半古典論は、量子力学と古典力学をつなぐ言語として価値があ る。そこで用いられる手法は漸近解析(特にWKB法と鞍点法) と呼ばれるものであるが、この手法は統計力学と熱力学、ある いは波動光学と幾何光学というような学問体系どうしをつなぐ 道具でもあり適用範囲はいたって広い。一方で、この手法は転 回点と焦点で発散してしまうという欠点があり、また半古典論 という名称ながら実際には古典力学に量子のうすかわをかぶせ た程度の方法にとどまっている。そこで共同研究者の足立聡氏 (東工大理)らと、悪名高い発散を除去し同時にもっと量子の 側にふみこんだ半古典論をつくる研究を行なってきたのである が、その数学的基礎ができあがったので報告する。