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quantumespresso:磁性体

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quantumespresso:磁性体 [2018/11/02 19:21]
koudai 作成
quantumespresso:磁性体 [2021/06/27 22:04] (current)
Line 8: Line 8:
  
 Niは金属なので、Alのときと同様に状態に広がりを持たせる必要があります。 Niは金属なので、Alのときと同様に状態に広がりを持たせる必要があります。
-擬ポテンシャルとしてNi.pz-nd-rrkjus.UPFを使います。+擬ポテンシャルとしてウルトラソフト型の Ni.pz-nd-rrkjus.UPF を使います。
  
 入力ファイルを作ります。 入力ファイルを作ります。
Line 39: Line 39:
 |ecutrho |電荷密度の計算の際の運動エネルギーのカットオフ| |ecutrho |電荷密度の計算の際の運動エネルギーのカットオフ|
 |nspin   |スピン分極しているかどうか。2でz軸方向に分極していることを表します。もし何も指定しなければ1となり磁化は起こりません。| |nspin   |スピン分極しているかどうか。2でz軸方向に分極していることを表します。もし何も指定しなければ1となり磁化は起こりません。|
-|starting_magnetization(i)|自己無撞着な計算において、開始時点でのi番目の原子の磁化。1ならすべてアップスピンで、−1ならすべてダウンスピンで開始することを意味します。0から始めてしまうと磁化がでないことに注意します。iは1からnatまでの値をとります。|+|starting_magnetization(i)|自己無撞着な計算において、開始時点でのi番目の原子の磁化。1ならすべてアップスピンで、−1ならすべてダウンスピンで開始することを意味します。0から始めてしまうと磁化がでないことに注意します。iは1からntypまでの値をとります。|
  
-k点の数磁性体では大きい値が要求されますが、通常の2倍くらいにておけば問題ありません。 +ecutrhoは何指定自動的にecutwfc4倍りますが、ウルトラソフト型の擬ポテンシャルでさらに大き値が要求されるので変更します。 
-計算は金属場合よりもさら時間がかかりますが、今回簡単な構造なのですぐに終わります。+
  
 それではPWscfを実行します。 それではPWscfを実行します。
 +計算は金属の場合よりもさらに時間がかかりますが、今回は簡単な構造なのですぐに終わります。
  
-  $ pw.x < ni.scf.in > ni.scf.out+  $ pw.x < Ni.scf.in > Ni.scf.out
  
 得られた磁気モーメントは以下のように確認します。 得られた磁気モーメントは以下のように確認します。
  
-  $ grep -e magnetization ni.scf.out+  $ grep -e magnetization Ni.scf.out
       atomic species magnetization       atomic species magnetization
       total magnetization = 1.85 Bohr mag/cell       total magnetization = 1.85 Bohr mag/cell
Line 67: Line 67:
       absolute magnetization = 0.69 Bohr mag/cell       absolute magnetization = 0.69 Bohr mag/cell
  
-一番下の2つの値が収束した結果、得られた磁化です。 +一番下の2つの値が、SCF計算の収束によって得られた磁化です。 
-全磁化(total magnetization)m_tと絶対磁化(absolute magnetization)m_aの違いは、n↑(r)を位置rにおけるアップスピンの電子数密度、n↓(r)をダウンスピンの電子数密度として+全磁化(total magnetization)$m_t$と絶対磁化(absolute magnetization)$m_a$の違いは、$n_{\uparrow}(r)$を位置$r$におけるアップスピンの電子数密度、$n_{\downarrow}(r)$をダウンスピンの電子数密度として
  
 \begin{align} \begin{align}
-m_t = \int dr (n↑(r) − n↓(r)) +m_t &= \int dr (n_{\uparrow}(r) − n_{\downarrow}(r)) \\ 
-m_a = \int dr |n↑(r) − n↓(r)|+m_a &= \int dr |n_{\uparrow}(r) − n_{\downarrow}(r)|
 \end{align} \end{align}
 で定義されます。 ただし積分範囲は単位胞内です。 で定義されます。 ただし積分範囲は単位胞内です。
Line 78: Line 78:
 強磁性体であれば全磁化と絶対磁化は同じになります。 一方で反強磁性体の場合は全磁化は0になりますが、絶対磁化は1つの原子が持つ磁化の2倍の値になります。 強磁性体であれば全磁化と絶対磁化は同じになります。 一方で反強磁性体の場合は全磁化は0になりますが、絶対磁化は1つの原子が持つ磁化の2倍の値になります。
  
-Niの場合は全磁化が実験で0.606µBであることが知られていて、これに近い値が得られました。+Niの場合は全磁化が実験で0.606 µBであることが知られていて、これに近い値が得られました。
  
quantumespresso/磁性体.1541154060.txt.gz · Last modified: 2021/06/27 22:00 (external edit)