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quantumespresso:収束判定 [2020/03/24 18:08] koudai [概要] |
quantumespresso:収束判定 [2021/06/27 22:04] (current) |
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まず最初に、出発点となる値を決めなければならない。 経験的には、次の値から出発するとよい。 | まず最初に、出発点となる値を決めなければならない。 経験的には、次の値から出発するとよい。 | ||
- | * k点数・・・単位胞内の原子数が1から5なら6*6*6、6から10なら4*4*4、10から20なら2*2*2、それ以上は1*1*1。金属なら各方向にその2倍。 | + | * k点数・・・単位胞内の原子数が1から3なら6*6*6、4から10なら4*4*4、10から20なら2*2*2、それ以上は1*1*1。物質の次元性に合わせて各方向にとるk点数を変えてもよい。 |
- | * ecutwfc・・・まずは40, 60, 80, 100Ryで計算して様子を見る。ウルトラソフト型の擬ポテンシャルを使う場合はその半分。 | + | * ecutwfc・・・まずは20, 30, 40, 60 Ryで計算して様子を見る。ウルトラソフト型の擬ポテンシャルを使う場合はその半分。 |
- | * ecutrho・・・ecutwfcの4倍。ただし擬ポテンシャルがウルトラソフト型の場合は8~12倍(とりあえず最初は12倍しておく)。 | + | * ecutrho・・・ecutwfcの4倍。ただし擬ポテンシャルがウルトラソフト型の場合はそれ以上(およそ8~12倍が必要と言われているが、とりあえず最初は12倍しておく)。 |
* degauss・・・0.02程度。occupations=' | * degauss・・・0.02程度。occupations=' | ||
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* http:// | * http:// | ||
+ | 最近はecutwfcやecutrhoの大きさの目安が擬ポテンシャルファイルに書いてあるので、それを使ってk点数とdegaussの収束のみを調べるのが便利である。 | ||
====== 各パラメータの収束判定方法 ====== | ====== 各パラメータの収束判定方法 ====== | ||
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ecutwfcを変えながらSCF計算を行い、total energyの収束を見る(金属の場合はFermi energyも)ことでecutwfcの値を決定する。 | ecutwfcを変えながらSCF計算を行い、total energyの収束を見る(金属の場合はFermi energyも)ことでecutwfcの値を決定する。 | ||
- | ecutwfcに対してtotal energyのグラフを作成してみるとわかりやすい。 | + | ecutwfcに対するtotal energyのグラフを作成してみるとわかりやすい。 |
- | ほとんどの場合、ecutwfcが大きくなるにしたがってtotal energyはある値に向かって漸近的に収束していくはずである。 | + | ほとんどの場合、ecutwfcが大きくなるにしたがってtotal energyはある値に向かって収束していくはずである。 |
- | total energyに関して欲しい有効数値の桁数(配布されている擬ポテンシャルの有効桁数から下限は1mRy)が得られる最小のecutwfcを探す。 | + | total energyに関して欲しい有効数値の桁数が得られる最小のecutwfcを探す。 |
- | + | ただし、ecutwfcを増やせば増やすほど精度が増すかというとそうでもなく、配布されている擬ポテンシャルの有効桁数から数値計算の精度の限界は1mRy程度である。 | |
- | 誤差を見積もるために真の値(ecutwfcが無限大のときの値)が必要であるが、例えばtotal energyを1/ | + | |
ちなみに、ecutwfcが小さいと必要な状態が足りずに収束にかかるiterationの回数が大きくなることを利用して、ecutwfcを決定する方法もある。 | ちなみに、ecutwfcが小さいと必要な状態が足りずに収束にかかるiterationの回数が大きくなることを利用して、ecutwfcを決定する方法もある。 | ||
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物質の1次元性や2次元性が強いのであれば、そちらの方向を優先して増やしていく。 | 物質の1次元性や2次元性が強いのであれば、そちらの方向を優先して増やしていく。 | ||
total energyとFermi energy(金属の場合)の変化を見て、収束に必要なk点数を探す。 | total energyとFermi energy(金属の場合)の変化を見て、収束に必要なk点数を探す。 | ||
- | なおFermi energyの誤差を10meV以下まで追求するのはあまり意味がない。 | + | なおFermi energyの誤差を10meV程度まで追求するのはあまり意味がない。 |
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参考: | 参考: | ||
- | smearingは通常はmpで良いが、負の電荷密度を許した計算になっている。 | + | smearingは通常はmpで良いが、負の電荷密度を許した計算になっているので、計算でエラーが出ることがある。 |
- | 状態密度の計算などで問題が発生した場合はmvに変更するとよい。 | + | そのような場合はmvに変更するとよい。 |
ただしdegauss依存性がmpに比べて大きいので注意する。 | ただしdegauss依存性がmpに比べて大きいので注意する。 | ||
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全エネルギーは比較的収束性が良いので、欲しい物理量によってはより多くのk点やカットオフエネルギーが必要になる場合がある。 | 全エネルギーは比較的収束性が良いので、欲しい物理量によってはより多くのk点やカットオフエネルギーが必要になる場合がある。 | ||
- | 必ずいろいろなカットオフに対して計算してみて最終的に欲しい値がちゃんと収束しているか確認すること。 | + | 必ずカットオフを変えて計算してみて最終的に欲しい値がちゃんと収束しているか確認すること。 |