破壊現象-亀裂の成長-は、実験・理論両側面において種々の困難さを含み、物質科学に おける難問の一つである。また、所謂ソフトマテリアルに分類される固体(プラスチッ ク、ゴム、ゲル或いは粘着剤等)は、大変形や複雑なレオロジー効果によって、特有の 破壊挙動を示す。講演では、固体成分が10%(残り90%が水)程度にもかかわらず、 ゴムに匹敵する強度をもつDNゲル(ダブルネットワークゲル)の破壊機構(見方をかえ れば高強度化機構)について述べつつ、構成関係(応力-歪)の非線形性が物質の破壊 挙動(または破壊強度)に与える影響について考察する。