非平衡物理学グループセミナー 2007

9月12日(水) 16:00-

発表者
西野 貴博 (京都大学理学研究科)


題目(title)
揺動散逸関係を保存した場の理論によるガラス転移の研究

概要(abstract)
モード結合理論(MCT)は第一原理的な方程式から導出され、
ガラス転移点近傍において実験で観測される過冷却液体の
緩和の挙動などをよく説明している。
しかしMCTは、ガラス転移温度を実際よりも高温に予言し、
さらに過冷却液体に対して非エルゴード転移を予言してい
るなど、いくつかの問題がある。
これに対してDasら[1]は流速-密度相関によるカットオフ
により過冷却液体が非エルゴード転移をしないことを指摘した。
しかし、彼らの理論において行われる近似にはいくつか問題点
があることから、実際に流速-密度相関によるカットオフが
存在するのかどうか未だに分かっていない。

そこで我々はAndreanovら[2]により提案された方法により、
fluctuating hydrodynamicsに対して揺動散逸関係を保存した
場の理論の構築を行った。
これにより、我々はDasらの求めた流速-密度相関によるカットオフが
存在しないことを示した。
これらについてお話しする予定である。

[1] P. S. Das and G. F. Mazenko, Phys. Rev. A, 34, (1986) 2265.
[2] A. Andreanov, G. Biroli, and A. Lefevre, J. Stat. Mech., (2006) P07008.


場所
京都大学基礎物理学研究所 研究棟・講義室K102
地図 (Map)

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セミナー係 : 中島 千博
E-mail: nakajima@yukawa.kyoto-u.ac.jp
tel: 075-753-2930