日記 (10月)


10 月の予定

  1. 10/2 授業開始
  2. 10/3 送別会
  3. 10/11 物性研究編集会議
  4. 10/15-17: Traffic and Granular Flow 01 at Nagoya (Invited Speaker)
  5. 10/18: 名古屋大学工学部土井研セミナー
  6. 10/22: 科研費提出期限

10/31:

2コマ統計力学の授業:位相面積*dE h^{3N}N!で割る話。Gibbsのパラドックスやエントロピーで説明のつくN!はと もかくhは量子力学の授業になってしまった。後の調和振動子のこともあるし。 しかしそれをさける手段はないのかな。

吉村さんのセミナーは期待以上に面白かった。極性も使えそうだしいろいろ未 知の現象がある。ちょっとやってみようか。

韓国よりメール。そうかJysooはしっかりご無沙汰だったが韓国に戻ったのか。 韓国は行ったことがないから暇とお金があれば訪問でもするかな。


10/30:

授業はバンドや半導体や超伝導の話。文系向きにはちょっと無理があるな。

どうも分布関数はSonine多項式の積で展開する様だ。計算が面倒なせいもある けどなかなかしっくりこない。急がないといけない。

学生が故障したコンピューターを送るために梱包しようとしたが出来無いとい うのでやってみる。すぐ出来るじゃないか全く。


10/29:

論文 のreferees' reportが帰ってくる。極端に割れたsplit decisionか。どちらに せよ書き直しは必要という事である。感蝕としてはちゃんと書き直して refereesを怒らせなければいけると思う。その善後策を御手洗さんに送る。

珍しい客人が訪問。だいぶ元気そうである。

残りは教務委員の仕事ばかりで何もできなかった。


10/28:

仕事をしようかと思ったが奈良での子供の行事につきあわされた。


10/27:

停電で家にいる。図書館に行き本を借りる。夕方は子守り。仕事は進まず。


10/26:

μ_rが決まる。Chapman-Enskogではこれを出せないが一番簡単に決まった。後 の輸送係数の決定は週末の課題。(明日は停電)。

田中良巳君が来る。衝突の事について議論。こっちの計算も中途半端であるこ とを痛感。一見して分かる明らかな間違いを発見したが、国際会議ではそのま ま発表していた。一見していないことがばれる。ともかく3次元をやらにゃあ ならん。1月あれば(解析はともかく)計算は出来るだろう。


10/25:

ぼちぼちと計算をまとめ直す。とりあえずProceedingsでは非散逸極限で Boltzmann近似に話を限定しよう。shearは現状の報告。構成は(できれば) 2次元非散逸極限Boltzmann近似で極性流体力学を導出して斜面流の話をし、 shearの話にもっていき問題点を整理する。3次元とかEnskog近似とか散逸の 効果は後まわしでちゃんと投稿論文として書くことにしよう。その時は境界層 の理論もちゃんとしないと...Duftyの論文があるな。

久し振りにPRL,PREを見たら、世の中の情勢としっかりずれがあることを認識。 しかしBECネタが多いですな。


10/24:

授業2つやってセミナーがあるとぐったりする。


10/23:

前回の授業で休講にすると予告し忘れて休講掲示のみだったせいか授業の出席 人数が少ない。授業(文系)は量子統計から特にFermi(というより排他律) に焦点をあてて周期律や化学結合の話。

午後はPlasma中のVorticesの事を考える。5時から際本さんが実験の紹介セミ ナー。Super-Normal mixtureと似ているがどこまでアナロジーが成り立つか は分らない。


10/22:

事務の人に確認した後、科研費の申請書類のコピーと糊付。教務の仕事をやり 出したらWindows machine(s?)も死にかけで手間取る。水曜に聞き逃がした金 君の話を聞く。だいぶ怪しい。


10/21 :

姫路城を見に行く。城郭体系を全巻持っている私としてはコメントをせざるを 得ないがちょっと時間がないので後日。


10/20:

変更が多かったせいか今年の科研費マクロの完成度は今一つで悪戦苦闘した。 そもそもエラーが多くでていらいらが募った。本当にプログラムを組んでいる ようだ。とは言ってもこれを無償で作ってらっしゃる青木さんを始めとする方々 には感謝。それにしても手書でぽいと出して済んでいた時代は遠くなった。 大体完成で後はちょっと事務に聞いてからコピーだ。

田崎さん、ご足労頂き申し訳ありません。最初から「素粒子から宇宙へ」 (名古屋大学出版 1994, ISBN 4-8158-0222-X)を挙げておけばよかったかな。 ここには牧野さんが触れていた中央公論1985/12 の文章もあります。茅コンファレンスで父が田崎さんに会った後、田崎さんに 対する高い評価を聞いた事は覚えています。

来週はきっと教務委員の仕事に振り回されるだろう。出張で一度頭が物理から 離れてしまったのは痛い。出張中の方がうまく頭が回るという人が多いが、ど うも真似が出来無い。


10/19:

科研費の申請書類を書かないといけない。構想はかたまりつつあるがその前に 今週の出来事でも書こう。

牧野さんの日記(10/16)で何か取り上げられているな( どうでもいいが片岡リンクも夏みかんもリンク先が正しくないぞ)。確かに この文章の最後で「研究者を志したときから二流を指向し、時に三流の仕事や 一流の真似事をさせられたが、今も初志を貫こうとしている」と記されている のは、特に宇宙関係の人には厭味かもしれない。しかし彼の廻りを見れば自然 な感想や心掛けだったのだと思う。Landauが研究者の等級付をした話は有名で あるが、悪趣味かどうかは別にして、やはり素晴しい業績を持つ一流の研究者 がいる事は紛れもない事実である。また 階層構造は3流で終わりではない。4、5流と延々と続く。 僕の修士の頃の論文は明らかに4流狙いであったが今でも他人と盛り上る事が 出来るのは望外の喜びである。今は2流狙いだが二流の仕事を為すのは僕にとっ てはなかなか難しい目標である。

科研費全然進まない。年々筆が遅くなる。今年はTexの方もうまく動かないぞ。


10/13:

やっぱり完全に終わる処まではいかなかった。しかし現在の方法で輸送係数が 確実に求めることが出来ることは確認できた。後は計算すればいい。(そこが 結構面倒なのだが)。どちらにしても極性流体力学が導出できるようになった ことはめでたい。

科研費の書類を少しいじる。財団に申請した作文を貼り付けて動くかどうかを 見ただけ。まあなんとかなるだろう。名古屋で作文する必要はなさそうだ。

OHPを作成。議論込で40分と1時間半だから一緒にしようとすると無理がある。 基本は御手洗さんとの論文と学会での発表の合体である。導出の話は言葉で書 いたがTGFでは省略するだろう。木曜迄に芳しい結果が出れば土井研では導出 法の概略も喋るかもしれない。

さて田崎さんの今日の日記だが、全く同意できない。秋光さんの言葉はその通 りだと思う。廻りにはambitiousを持ちすぎて不幸になる人間ばかり見ている。 大学院生が不登校になる場合にできることとやりたいことの乖離がある場合が 多い。大学入試でも然りである。思春期にはそうした乖離はかなり普遍的に生 じるだろう。かく言う僕もそういう時期があった。こうした人の多くは妄想家 と看倣され、悪くすれば精神を病む。

研究者であっても職がないのに研究に (特に素粒子論等のような分りやすい分野に)しがみ ついているのはやはりambitiousがあるからであろう。しかしこのことは多く の才能のない研究者にとっては実に不幸な事である。現実がまるで見えないと いうのは破滅的である。職を幸いに得られたとしてもやはり過度のambitious は不幸である。京大にも某研究所にambitiousをもって研究されている方がい るが(あまり大学に来ることもなく)見るからに不幸である。対外的には重要 なポストが一つ死んでいるとしか思えない。こういう事例を各レベルで多々見 るにつけ、田崎さんは余程恵まれた人しか見ていないのではないかとまで思っ てしまう。

学術月報, 1985年38巻2号の冒頭に「性にあった流儀を選べ」という小文があ る。そこでは、 当然のことだが一流の研究を成功させるためには、それに至る積み上げや 一流の仕事を大きく発展させることが必要である。こうした研究は2流である。 2流の研究を支えるのはそれを支援する地味な3流の活動が必要であるとして いる。また研究者には一流より二流、二流より三流が多く、そうでなければ研 究の健全な発展はないとしている。従って各研究者が適性にあうところを占め、 そこで能力を発揮して初めて研究成果があげられ、各人も満足を得られるとし ている。従ってこの小文では適性を的確に見出すことを勧めている。但し適性 は時と共に変わり得ることも指摘している。

勿論、過適応は馬鹿になるという秋光さんと田崎さんの意見は当然である。従っ て秋光さんの意見はまさにその通りである。しかし田崎さんの本日の意見には 全く同意できない。あてはまるのは日本のリーダーとして本来一流の仕事をし なければならない少数の人だけだろう。田崎さんの念頭にあり批判の対象となっ ているのはそうした人たちだと思えばいいのだが読者は多いのであるから誤解 を招くと思う。


10/12:

とりあえずωの固有値は解析的に求まった。また摂動論の基底も決まったので (ゼロ固有関数でないもので展開していいのかという事はさておき)極性流体 の輸送係数は全て運動論によって計算できることになる。従来の複雑怪奇なも のより遥かにすっきりしておりバルクに関してはほぼすっきりとした話に収束 しそうである。とは言っても実際の計算は亀の様にゆっくりやっているので見 通し通りにいくかどうかは分からない。とりあえず無散逸の2次元を完成させ て、散逸の2次元と3次元に拡張していく必要がある。今は温度を一つにして いるが2種類の温度が必要になるだろう。出張がもう一週後だったら2次元の 話を軸に据えて颯爽と喋る事が出来たかな。来週は会議よりも計算をつめる方 が大事かもしれない。

しかし境界層の解析はまだその先にある。これが完成しないと実際の現象には あまり役には立たないかもしれない。

しかし先週に引き続き、これからというところで会議にtrapされてしまった。

明日はOHPと科研費の下書き。計算は今晩で一区切りしないといけない。


10/11:

疲れからか目が痛い。科研費をそろそろ考えないといけない。来週出張という のはこういう処で困る。出張の準備もしないといけない割に全然進展がない。 そもそもωは線形化Enskogの固有関数になっているのか心配だ。

遠方との共同研究者とのやりとりは隔靴掻痒。

物性研究の編集会議。Online Journalに出来ればいいのだが資本も人手もない。


10/10:

ノー ベル化学賞に野依さん他。彼は候補として上っていたので世間に去年程の驚きは ないであろう。名大初の受賞。名大関係者は溜飲が下ったろうと思ったら京大 で学位を取っている。

同じ授業を連続してやるとどうしても2コマ目の方が早くなるのは避けられな い。その場でやっている計算や方針等で迷う時間がないためだろう。

大学院の授業は学生の体調不良でなし。セミナーは講師の準備不足で崩壊。


10/9:

線型化(極性)流体方程式の固有値解析は完了。昨日のには勘違いがあったの か今日の解析では通常の流体と変わらない簡単なものになった。ωの緩和はゼ ロモードでもあるのでやはりゼロ固有値だけではうまくいかない。線形化 Enskogに戻って解析をやり直す必要がある。

Nobel賞 . 残念ながら今年も小林、益川は駄目だった。Bose-Einstein condensationだって。BoseもEinsteinもこれでは貰っていないのだが。 Einsteinにとっては取るに足らない仕事の一つである。いつも感じるが実験偏 重だと思う。

授業。今日はEinsteinのより重要な業績である分子の実在についてを解説する。


10/8:

午後は子守り。午前は学校にちょっと来たがネットワークの不調ですぐ帰る。 御手洗さんにFax. BGKと線形化Enskog方程式の関係について。子守りをしなが ら線形化流体方程式の固有値解析をしたが複雑。

ニュースは情報ゼロ。泥沼だと思うのだが。それにしても94%が支持というの はアメリカらしい単一的反応である。

それよりヌデレバが高橋の記録を1分も破ったことに驚く。10/5の時点での予 想はここにある。高橋に届くかどうかというもの であった。


10/7:

幼稚園の運動会。

サイモン・シンの暗号解読を読む。非常に面白い。暗号とそれにかかわる歴史 だけでなく暗号そのものの解説も秀逸である。ポーの「黄金虫」等の推理小説 に現われる暗号やナチが使っていたエニグマの解読、それに関かわったチュー リングの非劇的な死、ヒエログラフや線文字Bの解読等興味のつきない話題で 満載である。但し量子暗号と量子情報理論の箇所はうまく説明できていない。 いずれにしてもシンの前著「フェルマーの定理」に劣らない傑作である。啓蒙 書でこれだけ書けるというのは驚くべき事と言わざるを得ない。


10/6:

衝突で反転不変量である回転をどう処理するのかいいアイデアもなく徒らに時 間が過ぎてしまった。とりあえず回転と回転中心からのベクトルの外積を作っ て衝突不変量にしてから議論をしてみよう。しかし8月から同じところをグル グル回っている様で進歩がない。ここが解決すれば道は拓けるのだが。

不注意力散乱の意味を理解。

やりたい事は一杯あるが出来無い事も一杯あって手が出せない。PG2001の後に リストアップしていたことは殆ど手が回っていない。今の問題を解決しないと 科研費の書類も書きにくい。


10/5:

結局オーソドックスに如何にBGK近似を導くかという作業に従事。普通の場合 はhydrodynamic modeが線形化Boltzmannの ゼロ固有値だから生き残って緩和先を决める。そこか ら展開したものがBGKという分りやすいストーリーがある。しかし回転がある と回転は衝突に対して反転不変量なので単純なゼロ固有モードにならない。そ こをどうやって単純に表現するのかという難問が残っている。これが出来れば バルクの極性流体の導出も出来ることになる。ここが正念場かと思ったら会議 にtrapされる。

Hans Herrmannから こんなページを教えて貰う。彼も頑張っている。砂丘も面白い。


10/4:

なかなか蛮勇を奮えない。線形化BoltzmannからBGKは「導出」できる。回転の ある場合も同様に議論できるか、Enskogの場合には展開していいのかとあれこ れ考えるていて生産的ではなかった。


10/3:

同じ授業を続けて2回やると2回目の方が早くなる。どうせ1コマ目は人が少 ないから2コマ目に合併してくれないかなと思う。反応が乏しい。

午後からのセミナーと大学院の授業(受講者が少ないので後期は学生が発表す る)は双方とも発表者の準備不足。セミナー自体は流れてしまった。

深尾さんが工繊大に栄転されたのでその送別会。


10/2:

授業と課題演習の顔見せ。流体力学でKarman渦の問題をきっちり解いた学生 は選択しなかった様である。授業は特筆事項はないがひさしぶりなので疲れた。

とりあえず線形化Enskogを強引にBGKにしてしまうことにしてみる。そうすれ ば計算可能ではある。蛮勇を奮って計算する必要がある。


10/1:

10月だということで(僕は明日から)授業開始。後期は統計物理2コマと文系 物理1コマと3年向の理論の課題演習、それと大学院の授業。沢山あるので大 学院の授業を課題演習の準備と兼られる様に工夫をする。飯間君の「昆虫の飛 翔」を3年で勉強するのだがプログラムとかのdebugとか、他の方向とかを M1と一緒に考えながら行う。

点数を成績表につけることは完了。refereeを2つ仕上げる。

高橋の世界記録についてのコメント