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スカラーテンソル理論における連星中性子星の合体
一般相対論はこれまでにその破れが全く見つかっていない非常に成功した古典
重力理論である。しかしながら、これまでの一般相対論の検証は、軌道半径の
大きな連星中性子星や太陽系内のような弱い重力場の精密測定によってのみ行
われている。重力波観測が始まると、中性子星やブラックホールの近傍のよう
に強い重力場を伴う物体から放射される重力波を用いて一般相対論の検証が行
われるようになると期待され、その結果、より強い制限を課すことができるよ
うになるであろう。運が良ければ、一般相対論の破れが検証されるかもしれな
い。そこで、一般相対論とは異なる重力理論を用いて、期待される重力波源か
らの重力波の放射過程の研究を進め、重力波の波形に重力理論の特徴が反映さ
れるのかについても調べている。
以下の例では、自発的なスカラー増幅を引き起こしうるスカラーテンソル理論
における連星中性子星の合体の様子を紹介している。軌道面のスカラー場の値
と密度を表示している。連星間の距離が縮むとスカラー場が増幅され、その
結果、合体が早まる。この軌道の変化は重力波の波形に反映される。
(文献: Shibata et al., PRD 89, 084005, 2014)