非平衡物理学グループセミナー 2007

4月23日(月) 13:30-

発表者
大熊 孝広 氏 (京都大学)


題目(title)
「記憶効果を持つLangevin系でのゆらぎの定理」

概要(abstract)
Langevin方程式やMaster方程式で記述される確率論的な系に対して、そのゆらぎ
の従う厳密な関係式として揺らぎの定理というものが知られている。この関係式
は、平衡・非平衡を問わず任意の強度と速度の外的擾乱に対して成立し、線形応
答理論や外的な仕事に対するJarzynski等式などを含む。


今回は、複雑液体中でのブラウン運動や生体高分子のダイナミクスなどに現れる
記憶関数を持つようなGenelized-Langevin系へのこの定理の拡張を行ったので、
その結果について議論をしたい。ノイズについては有色ガウシアンノイズを仮定
している。non-Markovの場合にも確率の評価に経路積分の方法を用いて、記憶関
数の詳細によらずに同様の形式が成立することが示される。


ガラスの揺らぎダイナミクスでKurchanが同様な研究を行っているが、そこでは対象
が定常状態に制限されている。我々はゆらぎの定理の初期状態依存性をみること
ができるように定式化を行った。これにより、有限時間に変化を起こす系での
Jarzynski等式やエントロピーの増大則の成立を確認することができる。また簡
単な例に対して数値シュミレーションを行ったので紹介したい。


場所
京都大学基礎物理学研究所 研究棟・講義室K202
地図 (Map)