====== 概要 ====== スピン軌道相互作用を含めた電子状態の計算を行います。 ====== 非磁性体Ptのスピン軌道相互作用 ====== スピン軌道相互作用を含めた電子状態を計算する場合、相対論的効果を含んだ擬ポテンシャルをダウンロードします。 擬ポテンシャルに相対論的効果が含まれて、スピン軌道相互作用の計算に使えるかどうかは、擬ポテンシャルの説明に「full relativistic」という説明があるかどうかで判断できます。 scalar relativisticですと、擬ポテンシャルの作成にスピン軌道相互作用は入っていますが、SCF計算にスピン軌道相互作用を入れることができません。 ここではPt.rel-pz-n-rrkjus.UPFという擬ポテンシャルを使うことにします。 単体のプラチナの結晶構造は面心立方格子です。 次の入力ファイルを作成します。 systemのところにlspinorb, noncolin, starting_magnetizationが追加されます。 &control calculation = 'scf', prefix='Pt', pseudo_dir = './', outdir='./', / &system ibrav=2, celldm(1)=7.42, nat=1, ntyp=1, lspinorb=.true., noncolin=.true., starting_magnetization(1)=0.0, occupations='smearing', degauss =0.02, smearing='mp', ecutwfc =30.0, ecutrho =240.0, / &electrons / ATOMIC_SPECIES Pt 0.0 Pt.rel-pz-n-rrkjus.UPF ATOMIC_POSITIONS Pt 0.0000000 0.00000000 0.0 K_POINTS AUTOMATIC 4 4 4 1 1 1 スピン軌道結合の計算では磁化を必ず指定しないといけませんが、プラチナは磁性体ではないので starting_magnetization(1) = 0.0 としておきます。 また lspinorb と noncolin を .true. にしておく必要があります。 それぞれ次を意味します。 ^変数^説明^ |noncolin|デフォルトでは、スピンはz軸方向に向くもののみしか考慮されない。これを.true.にすることで様々な方向にスピンを向けることができるようになる(ノンコリニア)。ただし計算時間が増大する。| |lspinorb|.true.にするとスピン軌道相互作用を入れた計算を実行する。noncolin=.true. のときのみ指定可能。full relativisticの擬ポテンシャルを使う場合は.true.にしておかないと正しい結果が得られない| 実行は次のようにします $ pw.x < Pt.scf.in > Pt.scf.out バンドを書いたりするのは今までと同様に計算できます。 ====== 磁性体Feのスピン軌道相互作用 ====== 鉄Feは強磁性体ですのでstarting_magnetizationを有限の値にする必要があります。 擬ポテンシャルにはFe.rel-pbe-kjpaw.UPFを使います。 &control calculation = 'scf' pseudo_dir = './', outdir='./tmp/', / &system ibrav= 3, celldm(1) =5.42, nat= 1, ntyp= 1, noncolin=.true. lspinorb=.true. starting_magnetization(1)=0.5, occupations='smearing', smearing='mp', degauss=0.04, ecutwfc =40.0, ecutrho =320.0, / &electrons / ATOMIC_SPECIES Fe 0.0 Fe.rel-pbe-kjpaw.UPF ATOMIC_POSITIONS Fe 0.0000000 0.00000000 0.0 K_POINTS AUTOMATIC 8 8 8 1 1 1 $ pw.x < Fe.scf.in > Fe.scf.out