I. 記号論理学とは何か

この章では,記号論理学が生まれた背景やその後の発展の 歴史をたどりながら,記号論理学の基本的な考え方, 関連する分野,対象とするさまざまな形の論理, などについて概観する.

目次

1. 記号論理学の誕生
2. 記号化の基本的な考え方
3. 数学基礎論との関わり
4. 計算機科学等との関わり
5. さまざまな論理

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1. 記号論理学の誕生

一言で言えば,論理学とは我々のさまざまな思考を支配する法則 (思考の法則)を研究する学問である.論理学は長い歴史 をもつ.中でも有名なのはキリスト紀元前4世紀の古代ギリシャ時代 のアリストテレスによる論理学である.その流れを中世ヨーロッパの 哲学者が受け継いだが,アリストテレスを越えるものは長い間現れなかった.

論理学の研究が大きな変貌を遂げるのは19世紀に入って からであるが,その先駆けとも言えるのは17世紀の ゴットフリート・ライプニッツである.ライプニッツは 当時のさまざまな学問の体系化・記号化を企てた.今日でも 用いられている微積分学の記号法はライプニッツに遡るもの であるが,ライプニッツは論理学も同様に記号化することを 考えていた.

19世紀の新しい論理学の特徴はライプニッツが夢想していた ような記号的方法が現実のものとなったことにある.この 記号的方法を駆使する論理学をそれ以前の論理学と区別して 「記号論理学」と呼ぶ.記号的方法はちょうど数学に おける記号・数式の使用(これは16世紀のフランソワ・ ヴィエトに始まると言われる)に相当するもので,数式の 代わりに「論理式」(単に「式」ということも多い) を用いる.このような記号化によって数学的な研究方法が可能 になるので,記号論理学は別名「数理論理学」とも呼ばれる.

19世紀の記号論理学はジョージ・ブールがその著作 「An Introduction to the law of thought(思考の法則入門)」(1854) において今日「ブール代数」と呼ばれるものを提案したことに始まり, ゴットロープ・フレーゲの「Begriffsschrift, ...(概念記法,…)」 (1879)やジュゼッペ・ペアノの「Notations de logique(論理の記法)」 (1894)などの研究により次第にその形を整えていった. ブールと同時代のオーガスタス・ド・モルガンの著作 「Formal logic, or the calculus of inference (形式論理学,あるいは推論の計算)」(1847)の果たした役割も大きい.


2. 記号化の基本的な考え方

記号論理学の体系として最も基本的なものは「命題論理」 と「述語論理」である.これらが論理をどのように記号化 しているかをここで簡単に見ておきたい.

2.1. 命題論理の場合

「命題」とは真偽が決まるものをいう.命題論理では命題の内容には 立ち入らないで,その真偽のみに注目する.そのために命題を 「原子命題」というもので記号化し,それらを「論理結合子」 と呼ばれるもので結んで,一つのまとまった主張を組み立てる.

抽象的に述べてもわかりにくいので,一種の論理パズルを 例に選んでこの考え方を説明してみよう.この論理パズルでは, ボールが一つだけ入る箱を複数個用意し,いくつかの条件を与えて, それを満足するようなボールの入れ方を問う.この設定を 命題論理の言葉に翻訳するには以下のような概念を用いる:

原子命題

命題論理では「箱Aの中にボールが入っている」, 「箱Bの中にボールが入っている」, 「箱Cの中にボールが入っている」,というような基本的な命題を a,b,c であらわす.これらの原子命題は真(True)か偽(False) の二つの状態(正式の用語では「真理値」)のみをとるものとして扱う. 言い換えれば,それ以上の内部構造をもたない原子のようなものと見なす.

論理結合子

論理結合子(論理演算子ともいう)と呼ばれる記号 ∧(連言あるいは論理積),∨(選言あるいは論理和), ¬(否定),→(含意,⊃ともあらわす),↔(同値) を導入する.これらはそれぞれ「かつ」,「または」, 「でない」,「ならば」,「と同値である」という意味をもつ.

論理結合子 使い方 意味      
連言∧P∧QPかつQ
選言∨P∨QPまたはQ
否定¬¬PPでない
含意→P→QPならばQ
同値↔P↔QPはQと同値である

論理式

原子命題を論理結合子で結んでできるもの(いわば分子に相当する) が,命題論理の論理式である.例えば,

パズルでは,このような条件をいくつか与えて,それらを満たすような a, b, c の真偽の指定の仕方(つまりボールの入れ方)を問う. これは一般に「充足問題」と呼ばれるものの典型的な例である.

2.2. 述語論理の場合

述語論理はこの論理パズルよりも複雑な状況(たとえば数学) を記述するのに適している.命題論理では基本的な主張を 原子命題として記号化しているが,述語論理では代わりに 「述語」と呼ばれるものを用いる.

述語

述語とは「xは素数である」,「xはyよりも小さい」 というように,何らかの性質や関係をあらわすもので, 記号的に Prime(x),x < y などで表現される. 命題はそれ自体の真偽が決まっているが,述語は x や y などが 具体的に指定されてはじめて真偽が決まる.
述語論理の論理式はこのような述語から構成される.その際, 論理結合子∧,∨,¬,→に加えて,「量化子」(「限量子」 とも言う)を用いる.
量化子

量化子には∀(全称量化子)と∃(特称量化子)の 二種類がある.これらはそれぞれ述語中の変数に伴って 用いられる:

量化子使い方意味
全称量化子∀x P(x, ...) すべての x に対して P(x,...) である
特称量化子∃x P(x, ...) ある x に対して P(x,...) である

例えば「人間は皆死ぬ,そしてソクラテスは人間である, したがってソクラテスは死ぬ」という有名な例を考えてみよう. 「x は人間である」という述語を Human(x), 「x は死ぬものである」という述語を Mortal(x) とあらわせば, これは

1: ∀x (Human(x) → Mortal(x))
2: Human(ソクラテス)
3: Mortal(ソクラテス)
の1, 2から3を導出する推論として記号化される.


3. 数学基礎論との関わり

19世紀後半,それまで直観に頼って展開されることの多かった 解析学を厳密に再構成する試みが盛んになった.その過程で, 解析学の基礎である実数体系にも反省の目が向けられた. ゲオルグ・カントールの集合論はそのような問題意識から 派生して生まれたものであるが,集合論が発展するにつれて, そこにはさまざまな矛盾やパラドックス(逆理)が内在することが 次第に明らかになった(中でもバートランド・ラッセルが指摘した パラドックスは有名である).19世紀末には, 集合論は数学のあらゆる理論の基礎である, という認識が定着していたので,そこに矛盾が内在することは 数学自体の基礎を揺るがしかねない重大な事態だった. こうして,20世紀初頭には,集合論の基礎を問い直すことが 重要な問題として浮上した.矛盾のない集合論を構築する試みは E. ツェルメロやA. フレンケルらによって進められて, 後に「公理的集合論」と呼ばれるものに発展していった.

集合とならんで,数もまた数学の最も基本的な概念であり, 数学の基礎をめぐる研究の題材となった. 自然数論や実数論の源流は19世紀のユリウス・デデキントの 「数とは何か,何であるべきか」などの著作やペアノの自然数の公理にある. また,独自の記号論理学を創始したフレーゲは著作 「Grundgesetze der Arithmetik(算術の基本法則)」(1893) において数の算術などを論理的に基礎付けることを論じた. ラッセルはフレーゲのこの研究の中に有名なパラドックスを見出したのだが, 師のアルフレッド・ホワイトヘッドとともに,フレーゲの構想を受け継いで, 全数学を記号論理学の中に再構築することを試みた. この試み(論理学を数学の上位に位置づけるという意味で「論理主義」と呼ばれる) は著作「Principia Mathematica(数学原理)」(1910〜13)に結実した.

他方,19世紀末から20世紀前半にかけての代表的な数学者である ダフィット・ヒルベルトは,ユークリッド幾何学の公理の研究を通じて 実数論の無矛盾性の問題に行き当たった.ヒルベルトが20世紀初めに提起した 有名な一連の問題の最初に「算術の公理の無矛盾性を証明せよ」 という問題があるのはこのような経緯による (ここで「算術」と言っているのは実数の算術体系のことである). ちなみに,ヒルベルトの第1問題はカントールにさかのぼる集合論の 「連続体仮説」を扱っている.ヒルベルト自身はその後10年余りの間 この種の問題から離れて,解析学や数理物理学の研究に取り組んだ . その間にラッセルとホワイトヘッドの前述の著作が現れた.

1917年頃ヒルベルトは再び数学の基礎の問題に立ち戻り, 算術などの無矛盾性の問題を公理的な方法によって研究するプログラム (ヒルベルトはそれを「証明論」と呼んだ)を打ち出した. ヒルベルトは自然数論や実数論などの数学の理論を 記号化された「公理系」と「推論規則」からなる 「形式的体系」として考察することを提案した. 形式的体系における「公理」は数学の公理を論理式という記号列に 翻訳したものである.「推論規則」は言葉で行われる通常の推論を 論理式に対する記号的操作(形式的推論)として定式化したものである. 数学をさまざまな人物が登場する劇にたとえれば,形式的体系は脚本に相当する. この形式的体系の「無矛盾性」(すなわち, Aという主張と¬Aという主張がともに導かれることはないということ) を示せれば,数学の理論の基礎付けの問題は解決する, というのがヒルベルトの考えだった.このように,現実の数学の論理構造を 形式的体系に写し取って研究する立場を「形式主義」という. さらにヒルベルトは形式的体系のより積極的な使い方として, 与えられた命題Aが公理系から形式的推論によって導出できるか否かを 有限的手続きによって判定する問題(決定問題)を呈示した. この問題が解けるならば,数学を扱う万能の方法が得られることになる.

しかしながら,クルト・ゲーデルは1931年の論文 「Uber formal unentscheidbare Satze der Prinpicia Mathematica und verwandter System(Prinpicia Mathematica とそれに関連する体系の 形式的に決定不可能な命題について)」(1931)において ヒルベルトの期待を裏切る「不完全性定理」を発表した. 実際には,この定理は「第一不完全性定理」と「第二不完全性定理」という2つの部分からなる. 第一不完全性定理によれば,形式的体系の公理系に自然数論の公理系が含まれる限り, 前述のような形式的推論では証明も反証もできない論理式が存在する (正確に言えば,このとき公理系の無矛盾性を仮定している). これは形式的体系の証明能力が完全ではないことを示している. さらに,「第二不完全性定理」によれば,形式的体系の無矛盾性も ヒルベルトが期待した形では原理的には証明できないのである.

このような数学の基礎に関する問題を扱う研究分野を「数学基礎論」という. 数学基礎論,特に証明論は考察の対象が通常の数学とは質的に異なる. 通常の数学が扱うのは数・函数・方程式・図形などであるが, 証明論はそのようなものを扱う数学の理論自体の論理構造を考察の対象とする. そのために,数学の理論を公理系と推論規則からなる形式的体系として定式化し, 「外から」客観的に考察する,という考え方をとるわけである. 証明論はこのように対象とする数学を一段高い所から見ていることになるので 「超(メタ)数学」とも呼ばれる. その意味で,不完全性定理は超数学の定理である.

第二不完全性定理はヒルベルトのプログラムにとっては大きな打撃であったが, これによって数学基礎論が息絶えることはなく,むしろそこから 現代的な数学基礎論の発展が始まったと言ってもよい. 自然数論や実数論の無矛盾性問題については,ゲーデ自信による研究や, G.E.G. ゲンツェン,竹内外史らによる異なる観点からの研究が行われた. こうして,数学基礎論はゲーデルの不完全性定理以後もさまざまな経過を経て発展し, 今日に至っている.


4. 計算機科学等との関わり

ゲーデルの不完全性定理はまもなく別の方面にも大きな影響を 及ぼすことになった.それはアロンゾ・チャーチの論文 「An unsolvable problem of elementary number theory (初等整数論の非可解問題)」(1936)と アラン・チューリングの論文「On computable numbers, with an application to the Entscheidungsproblem (計算可能数,ならびにその決定問題への応用)」(1936) に始まる.チャーチとチューリングはそれぞれ別のやり方で, ヒルベルトの「決定問題」を否定的に解決した. すなわち,決定問題を一般的に解く有限的手続きは存在しない, ということを示したのである.この意味で,ヒルベルトのプログラムは 「2度死んだ」ことになる.

チャーチとチューリングは見かけ上まったく異なる枠組みで決定問題を解釈して, この同じ結論に到達した.チャーチが用いたのは「ラムダ計算」という抽象的な計算の枠組である. 他方チューリングは現在では「チューリング機械」と呼ばれる仮想的な機械の概念 (これはその後出現する計算機の概念を先取りするものとなった)を導入し, この機械では答の出せない(「計算不可能」な)問題の存在を示すことによって, 決定問題に対して否定的解決を与えた.

このような論理と計算の関係はゲーデルの不完全性定理の証明の中にも はっきりとした形で現れている.ゲーデルはそこで今日「原始帰納的函数」 と呼ばれる概念に相当するものを実質的には導入している. この概念を少し拡張した「帰納的函数」は「計算可能な函数」の数学的定式化であり, 今日もラムダ計算やチューリング機械とともに計算概念の基本的なモデルとして 用いられている.その意味で,ゲーデルの論文は今日の計算機科学の 先駆けともいうべき内容も含んでいるのである.

記号論理学と計算機科学はその後もさまざまな形で影響を 及ぼし合っている.たとえば,プログラムの意味を論じる 「プログラム意味論」や,プログラムの正しさを検証する 「プログラム検証論」では記号論理学の考え方や方法が その基礎にある.また,プログラミングパラダイムの一つ である「論理プログラミング」は文字通り記号論理学の応用である. 「人工知能」は人間の思考(の一部)を機械で実現しようと するものであるから,「思考の法則」の追求から始まった 論理学がそこに関わってくるのは当然であろう. また,数学における定理証明を計算機上で実行する 「自動証明」の研究も行われている.

計算機科学と関わりの深い言語学・認知科学でも, 記号論理学の方法による研究が行われている. 特に有名なのは,60年代後半にR.モンタギュが開始した, 様相論理の枠組に基づく自然言語の研究(モンタギュ文法)である.


5. さまざまな論理体系

記号論理学が対象とする論理の体系にはいろいろなものがある.

最も基本的なものはすでに触れたような「命題論理」と 「述語論理」である.命題論理はブールが最初に考えた 論理に相当するもので,すでに例で示したように,命題の内容には 立ち入らないで命題の「真・偽」のみを問題にする,という立場を 抽象化したものである.計算機やデジタル機器を構成する 論理回路は命題論理の典型的なモデルである.これに対して 述語論理では述語を通じて論理式の中にさまざまな対象 (たとえば数学における数・集合・写像など)を表わす記号 が入り込む.述語論理は我々が通常行っている「事実」の 認識・記述(数学はその典型例である)を抽象化したものと 考えられる.

【注意】正確に言えば,命題論理は「古典命題論理」, 述語論理は「古典述語論理」と呼ぶべきものである.実際, 次に紹介するように,古典論理から「排中律」を排除すれば 直観主義論理と呼ばれる論理体系が得られるが,そのうちの 命題を扱う部分を「直観主義命題論理」,述語を扱う部分を 「直観主義述語論理」ということがあるからである. この意味で,「命題論理」は命題を扱う論理,「述語論理」 述語を扱う論理の総称として用いられる言葉でもある.

命題論理と述語論理は「古典論理」と総称される. アリストテレス以来の流れに沿う論理だからである. これらに対して,20世紀に入ると,ちょうど物理学で 古典物理とは異なる量子物理が現れたように,記号論理学 の研究でも古典論理以外の論理(非古典論理)が 研究されるようになった.非古典論理の代表として 「直観主義論理」と「様相論理」がある.

直観主義論理はL.ブラウワーが数学に対する新しい考え方として提唱した 「直観主義」の流れを汲む論理で,古典論理において認められている 「排中律」を排除する立場に立つ.排中律とは,Aとその否定¬Aの いずれかが必ず成立する,ということである.これは一見自明なこと のように思われるが,「成立する」ということを「証明できる」 と解釈すれば,決して明らかなことではないことがわかる. また,排中律は背理法による証明の根拠をなすものなので, 直観主義では背理法による証明は認めない.直観主義も 20世紀初めの数学の基礎の問題をめぐって登場した考え方である. ブラウワーは数学の証明から背理法などを排除し, より直接的・構成的なものにすることによって, 当時の数学の危機が乗り越えられる,と主張した (ヒルベルトはブラウワーとの激しい論争を通じて 「形式主義」の考え方を深めていった,という面もある). 直観主義論理はその後,数学基礎論の対象としてよりもむしろ 新しい論理体系としての関心を呼び,位相空間論やカテゴリー論との 関わりなど,数学的に豊かな構造をもつことが明らかになっている.

様相論理はアリストテレス以来の伝統を有する論理で, 「事実」を記述する古典論理に「可能性」や「必然性」などの 要素を加えたものである.有名な「風が吹けば桶屋が儲かる」 という話はその意味では様相論理の守備範囲に入ると言うべき かもしれない.実際,この主張には 「風が吹けば,桶屋が儲かることもある」, 「風が吹けば,桶屋は必ず儲かる」, 「風が吹けば桶屋が儲かるに違いない」 などいろいろな捉え方があり得るが,様相論理では このような違いを記述することができる.また,この話は 「風が吹いたので桶屋が儲かった」というように原因・結果の 関係や時間の経過を述べたものと解釈することもできるが, 様相論理ではこのような因果関係や時間の要素を表現する こともできる.以上のように,様相論理は我々が現実に出会う 世界に近い状況を記述することができるので,計算機科学や 言語学・認知科学でさまざまに応用されている.

さらに,原子命題や述語に対して「真」と「偽」以外の真理値を 許す論理もある.そのような論理を一般に「多値論理」 と総称する.多値論理の中でも有名なものに,工学分野で関心を 集めて工業製品にも応用された「ファジー論理」がある.これは 真を 1,偽を 0 の値であらわして(これはブール自身が行った ことである),その間の任意の実数値を(いわば「グレーゾーン」 として)許すことが特徴である.

1980年代後半に見出されて脚光を浴びた新しい論理体系に 「線形論理」がある.線形論理の大きな特徴は「資源」 の概念を扱えるという点にある.このことを説明するために しばしば次のような例え話が引き合いに出される.100円の 缶コーヒーと100円の缶ジュースが買える自動販売機があるとする. 「100円をもっている」という命題をA,「缶コーヒーが買える」 という命題をB,「缶ジュースが買える」という命題をCとすると, この状況は「A→B」および「A→C」となる.古典論理では これから「A→B∧C」が導かれるが,これは「100円あれば 缶コーヒーと缶ジュースが両方買える」という意味になり, 明らかに経済概念に合わない.本当は「100円あれば 缶コーヒーと缶ジュースのどちらか一方のみが買える」とか 「100円玉が2枚あれば缶コーヒーと缶ジュースが買える」 という命題が出て来てほしい.線形論理ではこのような状況が 正しく記述できるのである.このような例を敷延すれば, 計算機やネットワーク上で複数のプログラム(プロセス)が 共有資源にアクセスするような状況も同様であり,実際に, そのような状況を線形論理で扱うような研究も行われている.


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