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ブラックホール-中性子星連星の合体
ブラックホール-中性子星連星の合体は、最も有望な重
力波源の1つであり、また天体物理学的にも興味深い研究対象である。この系
の最後の運命は、大きく2つに分けることができ、その運命はブラックホール
と中性子星の質量、ブラックホールのスピン、および中性子星の状態方程式に
依存する。例えば、中性子星の質量を太陽の1.4 倍、半径を11 kmとし、また
ブラックホールは回転していないとしよう。すると、ブラックホールの質量が
太陽質量の約4倍以上であると、中性子星は最終的にブラックホールに飲み込
まれ、単純にブラックホールの質量が増えて合体が終わる。一方、ブラックホー
ルの質量がそれよりも小さいと、中性子星は飲み込まれる直前に潮汐破壊され
る。潮汐破壊される場合には、中性子物質がブラックホール回りに降着円盤を
作り、ガンマ線バースとの中心エンジンになるかもしれない。潮汐破壊の可能
性はブラックホールのスピンが大きいほど増し、例えばスピンが最大値の75
%の場合には、1.4 太陽質量の中性子星に対して、ブラックホールの質量が太
陽質量の10 倍でも、潮汐破壊が起こるかもしれない。
重力波源としての性質、および合体後に誕生する天体の性質を解明するため、
数値相対論を用いたシミュレーション研究が必要であり、そのような研究が
進められている。
アニメーションの説明: 軌道面の密度の進化。黒い丸が
ブラックホールを表す。密度はlog(g/cc)スケールで表示。
アニメーションは久徳浩太郎が作成。
- 中性子星の半径11.6km、中性子星の質量1.35太陽質量、
ブラックホールの質量はその5倍、ブラックホールのスピンは0.75の場合:
HB_Q5_M135_S75
- 中性子星の半径11.6km、中性子星の質量1.35太陽質量、
ブラックホールの質量はその4倍、ブラックホールのスピンは0.75の場合:
HB_Q4_M135_S75
- 中性子星の半径11.6km、中性子星の質量1.35太陽質量、
ブラックホールの質量はその2倍、ブラックホールのスピンは0.75の場合:
HB_Q2_M135_S75
- 中性子星の半径11.6km、中性子星の質量1.35太陽質量、
ブラックホールの質量はその2倍、ブラックホールのスピンは-0.5の場合:
HB_Q2_M135_S-5
- 中性子星の半径11.6km、中性子星の質量1.35太陽質量、
ブラックホールの質量はその2倍、ブラックホールのスピンは0.00の場合:
HB_Q2_M135_S0
- 中性子星の半径11.0km、中性子星の質量1.35太陽質量、
ブラックホールの質量はその5倍、ブラックホールのスピンは0.75の場合:
B_Q5_M135_S75
- 中性子星の半径11.0km、中性子星の質量1.35太陽質量、
ブラックホールの質量はその2倍、ブラックホールのスピンは0.75の場合:
B_Q2_M135_S75
- 中性子星の半径12.3km、中性子星の質量1.35太陽質量、
ブラックホールの質量はその5倍、ブラックホールのスピンは0.75の場合:
H_Q5_M135_S75
- 中性子星の半径15.2km、中性子星の質量1.35太陽質量、
ブラックホールの質量はその2倍、ブラックホールのスピンは0.00の場合:
2H_Q2_M12_S0