広島大学理論物理学研究所

(Research Institute for Theoretical Physics, Hiroshima University)

(現 京都大学基礎物理学研究所の前身の一つ)

についての記録



目次

  1. 理論物理学研究所の概略

  2. 理論物理学研究所の歴史



  3. 関係者名簿

           (1) 教官   (2) 大学院理学研究科修了者

  4. 写真集 


606−8502 京都市左京区北白川追分町

京都大学基礎物理学研究所

名簿世話人会 (冨田憲二、久保禮次郎、佐々木隆、寺崎邦彦)

Email:  tomita,kubo,ryu,terasaki@yukawa.kyoto-u.ac.jp



1. 理論物理学研究所の概略

a. 歴史

  広島大学理論物理学研究所,Research Institute for Theoretical Physics,Hiroshima University (略称:理論研、RITP)は、昭和19年(1944)8月 広島文理科大学付置研究所として設置された.その設立の機縁となったのは同大学における波動幾何学 (Wave Geometry)の研究であったが,より基本的には物理学における時間・空間構造の解明を通じて物理学の基礎理論の総合的研究をすることが主眼目であった.広島への原子爆弾に投下によって、本研究所の教官および研究施設は破壊的打撃を受けた.尾道市外向島所在の広島文理科大学附属臨海実験所の一部を間借りした後、昭和23年(1948)3月に竹原町(現在竹原市竹原町)より敷地と新築の庁舎の寄付をあおいで再建の第一歩を踏み出した.当時の研究組織は、専任教官が初代所長の三村教授、および助教授1名,助手3名,他に兼任教官が6名であった.

  翌年の昭和24年(1949)5月、新制の広島大学が設置されると同時に広島大学付置研究所として新たな一歩が始まった.昭和25年(1950)3月には,評議会の決定に基づき学内人員の配置換によって専任の教授2名、助教授1名、助手4名、事務官1名、事務員2名、用務員2名の構成となった.この間有志者から相当の山林,宅地の寄付があり、鉄筋コンクリート造りの書庫および公務員宿舎5棟の新設があった.また,文献の収集も比較的順調に進みようやくにして研究所としての体制をととのえることができた.

  昭和35年(1960) 1部門の増設が認められ、研究部門は重力・時間空間理論部門および場の理論・時間空間構造部門の2部門となった.その後,昭和40年(1965)3月 時間空間理論が部門増され3部門になり、さらに、昭和48年(1973)4月 宇宙論研究部門が増設され,最終的な4研究部門(重力理論、場の理論、時間・空間理論、宇宙論)、教官定員10名の体制となった.

  これらの部門において,場の理論,宇宙論に関する物理学の基礎理論が盛んに研究され、654編に及ぶ多くの学術論文が発表された.また、教官のもとで育った多くの大学院生たちは教官と共に研究に貢献し、さらに所外の各地の研究機関において中堅の研究者として研究成果をあげてきた.

  本研究所は京都大学基礎物理学研究所 (Research Institute for Fundamental Physics, Kyoto University) と 研究目的に共通するところがあり,1957年ごろから合併問題が議論されたが,1978年頃からの行政改革の過程で現実的に検討された.そして平成2年(1990)6月、京都大学基礎物理学研究所と統合することになり、閉所した.この時点の所員10名は、京都大学に配置換えされ、宇治キャンパスの(工学部から借りた)仮建物に設けた基礎物理学研究所「宇治研究センター」へ、多くの文献(雑誌,単行本)と共に移った.さらに、平成7年(1965)北白川の湯川記念館の北側に新築された基礎物理学研究所「研究棟」へ移った.

  時空の量子化を目指した波動幾何学の研究は未完で終わったが、研究の目的はますます重要性を深め,時空および重力場の基礎的研究を行う伝統は、新しい基礎物理学研究所 (Yukawa Institute for Theoretical Physics) において今日も受け継がれ生き続けていると思われる.

b. 所在地 

   725-0024  広島県竹原市塩町5-8-1,  Tel 0846(22)2362

   広島大学 大学院生物圏科学研究科附属 瀬戸内圏フィールド科学教育研究センター

   竹原ステーション (水産実験所) (注: 研究所の建物がそのまま使われている)

   最寄のJRの駅は 呉線竹原駅.新幹線からは、三原駅で降りて、呉線で広島方面へ向かう.

c. 研究事務組織

c-1. 研究部門 (最終的な4部門の部門名と主な所属教官)

重力理論部門  (木村利栄、二宮正夫、冨松彰、佐々木節)  定員2名

場の理論部門  (田地隆夫、横山寛一、佐々木隆、上原正三) 定員3名

時間空間理論部門(上野義夫、藤川和男、久保禮次郎、寺崎邦彦) 定員3名

宇宙論部門   (成相秀一、細谷暁夫、冨田憲二、須藤靖)   定員2名

c-2.管理運営

公的な組織として,「所長」と教授会に相当する「所員会」があり、その下に実際上の運営方針を決める「研究室会議」があった.

歴代の所長は 初代の三村剛昂(1944年8月23日〜1961年3月31日). 以後,順次2年づつ、  竹野兵一郎、上野義夫、竹野兵一郎、上野義夫、田地隆夫、竹野兵一郎、田地隆夫、上野義夫、成相秀一、木村利栄、成相秀一、横山寛一、藤川和男 が務めた.

c-3.事務部

事務官の定員3名、非常勤職員5名 

歴代の事務長は、 1954年8月1日以降, 芦田敏夫、林猪憲、田中元忠、香川照雄、中野長蔵、尾茂田春義、大番只信、山科茂、星出昌造、吉原侑 が務めた.     

d. 研究活動

研究会,学会等の開催

  (科学研究補助金に基づくGRG研究会など、場の理論、重力、宇宙論に関する研究会がしばしば開催された.昭和59年(1984)には 所員が理事を務める日本天文学会の秋季年会が竹原市民館にて開催された.)       

談話会 

  (外部から講師を迎えて開催. 1983年4月以降定期的になり、210回を数えた)

広島セミナー

  (1982年4月以降,広島大学理学部素粒子論研究室との共催により、西日本の各大学の関連分野の研究者を

     含めて、毎月1回程度開催。約60回にて終了)

e. 出版物

 e-1.  Scientific Reports of the Research Institute for Theoretical Physics

   No.1(1961): The Mathematical Theory of Plane Gravitational Waves in General Relativity (by H.Takeno)

   No.2(1962): Wave Geometry (by Y.Mimura and H.Takeno)

   No.3(1963): The Theory of Spherically Symmetric Space-Times (by H.Takeno)

   No.4(1965): Elementary Particles and Bound States (by M.Ikeda, T.Maekawa,Y.Miyachi,K.Senba and N.Shohno)

   No.5(1966): The Theory of Spherically Symmetric Space-Times, Revised Edition (by H.Takeno)

   No.6(1967): Wave Geometry II (by Y.Mimura,H.Takeno,K.Sakuma and Y.Ueno)

   Extra No.(1983): Studies in Japan on the Theories of Gravitation and Cosmology (by H.Nariai)

   Extra No. (1984): Gravitation and Universe (In Commemoration of the Birthday of Professor Hidekazu Nariai) (by R.Utiyama,H.Sato,T.Kimura,K.Tomita,A.Tomimatsu and H.Nariai)  

e-2. RRK preprint series (RRK=RiRonKen)

f.   文献 および 記念品

Articles on Wave Geometry in Nature:  Nature 136(1935)994; 139(1337),893

長岡洋介、登谷美穂子「基礎物理学研究所の歴史」(第5、6節)、素粒子論研究(93巻6号,1996年9月)

三村剛昂 寄贈図書 (基研図書室の地下書庫内にて保存)

(以下,湯川記念館2階の基研所長室にて保存)

Scientific Reports of the Research Institute for Theoretical Physics,Hiroshima University   (No.1- 6,Extra No.(1983),(1984))

広島大学二十五年史(通史,包括校史,部局史)

広島大学理論物理学研究所史 (平成2年(1990)3月31日発行)

広島大学理論物理学研究所 要覧 (1983,1986)

研究業績要覧 1950年 (文部省所管研究所会議調査委員会編)

原爆と広島大学[生死の火]学術編 (広島大学原爆死没者慰霊行事委員会 昭和25年9月発行)

[生死と火]広島大学原爆被災誌 (広島大学原爆死没者慰霊行事委員会 昭和25年8月発行)

合併問題日誌 (三村剛昂:直筆) 

里見志朗「三村剛昂の研究と教育」(日本物理学会誌特別号[大学の物理教育」2001年3月,日本物理学会物理教育委員会編、12〜16ページ)

掛け軸 (三村剛昂の師にあたる長岡半太郎先生の直筆:[自然簡而明])

理論研玄関の銘板 

所長の額入り写真 (竹野,上野,成相,横山) 

研究所訪問者の宿帳 No.1 〜No.12(1982年12月以後)

第2回科学者京都会議(1963年竹原市理論研にて開催) での寄せ書き(湯川、三村、朝永、坂田、末川博の方々の署名あり)

マルセル・グロスマン記念賞 (銀製 彫像および解説書)

(注)所長室の記念品等を閲覧するには、湯川記念館1階の基研事務室へ用件を述べ許可を得る必要があります.

g. 受賞

 個人賞 

三村剛昂 昭和17年(1942) 第1回 中国文化賞

冨松彰  昭和48年(1973) 第19回 仁科記念賞

成相秀一 昭和61年(1986) 第43回 中国文化賞

藤川和男 昭和61年(1986) 第32回 仁科記念賞

佐々木節 平成9年(1997) 第1回 林忠四郎賞(日本天文学会) (小玉英雄と共に受賞)

佐々木節、山本一博 平成9年(1997) 論文賞(日本物理学会)(田中貴浩,横山順一と共に受賞)

佐々木隆 平成9年(1997) 東北師範大学客座教授(中国吉林省長春)の 称号

細谷暁、中尾憲一 平成10年(1998) 論文賞(日本物理学会)

佐々木隆 平成11年(1999)Daiwa-Adrian Prize (Ed Corrigan と共に受賞)

杉山 直 平成13年(2001)第16回 西宮湯川記念賞

木村利栄 平成15年(2003)第3回 素粒子メダル (素粒子論グループ)

 機関賞

  広島大学理論物理学研究所 平成3年(1991)6月 マルセル・グロスマン記念賞 Marcel Grossmann Awards   (京都国際会館で開催された<第6回マルセル・グロスマン会議>において、冨田が受領、記念の銀製 彫像は 基研所長室内に保存)

 [広島大学理論物理学研究所要覧(1986) および 広島大学理論物理学研究所史(1990年)を参考にして作成、文責:冨田憲二(2001年12月, 補充 2003年5月)]

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* -- 写真集 --

海に面した理論研

的場山より見たもの
(1989年6月)


昼休みのバレーボールの最中















初代所長三村教授 (前列右端)

湯川記念館での会議に出席したとき(1957年頃)


前列中央より、湯川、朝永、坂田、三村











 



来所した
Chandrasekahar 教授夫妻を囲んで
(1983年3月)


前列左より、石原、中沢、新谷、田辺、冨田、堀内、小野(旧姓福田)、大家

後列左より、久保、永井、木原、藤川、木村、Chandrasekar夫妻、成相、横山、冨松、寺崎










新GRG研究会
  の参加者
的場山の頂上にて
(1983年11月)


左より、中村、佐藤(勝)、佐々木(節)、小玉、佐藤(文)、大原、伊沢、赤間、森川、冨田、小嶋















竹原市民館での
「超銀河団」研究会 参加者
(1984年3月)























理論研の閉所式の際
  中庭にて
(1990年6月8日)

左より,木村,佐々木(隆)、須藤、横山(寛)、久保,佐々木(節),冨田,寺崎,二宮,上原の所員

 

 

 

 

 

 

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