非平衡物理学グループセミナー 2007

10月30日(水) 15:00-

発表者
北 孝文 (北海道大学理学研究科)


題目(title)
量子輸送方程式による非平衡統計力学

概要(abstract)
Boltzmann方程式などの輸送方程式は、非平衡現象の解明に大きな役割を
果たしてきた。久保公式などの線型応答理論と比べたとき、その明白な
利点は、非平衡系の時間発展を直接記述できることにある。しかし、1872年
に提出された元祖Boltzmann方程式では、希薄古典気体が扱えるのみである。
その後、特に1960年代以降の場の量子論を用いた研究により、輸送方程式の
の適用範囲は大いに広がり、量子効果や強結合効果も取り込めるようになって
きている。この講演では、この輸送方程式論の発展について報告する。
主な内容は下記の通りである。

(1) 松原グリーン関数を用いたKadanoff-Baymによる準古典輸送方程式
(2) Keldyshによる実時間摂動展開理論と準古典輸送方程式
(3) 量子効果を含んだ輸送方程式
(4) 非平衡系のエントロピーの表式
(5) 荷電粒子系の輸送方程式におけるゲージ不変性とHall効果

以上の発展により、非平衡系を微視的・統計力学的に扱うことに
原理的問題はなくなったと考えている。






場所
京都大学基礎物理学研究所 研究棟・講義室K102
地図 (Map)

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セミナー係 : 中島 千博
E-mail: nakajima@yukawa.kyoto-u.ac.jp
tel: 075-753-2930