教育研究業績(2002年度版) (作成した教科書,教材) @平成8年〜現在 ?UnixシステムとCプログラミングのオンライン教材 (http://www.math.h.kyoto-u.ac.jp/~takasaki/edu/c/). WWWブラウザで閲覧しながら演習を行うための教材として作成し, 随時改訂しながら,半年間の演習科目の中で実際に使用している. 内容は,Unixシステムの基本的な使い方の説明から始まり, 段階的にC言語によるプログラミングの方法を学ぶことができる ように構成されている.インターネットで公開しているが, 学外からも頻繁にアクセスがある. @平成12年〜現在 ?数理論理学のオンライン教材 (http://www.math.h.kyoto-u.ac.jp/~takasaki/edu/logic/). 全学の学部学生向け科目の講義内容に大幅加筆して,WWWブラウザで 閲覧できる資料としてまとめたもの.記号論理学の数学的背景や 意味論的取り扱いと形式的取り扱いの両面を,古典論理を中心に 詳しく解説している.随時改訂しながらインターネットで公開しているが, 学外からも頻繁にアクセスがある. (著書) 1. 新入生のための数学序説 #単著 $平成13年2月 %実教出版 \集合と写像に基づく現代的な言葉で高校数学の内容を体系的に再構 成し,新入生が高校数学を復習しながら自然に大学の数学のスタイル を身に付けるように配慮した教科書.高校の数学教育に欠けがちな 論証面を補い,また,個別的解法よりも概念的・理論的側面に重心 を置いている. 2. 可積分系の世界−戸田格子とその仲間− #単著 $平成13年3月 %共立出版 \大学院生から専門家までを読者に想定して,さまざまな型の戸田格 子やそれらと関連の深い可積分系を題材に選び,可積分系の理論に おける基礎概念や技法を紹介した専門書.採り上げた可積分系は戸 田格子を肇として戸田場の方程式,戸田階層,KP階層,無分散KP・ 戸田階層,Calogero系,Ruijsenaars系などである. (学術論文)(1991年以降) 1. SDiff(2) Toda equation --- hierarchy, tau function and symmetries #共著 $平成3年11月 %Letters in Mathematical Physics 23, no. 3 \本論文では戸田場の方程式の無分散極限として得られる方程式を ツイスター理論の視点から扱い,戸田階層の理論にならってτ函数の 類似物・無限次元対称性を構成した.無限小対称性はRiemann-Hilbert 問題を通じて構成され,円柱上の面積保存写像の群のLie代数の構造 をもつが,τ函数へ拡張するとその1次元中心拡大になることが わかった.(205〜214 頁)高崎金久,武部尚志(共同執筆) 2. SDiff(2) KP hierarchy #共著 $平成4年7月 %International Journal of Modern Physic A7, Suppl. 1 \本論文ではKP階層の無分散極限として得られる方程式をツイスター 理論の視点から扱い,τ函数の類似物・無限次元対称性などを構成した. 無限小対称性はRiemann-Hilbert問題を通じて構成され,面積保存写像の 群のLie代数の構造をもつが,τ函数へ拡張するとその1次元中心拡大に なることがわかった.さらに位相的共形場理論の極小模型に相当する解 をRiemann-Hilbert問題によって特徴づけることができた. (889〜922 頁)高崎金久,武部尚志(共同執筆) 3. Volume-preserving diffeomorphisms in integrable deformations of selfdual gravity #単著 $平成4年9月 %Physics Letters B285, no. 2 \本論文では自己双対Einstein方程式を変形したある種の共形的自己双対 計量の場の方程式をツイスター理論に基づいて考察した.場の方程式の 構造をツイスター空間上のひねられた体積形式の言葉に翻訳することに よって,3次元の体積保存微分同型群がこの方程式の背後で基本的な役割を 演じていることを明らかにした.(187〜190 頁) 4. Quasi-classical limit of Toda hierarchy and W-infinity symmetries #共著 $平成5年7月 %Letters in Mathematical Physics 28, no. 3 \本論文では,KP階層から無分散KP階層への極限移行にならって,戸田階層 から無分散戸田階層への極限を一種の準古典極限として扱った.Planck定数 の役割を果たすのは格子間隔であるが,戸田階層のBaker-Akhiezer函数・ τ函数・頂点作用素なども格子間隔に顕わに依存する形に定式化し直すこと によって極限がとれる.特にこれによって,無分散戸田階層のw(∞+1)対称性 が戸田階層のW(∞+1)対称性からの縮約として導出できることがわかった. (165〜176 頁)高崎金久,武部尚志(共同執筆) 5. Quasi-classical limit of BKP hierarchy and W-infinity symmetries #単著 $平成5年7月 %Letters in Mathematical Physics 28, no. 3 \本論文ではKP階層の一変形であるBKP階層に対して,準古典極限により 無分散階層とその無限次元対称性などが導出できることを明らかにした. 議論の仕方はKP階層や戸田階層の準古典極限の場合と同様で,BKP階層の Lax表示・Baker-Akhiezer函数・τ函数などをPlanck定数に依存する形に 定式化し直して,そこからの準古典極限を考えることによる. (177〜185 頁) 6. Integrable hierarchy underlying topological Landau-Ginzburg models of D-type #単著 $平成5年10月 %Letters in Mathematical Physics 29, no. 2 \本論文では位相的共形場のD型極小模型を特殊解にもつような可積分階層 を構成し,階層の一般的性質を論じるともに,その中でD型極小模型に 対応する特殊解の特徴付けを与えた.特殊解の特徴付けはまず Riemann-Hilbert問題によって行い,それをさらに一般化ホドグラフ変換 に書き直した.可積分階層の時間変数と極小模型の大・小相空間の座標との 関係も論じた.(111〜121 頁) 7. Dressing operator approach to Moyal algebraic deformation of selfdual gravity #単著 $平成6年8月 %Journal of Geometry and Physics 14, no. 8 \本論文では自己双対Einstein方程式のある種の変形に対してLax表示等 の構造を考察し,KP階層・戸田階層におけるdressing作用素の類似物を 構成することによって,変形された自己双対Einstein方程式がこれらの ソリトン方程式と同様の意味で可積分性をもつことを明らかにした. dressing作用素はMoyal代数を係数とするLaurent級数として構成された. (111〜120頁) 8. Nonabelian KP hierarchy with Moyal algebraic coefficients #単著 $平成6年11月 %Journal of Geometry and Physics 14, no. 4 \本論文ではMoyal代数係数の擬微分作用素を用いてKP階層の高次元的 拡張を構成し,その可積分性の意味,自己双対重力との関係,準古典極限 として得られる高次元可積分階層の構造,などについて論じた. 高次時間発展の階層構造としては,通常のKP階層・多成分KP階層と同様に 可換な時間発展からなるものと,自己双対重力の時空を拡張した非可換な 時間発展からなるものの二種類が考えられることがわかった.(332〜364頁) 9. Dispersionless Toda hierarchy and two-dimensional string theory #単著 $平成7年6月 %Communications in Mathematical Physics 170 (1995), no. 1 \自己双対半径にコンパクト化された2次元の位相的弦理論はLandau-Ginzburg 形式に定式化できることが知られていたが,本論文ではこの弦理論の零質量 タキオンが無分散戸田階層の特殊解の言葉で理解できることを示し,そこから 得られる帰結や予想について考察した.この特殊解はRiemann-Hilbert問題の 形で特徴づけられ,そこからタキオンの相関函数の漸化式が再現できるのみ ならず,Landau-Ginzburg形式自体も無分散戸田階層の言葉に翻訳できること がわかった.このことに基づいて,この弦理論の状態スペクトルに関連する 予想も示した. (101〜116頁) 10. Symmetries and tau function of higher dimensional dispersionless integrable hierarchies #単著 $平成7年7月 %Journal of Mathematical Physics 36, no. 7 \本論文では無分散KP階層の高次元化を提案した.この高次元化は 無分散KP階層で用いる2次元Poisson代数の代わりに,余分の変数 を偶数個付け加えたものから構成された.無分散KP階層の ツイスター理論的記述をこの高次元化階層に拡張することによって, Riemann-Hilbert問題や無限小対称性も得られた.さらに,余分に 付け加えた空間をトーラスにコンパクト化することによってτ函数の 類似物も定義することができた.無限小対称性をτ函数に拡張する際に Poisson代数の1次元中心拡大が現れることもわかった.(3574〜3607頁). 11. Integrable hierarchies and dispersionless limit #共著 &平成7年7月 %Reviews in Mathematical Physics 7, no. 1 \本論文ではKP・戸田階層を中心に可積分階層の無分散極限に ついての総合報告であり,また,いくつかの新しい結果も示した. 特に,無分散階層に対してKP・戸田階層のdressing作用素に相当する ものを正準変換として構成した.逆に,無分散階層のツイスター的 解法に相当するものをKP・戸田階層に対して考察した. (743〜808頁)高崎金久,武部尚志(共同執筆) 12. Quantum and classical aspects of deformed $c=1$ strings #共著 $平成7年8月 %Nuclear Physics B443, no. 1 \本論文では変形された c = 1 弦理論の散乱振幅に対して古典論と 量子論の両面から考察し,その中における弦の方程式や戸田階層の 役割を論じた.この弦理論をWhittaker函数に基づく行列模型で 記述すると,行列模型が2個のパラメータを含むために,二つの 異なる摂動的解釈が可能なことがわかった.対応する弦の方程式の 古典極限はいずれの場合も零室量タキオンの散乱に関するPolchinski の散乱方程式に帰着する. (155〜197頁)中津了勇,高崎金久,S. Tsujimaru(共同執筆) 13. Whitham-Toda hierarchy and N = 2 supersymmetric Yang-Mills theory #共著 &平成8年2月 %Modern Physics Letters 11, no. 2 \本論文ではN = 2 超対称Yang-Mills理論の低エネルギー有効理論を 戸田階層のWhitham変調方程式の枠組みで考察した.低エネルギー 有効理論に対応するのはWhitham方程式の斉次解で,戸田階層の 超楕円函数解の変調を記述するものである.低エネルギー有効理論 の正則プレポテンシャルと戸田階層のτ函数との関係も明らかに した.(157〜168頁)中津了勇,高崎金久(共同執筆) 14. Toda lattice hierarchy and generalized string equations #単著 $平成8年9月 %Communications in Mathematical Physics 18, no. 1 \本論文では位相的弦理論の一つであるKontsevichモデルを参考に, 戸田格子階層に対して一般化Kontsevichモデルと自己双対半径に おける c = 1 弦理論をともに含む新たな解のクラスを構成し, それらの弦方程式などを導いた.このことから特に,一部の文献での 想定に反して,一般化Kontsevichモデルで p = -1 としたものは 自己双対半径における c = 1 弦理論とは異なるものであることを 指摘した.さらに戸田階層から見たさまざまな弦理論の位置づけを 議論した.(131〜156頁) 15. Isomonodromic deformations and supersymmetric Yang-Mills theories #共著 &平成8年11月 %International Journal of Modern Physic A 11, no. 38 \本論文ではN = 2 超対称Yang-Mills理論のSeiberg-Witten解と 可積分系との関係を等モノドロミー変形の言葉で説明することを 試みた.その結果,等モノドロミー変形に小さいパラメータを 導入し,多重スケール解析のアイディアに基づくある種の発見的な 議論を行えば,Seiberg-Witten解をWhitham変調方程式として説明 できることが明らかになった. (5505〜5518頁)高崎金久,中津了勇(共同執筆) 16. Dual Isomonodromic Problems and Whitham Equations #単著 $平成10年1月 %Letters in Mathematical Physics 43, no. 2 \本論文では,Schlesinger方程式の場合に習って,JMMS方程式と 呼ばれる等モノドロミー変形の方程式に対する等スペクトル変形の 変調としての記述を考察した.この場合も,発見的な議論を仮定すれば 変調を記述するWhitham方程式が具体的に特定できる,ということが わかった. (123〜135頁) 17. Gaudin Model, KZ Equation, and Isomonodromic Problem on Torus #単著 $平成10年4月 %Letters in Mathematical Physics 44, no. 2 %本論文では楕円型Gaudin模型と呼ばれる可積分系の古典論的・非 自励的類似物としてトーラス上の等モノドロミー変形が得られるこ とを明らかにした.楕円型Gaudin模型はスピン変数に対する一種の 量子可積分系で,ひねられたWZW模型と呼ばれる共形場理論と対応 関係があり,その共形ブロックを通じて楕円型KZ方程式と呼ばれる 微分方程式系とも関係がある.このスピン変数の古典極限を考える ことによって等モノドロミー変形が得られることがわかった. (143〜156頁) 18. Dispersionless hierarchies, Hamilton-Jacobi theory and twistor correspondences #共著 $平成10年12月 %Journal of Geometry and Physics 25, no. 3-4 \無分散KP・戸田階層のツイスター理論的取り扱いは従来はおもに Riemann-Hilbert問題の形で行われていたが,本論文では GibbonsとKodamaによる無分散階層のHamilton形式に基づいて, ツイスター曲面など幾何学的な側面を改めて詳しく考察した. また特殊階とFrobenius多様体との関係にも触れた. (326〜340頁)P. Guha,高崎金久(共同執筆) 19. Spectral Curves and Whitham equations in isomonodromic problems of Schlesinger type #単著 $平成10年12月 %Asian Journal of Mathematics 4, no. 2 \本論文では,代表的な等モノドロミー変形の方程式として知られ るSchlesinger方程式に対して,等スペクトル変形の変調として 記述することを試みた.その結果,多重スケール解析のアイディアに 基づくある種の発見的な議論を仮定すれば,変調を記述するWhitham方程式が 具体的に決まる,ということが明らかになった.さらに,Whitham方程式の 解がある種の周期写像の逆写像を用いて構成できることもわかった. (1049〜1078頁) 20. Calogero-Moser Models II: Symmetries and Foldings #共著 $平成11年3月 %Progress of Theroretical Physics 101, no. 3 \本論文ではルート系に基づくCalogero-Moser系の「普遍Lax対」 をさまざま方向から論じた.有理型・三角型・双曲型・楕円型のい ずれの場合も,スペクトルパラメータに依存するLax対としないLax 対の両方を構成した.また長さの異なるルートの存在する場合には, それぞれに応じた異なるLax対も得られた.さらに楕円型の場合に は,拡大Dynkin図形の対称性とポテンシャルの周期性を組み合わせ ることによって「ひねられた模型」も得られた.特に「ひねられた BC型模型」はこれまでに知られていなかった新しい模型である. (487〜518頁)A.J. Bordner,佐々木隆,高崎金久(共同執筆) 21. Integrable Hierarchies and Contact Terms in u-plane Integrals of Topologically Twisted Supersymmetric Gauge Theories #単著 $平成11年5月 %International Journal of Modern Physic A14, no. 7 \本論文では位相的ゲージ理論のu-平面積分と可積分階層・Witham 変形との関連を論じた.MarinoとMooreが示したu-平面積分の爆裂 公式には可積分階層のτ函数として解釈できる因子が含まれている. 本論文ではτ函数のモジュラー変換性に基づいてこの解釈を検討し, そこから位相不変量の接触項と呼ばれるもののより一般的な形が予 想できることを指摘した.(1001〜1013頁) 22. Calogero-Moser Models IV: Limits to Toda theory #共著 $平成11年10月 %Progress of Theoretical Physics 102, no. 4 \Calogero-Moser系と戸田系はルート系あるいはLie代数に付随する 多体粒子系としてよく知られているが,本論文ではHamitonianと Lax対の両面からこれらの間の関係を議論した.Hamiltonianの段階 では,楕円型Calogero-Moser系から力学変数のずらしと結合定数の スケーリングを伴う極限以降によって戸田系が導出できる.しかし ながら,Lax対に関しては,Lax対の種類によって,戸田系への極限 が存在しないもの(ルート型Lax対の場合)と存在するもの(極小型 Lax対があることがわかった.(749〜776頁)S.P. Khastgir,佐々木 隆,高崎金久(共同執筆) 23. Elliptic Calogero-Moser Systems and Isomonodromic Deformations #単著 $平成11年11月 %Journal of Mathematical Physics 40, no. 11 %本論文では各種の楕円型Calogero-Moser系に対してトーラス上の 等モノドロミー系が付随していることを指摘した.付随している方 程式は同じ形のHamiltonianで定義される非自励系で,トーラスの モジュラスが時間変数として現れる.さらに,楕円型Calogero- Moser系の適当なLax対を選べば,それが非自励系の方のLax表示に 利用できることがわかる.それによって非自励系が常微分方程式の 等モノドロミー変形であることが保証される.(5787〜5821頁) 24. Whitham Deformations of Seiberg-Witten Curves for Classical Gauge Groups #単著 $平成12年12月 %International Journal of Modern Physic A15, no. 23 \本論文ではGorsky達がG=SU(N+1)の場合のSeiberg-Witten曲線に 対して行ったWhitham変形の具体的な構成を他の古典群の場合に拡張 した.構成法はSeiberg-Witten曲線がアフィン型戸田系のスペクト ル曲線であることに基づく.Gorsky達と同様,ここで与えたWhitham 変形の構成でも曲線に付随する超ポテンシャルの分数べきを利用した. さらに応用として,4次元多様体上の位相的ゲージ理論のu-平面積分 との関係も考察した.(3635〜3666頁) 26. Toroidal Lie algebras and Bogoyavlensky's 2+1-dimensional equation #共著 $平成13年3月 %International Mathematics Research Notices 7 \本論文では,N-簡約KP階層の拡張として,N-Bogoyavlensky階層 を導入した.BogoyavlenskyによるKdV方程式の2+1次元拡張は N=2 の場合のこの階層の最低次の方程式であることがわかった.さらに, この階層の2-トーラス代数に基づく群論的特徴付けを与えて,そこ から広田型双線形方程式系を導いた.さらにKP階層にならって Lax形式を定式化し,それを用いて双線形方程式や特殊解などを 論じた.(329〜369頁)池田岳,高崎金久(共同執筆) 27. Painleve-Calogero Correspondence Revisited #単著 $平成13年3月 %Journal of Mathematical Physics 42, no. 3 \本論文ではVI型Painleve方程式のPainleve-Calogero対応と呼ば れるものを他の5つのPainleve方程式に拡張した.VI型Painleve方 程式のCalogero型には1自由度の楕円型Inozemtsev系を非自励系に したものが現れることが知られているが,V型以下のPainleve方程 式からも三角型・有理型Inozemtsev系など同様の方程式が現れるこ とがわかった.さらに,多自由度のInozemtsev系から出発すること でPainleve方程式の多成分化が得られた.(1443〜1473頁) 28. Hyperelliptic Integrable Systems on K3 and Rational Surfaces #単著 $平成13年5月 %Physics Letters A283 \本論文では楕円型K3曲面,射影平面の二重被覆をなすK3曲面,有 理楕円曲面などに関係する可積分系を構成した.これはBeauvilleの 一般的なアイディアに基づくものであるが,ここで扱った場合はい ずれも超楕円曲線とそのJacobi多様体で記述されるため,可積分系 の構成がかなり簡単になった.Neumann系などの古典的な可積分系との 比較も行った.(201〜208頁) 29. Anti-self-dual Yang-Mills equations on noncommutative spacetime #単著 $平成13年12月 %Journal of Geometry and Physics 37, no. 4 %通常の4次元時空において座標の積をいわゆるスター積に置き換え ることにより,非可換時空上に反自己双対Yang-Mills方程式の類似 が得られる.本論文では通常の反自己双対Yang-Mills方程式の多 くの性質がこの非可換類似にも受け継がれていることを示した.特 に,ツイスター記述を非可換類似に拡張して,そこから基本的な可 積分構造を導出することができた.しかしながら,通常の時空で有 限次元の線形代数的構造に依拠していた構造は非可換時空では破綻 することがわかった.(291〜306頁) 30. Quantum Inozemtsev model, quasi-exact solvability and N-fold supersymmetry #共著 $平成13年12月 %Journal of Physics A34 \Inozemtsev系はCalogero-Moser系の可積分な変形として提案された ものであるが,量子系としての可解性には不明な点が多い.本論文 では,量子Inozemtsev系のある種の変形族が部分的な可解性(準 可解性)をもつこと,またそれが多重超対称性と等価であること, を「プレ超ポテンシャル法」という新たな方法を用いて,多自由度 の場合も含めて示した.(9533〜9554ページ)佐々木隆,高崎金久 (共同執筆) (その他) 1. コマの幾何学−可積分系講義− #翻訳 $平成12年3月 %共立出版 \コマの運動という古典的な題材を取り上げ,可積分系の幾何学的な 理論を基礎から最新の研究に至るまで幅広く紹介した,Michele Audinの 定評ある著書「Spinning Tops」の翻訳.本文は可積分系の定義に 始まり,Euler,Lagrange,Kowalevskaya の三種類のコマの方程式 および周期的戸田格子を可積分系の例として順次採り上げている. また,膨大な付録で一般的な理論を紹介している.