本論文ではLGV公式を用いる数え上げの方法とその3 次元Young 図形 に関連するいくつかの問題への応用を解説する. 特に最終的な目標とし て, 最近の研究であるDi Francesco らによるある種の閉路(de Bruijn 閉 路と呼ばれる) の数え上げを紹介し, その3 次元Young 図形に対する応用 を扱う.
本論文の構成は以下の通りである. 第1 章で論全体の流れを簡単にま とめた後, 第2 章ではYoung 図形に関する基本的な事項について触れる. ここでYoung 図形の母関数やYoung 図形による二項係数の拡張を扱い, 3 次元Young 図形と平面分割について軽く述べる. 第3 章では格子経路 における非交差経路の数え上げの問題を扱った後, 一般の経路における非 交差経路の問題をLGV 公式の観点から考察する. 第4 章では直方体の内 部に制限された3 次元Young 図形の個数と, 個数に関する母関数を非交 差経路の数え上げ問題に帰着させることで行列式表示として求め, その 結果としてMacMahon の公式も導く. また回転に対する対称性を備えた 3 次元Young 図形についても扱う. 第5 章ではSchur 関数を組み合わせ 論的な観点から導入し, Jacobi-Trudi 公式を非交差経路の数え上げに帰着 して導出する. またそこから得られるWeyl 公式を使って直方体内部の3 次元Young 図形の母関数を4 章と違うやり方で導出し, さらに対称性を 持つ3 次元Young 図形の母関数の導出も行う. 最後に第6 章においてde Bruijn 閉路の数え上げに関するDi Francesco らの研究を紹介する. また de Bruijn 閉路の応用として対称性を持つ3 次元Young 図形の数え上げを 再び扱う.