界面活性剤のような両親媒性分子は選択溶媒に溶かすことで種々のミセル 構造 (球状ミセル、円柱状ミセル、ベシクル等) を形成する。複数の異なる 種類の高分子鎖を化学結合することで作られるブロックコポリマーも 選択溶媒中でミセル構造を形成することが知られている。しかしながら、 ブロックコポリマーミセルのダイナミクスについてはまだ十分に理解されて いないことも多い。 本研究では両親媒性ブロックコポリマー溶液中のミセル構造形成、形態転移の ダイナミクスを確率的密度汎関数理論を用いてシミュレーションした。 シミュレーションの結果、一様な初期状態からの各種ミセル構造の形成 ダイナミクス、相互作用パラメータの変化によるミセル構造間の形態転移 ダイナミクスを再現することができた。これらの結果は粒子法による シミュレーション結果や実験結果と定性的に一致し、物理的にも妥当であると 考えられる。 シミュレーション結果からブロックコポリマーミセルの構造形成、形態転移の メカニズムを議論する。また、従来の両親媒性分子系の連続場理論との相違点や 確率的密度汎関数方程式を数値シミュレーションで扱う際の問題についても 議論する。