は変わらないのでやはり駄目。また速度勾配がない状況で静力学の剛 塑性モデルになるというモデルでは今度は変数が多過ぎて方程式が足りず駄目。 という事で相転移モデル(model H)を試す。1971年のGoodman & Cowinの モデルもよく似た構造をもっており、定性的にパイプ流の記述に成功し ているのとずりでは部分的に固化が起ったりして流体相の性質が一様ではあり 得ないという事実の反映である。そういうモデルを採用すると圧力(静水圧) は一定であ るが密度(秩序変数)は定性的に数値実験の結果を再現できる。また速度や粒 子回転についても同様に定性的傾向は一致している。従って極性流+相転移モ デルでかなり記述範囲が広がる様になりそうな気配である。モデルとしてもレ オロジーの複雑怪奇なモデルに比べるとずっと簡単で分りやすく素性もはっき りしていて受け入れられ易いという点でも優れている。物理的なイメージにも かなり合致するのも強味である。 勿論、パイプ流でのGoodman & Cowinの理論を極性流で書き換える事は可能であるし、多分うまくいくであろ う。またこの解析をベースにして(たとえばパイプ流の)走行方向の不安定を 論じるのは場合によっては斜面流より簡単かもしれない。

何かぱっと展望が拓けた気もするが気のせいか。(経験上、気のせいだろう)。

ところで ここでの論争が今一歩噛み合っていないのは多分圧力という言葉が未定義 であるからだと感じるがどうだろうか。ずりをかけようが何をしようが静水圧は 等方的になるだろう。それは流体の定義である。しかし相転移を伴えば Osmotic pressureが生まれ、観測される圧力は異方性を持ちうる。因みに速度 分布の異方性は非平衡系ではありふれている。勿論、粉体もそうである。 SSTが何たるかを分っていないので見当外れかもしれないが、熱流はmodel Hの 秩序変数とカップルしており、それがOsmotic pressureを生み出すことは良く 知られており、 田崎さん の日記の記述は不思議には聞こえない。どっちにしても牧野さんの考えて いる場合は平衡そのものでSSTなんか要らなそうだ。

と 書いていたら、この種の線形非平衡熱力学にある流束はキャンセルするような 状況設定となっているという旨の連絡があった。やはり見当外れであったよう だ。SSTの全貌は分からないな。

なんてことをしていたらもう晩飯の時間だ。今日は原稿書きの日だった筈だっ たが何もしなかった。


5/12:

いろいろやらないといけない宿題があるとやらなくていいことをやりたくなる のが常。そのため今日はCouette flowについて考えてみた。結果は早く出る。 静止状態で接線応力を考えないモデルではうまくいかない様である。いつもの 通りの話であるが真面目に考える必要がある。そうすれば塑性流や静力学にも 適用できる話になるかもしれないという期待もある。


5/11:

原稿書き。また金君が更に改善をするというのでそれが正しいかどうかをチェッ ク。他の研究室の修論のチェックと改善要請。銀行への振込み。


5/10:

Chemical Engineering Scienceの原稿書きに終始。業界が変わると常識が違 うので面倒だ。論文の末尾に使った変数の一覧と次元を書く必要があるが2次 元系では常識と違う次元になるのでかえって混乱する。拡散の話は散逸率の計 算まで書くことにした。

物性研究。修論は今年は力作揃い(去年少なかった統計力学分野の投稿が多かっ た)で選定が難しかった。

金君との論 文がacceptされる。分らず屋のrefereeのために大幅に書き直して時間は 食ったが、その分だいぶ 良くなった。これで金君も心おきなく研究計画に書いた研究に専念できるであ ろう。


5/9:

授業4つで疲れる。物理学概論、やっぱり単振動とか等速円運動とかは文系に しんどいか。しかしこれなしだとお話で学生の要望とも合致しないのだが。流 体。相変わらず間違いが多い。ストレステンソルをテンソルの対称性一般論で 2パラメーターに落すのはちょっと無理がある。もっと直観的に説明する必要 を感じた。熱力学、符号を間違えた。学生さんに指摘された。出席は多いし、 注意深く聴いてくれる学生がいるということだ。有難い。大学院は非弾性衝突 の枕をして接触論へ。やはりノートの印刷ミスが多いことを発見。必要なこと が書いていないのにいらんことは書いてあるな。

セミナー。俵口さん。WKB近似の改良。数学的かと思ったがそんなでも なくて物理的直観で話を進めている点に好感を持つ。もっともその分ほんまか いなという処はある。まだD1なのにしっかりしていると言うべきか。もっと も話し方はうまくなかった。

暢(のん)か懐しいな。変な奴だっ た。S6瓦版とかS6学生新聞とか自分で作って私等をおちょくっていた。私は馬 賊だったそうだ。1982年理学部入学のS6では変な奴が多かった気がする。暢の 他、初対面でバニサドルと自己紹介をしたてる やす(マイナー雑誌の編集長をしていたと聞いたがどうなったか)等と変な連 中の多く(すくなくとも5人)は文転した。このうち3人は瓦版の執筆者 だ。恨ミシュランで有名な勝Pの他何人かは工学部の大学院に行った。勝Pは更 に新聞社に就職したのだが。また日常会話で不用意に数学用語(例えばコンパ クト)と言おうものなら叱られる変な数学科の学生がいた。現在、阪大助教授のKは 彼とセミナーをしていじめられて泣いたと言っていた。またナイトキャップを かぶって学校に来たり、バレンタインの日に生協で貰ったチョコをみせたら羨 ましがったりし、異常に優秀で京大院入試開闢以来の成績で合格したTもいた。 毎日、納豆に何もかけないで飯を食べていて「うまいか」ときいたら「まずい」 と答えた奴もいた。彼はよく警察官に説教をしていた(あるいは変な理屈をま くしたてていた)。家の中に毒蛇とかねずみとか訳の分らないものを一杯飼っ ていたのもいた。勿論、佐々も変だった。やっぱりまともな常識人は私だけだった 様だ。


5/7:

図書館で確定特異点4つの特殊関数を書いてある本を探すが見付からず。そん なものは興味がないのか、単に面倒なだけか。そんな事をしているうちに(僅 かな項数しか含まない)級数解と数値解がほぼ一致するという報を受ける。 \eta=0のまわりの展開だけでいいのか。(よろこばしいことに) 3日の計算は不要になった。数値解はシミュレーション解のベストフィットみ たいなものだからよって一巻の終わり。しかし基準解が結構複雑なので次のス テップに進むのはTechnicalに面倒だ。

午後は連続体の本の弾性波のところを書いていた。既存(Landau?)の本に似て 来るな。ますますこんな本の需要はあるのかと考えてしまう。本の特色を出す ためには塑性流動や塑性変形を書く必要があるが、それは容易ではない。粉の 剛塑性理論でも書くつもりがあったがどうも違う様な気がするし。。

Vortex flowは何でmicropolar的に扱っていないのか?と3年前に来た F. Nori のページを見ながら考えている。無散逸vortex 系は角運動量保存があるのだけどね。もっとも本質はPlastic Flow(塑性流) だからそういったものでは捉えられないか。


5/6:

連続体の教科書の手直し。説明の順番をだいぶ入れ換えた。かけた時間の割には能率が 上がらない。添字の順番とかの手直し。 こんな調子では完成は遠い。


5/5:

昨日と今日は花背に一泊。左京区内とは云え、冬は1mの積雪があるような別 世界である。山の家の利用も5、6回目となった。 今回はウォークラリー、野外炊飯(バーベキュー)、トトロの映画鑑賞、 裏山への登山等。 帰りは京北町廻り。途中マンガン鉱山跡による。 実は京都には中小のマンガン鉱山が沢山あり、驚いたことに金閣の裏山にも鉱山があった。今回の訪問先はその中でも最大のもので坑道が歩け、 また強制労働させられた朝鮮の人々の資料も充実していた。しかし客は私等だけ。 開設当初はNew York Timesにも紹介されたが、このままでは存続は難しいだろう。


5/3:

Fuchs型微分方程式と 特殊関数の復習。また\eta=1のまわりでの級数解をもとめてみる。特異点は無 限遠に一つと有限領域に3つ。だから超幾何関数 やRiemannのP関数等よく知られたものにはならない。 しかしこの 方程式の解はきっと知られているものに違いない。(情報求む) まあ必要な情報は全てあるのだからどうでもいいのかもしれんが。

休憩のために近所のTsutayaに行って高校の数学の参考書をみようと思ったら 皆無だった。昨日のニュースで日本の中学生は世界一勉強市内と報道されてい たが本当かもしれないと納得。他の本屋に行く。やはり文系の学生はsin xの 微分を知らないようだ。


5/2:

熱力学。Helmholtz自由エネルギーの導入あたり。どうせ差しか意味がないか ら基準点なんて持ち出さい方がわかりやすいかなと思いつつそのまま授業をし てしまった。やはりその点に質問があった。ノートを全面改訂を手が回らない。

大学院。Hamilton dynamicsからのLangevinの導出。細かな計算を省略したら すぐ終ってしまった。次回からどうするか。茨城の準備も考えないといけない が特殊になりすぎても教育効果がない。悩ましいが悩む時間もない。やっぱり 授業が多過ぎる。

今日は坂上君のセミナー。semi-flexible polymerのrod,triod(globule)形成の話。 Langevin方程式の数値解析だが面白い結果が出ている。他にもヒストンへの高 分子のまきつきなども議論している。DNA等のdouble helixの話が単に硬さと いうパラメーターで表現できるのか。驚くべきは実験の研究室に在籍しながら 理論研究を殆ど独力でなしとげたこと。また秋の学会でヒントを得て修論を仕 上げたパワーはたいしたものだ。但し、本人にも重々伝えたが修論自体は論文 の体裁をなしていない。これからも彼の指導教官が全く目を通していないことが明 白である。 仕方がないので僕がかなり赤を入れて、修論のサンプルを渡して論 文の書き方の基本を教えた。

とりあえず明日からは落ちこぼれないように級数解について考えてみよう。何 だかんだと言って厳密解だよね。こういった仕事を粉体流に留めておくのは勿 体ない。spin fluidなんていくらでもありそうだ。


5/1:

授業。物理学概論はKepler,Galielo->Newtonにたどりついた。Keplerの3法則 とNewtonの法則との関係を文系の学生にどうやって教えるか。連休中でも学生 は減っていない。気のせいか増えたか?今のところ反応はある。dy/dxという 記号が分らないというのには驚いた。微分はy’だそうだ。やっぱり相対論を 前期にやるか。連続体の方が反応 がない。ノートを配っているから聞くこともないのか。但しテンソルの添字の 順番の間違いを指摘された。後、講義すると不満が残る点を改善しないといけ ない。

昼に野口君が来る。三菱化学の水島工場勤務で大変そうだった。

推薦書とReferee's report 2つ を仕上げたがまた舞い込むものあり。明日の準備も しないといけない。

特殊関数というのは何と何が分っていればいいのか。まだチェックしていない が。遠方の展開になっているのであれば反対の展開も欲しい。これを基礎にし て議論を進めるのであればもうちょっと調べる必要がある。本当に既存のもの でないのか?ないとすると不思議な気がする。しかしこっちの方はもうすぐで すね。(何を書いているのか分らないかな)。