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wien2k:仮想結晶近似

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wien2k:仮想結晶近似 [2020/04/04 16:41] – [概要] koudaiwien2k:仮想結晶近似 [2021/06/27 22:04] (current) – external edit 127.0.0.1
Line 3: Line 3:
   * 仮想結晶近似 (Virtual Crystal Approximation, VCA) とは、異なる2つの原子のポテンシャルを混ぜ合わせて平均化することで、合金やキャリアドープなどを仮想的に再現する近似です。   * 仮想結晶近似 (Virtual Crystal Approximation, VCA) とは、異なる2つの原子のポテンシャルを混ぜ合わせて平均化することで、合金やキャリアドープなどを仮想的に再現する近似です。
   * **周期表の同じ行で隣り合う原子のみ**混ぜ合わせることができます。   * **周期表の同じ行で隣り合う原子のみ**混ぜ合わせることができます。
 +  * また、混ぜ合わせる原子のそれぞれだけでエネルギーバンドを書いてみたときに、その構造がほとんど一致している(つまりフェルミ準位が動いただけのように見える)場合にのみ使うことができます。
 +  * 公式にサポートしている計算方法ではありませんので、使用は自己責任で行ってください。
  
  
Line 8: Line 10:
  
 いっとき流行ったホウ素ドープダイアモンドの仮想結晶近似を例にVCAを説明します。 いっとき流行ったホウ素ドープダイアモンドの仮想結晶近似を例にVCAを説明します。
-  * 高いフォノン振動数を持ったダイアモンドにキャリアを入れて金属すれば室温超伝導ができるのでは?というモチベーションで研究が進みましたが、特にそんなことはありませんでした。+  * 高いデバイ振動数を持ったダイアモンドにキャリアを入れて金属すれば室温超伝導ができるのでは?というモチベーションで研究が進みましたが、特にそんなことはありませんでした。
  
 プロジェクト名は Diamond とします プロジェクト名は Diamond とします
Line 44: Line 46:
 ===== 計算手順 ===== ===== 計算手順 =====
  
-  - init_lapw実行します<code>+  - ドープしていない物質の構造で初期設定とSCF計算をします<code>
 $ init_lapw -b -numk 1000 -rkmax 5.5 $ init_lapw -b -numk 1000 -rkmax 5.5
 </code> </code>
Line 70: Line 72:
 NOFILE        FILE/NOFILE  write recprlist NOFILE        FILE/NOFILE  write recprlist
 </file> </file>
-  - Diamond.instを開いて、炭素原子の価電子数の合計が3.95になるようにします。<file - Diamond.inst> 
-C 
-He 3   
-2,-1,1.0  N 
-2,-1,1.0  N 
-2, 1,1.0  N 
-2, 1,0.0  N 
-2,-2,0.95  N 
-2,-2,0.0  N 
-**** 
-****         END of input (instgen_lapw) 
-</file> 
-    * 1行目は元素記号、2行目は希ガスで略記された内殻の電子配置と、スピンを除く価電子の軌道の数(今の場合は相対論的量子数が-1, 1, 2の3通り)です 
-    * 3行目以降に価電子配置が書かれていて、 n, kappa, occup, plot の順に並んでいます。nとkappaが共通のものが連続して並んでいますが、1つ目がアップスピン、2つ目がダウンスピンのものです。 
-      * n ... 主量子数 
-      * kappa ... 相対論的量子数。s = ±1、軌道角運動量をl (=0,1,2,...) として κ = -s (l + s/2 + 1/2) で定義される。詳しくは User’s Guide の6.4節参照。  
-      * occup ... 状態κにいる電子の数。0から|κ|までの値をとる 
-      * plot ... 通常はNだが、x_lapw lapw5 を使って電荷密度を書くときはPにする 
   - SCF計算を実行します<code>   - SCF計算を実行します<code>
-$ run_lapw -cc 0.0001 -ec 0.00001 -i 100 -p+$ run_lapw -cc 0.0001 -ec 0.00001 -i 100 -p -NI
 </code> </code>
     * キャリアを入れることで金属になったことを確認しましょう。<code>$ grep ":GAP" Diamond.scf</code>     * キャリアを入れることで金属になったことを確認しましょう。<code>$ grep ":GAP" Diamond.scf</code>
 +    * ドープ量を変更したい場合は case.struct と case.in2 を編集してSCF計算を再実行します<code>
 +$ run_lapw -cc 0.0001 -ec 0.00001 -i 100 -p -NI
 +</code>
 +    * もしSCF計算が収束しない、あるいは途中でエラーが出る場合は、ドープしてないものをSCF計算でいったん収束させて、徐々にドープしていってください。
 +
 +
 +===== 参考 =====
 +
 +  * https://www.mail-archive.com/wien@zeus.theochem.tuwien.ac.at/msg09731.html
wien2k/仮想結晶近似.1585986105.txt.gz · Last modified: 2021/06/27 22:01 (external edit)