常設展示

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ソリトンのさまざまな顔

高崎金久(京都大学)

入口 -- KdV 方程式 -- 変形 KdV 方程式 -- Sine-Gordon 方程式

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ソリトンとは何か?

「ソリトン」という言葉は1960年代に導入されたが、 ソリトンの科学的研究は19世紀、 John Scott-Russell が Edingurgh 近郊の運河で大きな孤立波を 観察した時にすでに始まっていた。Scott-Russel の時代にはこの種の 孤立波の存在自体が議論になっていた。今日では非線形現象のさまざまな モデル方程式がソリトン解をもつことが知られている。

ソリトンはこれらの方程式におけるきわめて安定な孤立波である。 「ソリトン」という言葉が物語っているように、これらの孤立波は 「粒子」のように振舞う。孤立波が互いに遠く離れているときには、 個々の孤立波は近似的には一定の形と速度をもつ進行波である。 そのような2つの孤立波は近づくにつれて次第に形を変え、最後には 1個の波束に融合する。しかしこの波束は間もなく「衝突」前と同じ 形・速度の孤立波に分裂する。


ソリトンの安定性はモデル方程式のもつ「非線形性」と「分散性」 の微妙な均衡に根ざしている。非線形性は孤立波をさらに集中 させようとするが、分散性はそのような局在した波を分散させる 効果をもつ。もしもこれらの拮抗する効果の一方が失われると、 ソリトンは不安定になり、遂には消滅する。この点で、ソリトンは 正弦波のような「線形波」とはまったく異なる。実際、正弦波は ソリトン現象のある種のモデル方程式ではむしろ不安定でさえある。 計算機シミュレーションはそのような正弦波がすぐにソリトンの列 に分裂することを示す。

この展示ではソリトン現象のモデル方程式のいくつかをソリトン解 とともに紹介する。これらの方程式はいわゆる「積分可能系」の もっとも基本的な例であり、ソリトン解のみならず多くの著しい 性質を有している。そのことが1960年代以来、広範囲の研究を 巻き起こしたのである。


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