熱輸送や電子輸送を含む量子輸送現象で、揺らぎの定理に関連した対称性の 議論を行う。特にメゾスコピック系の物理で非常に重要になる完全計数統計に おける生成汎関数を考察する。最初は熱輸送において、量子化コンダクタンス が観測できるパラメータ領域での議論する。次に電子輸送現象での、電流およ び熱流を生み出す生成汎関数の考察を、磁場ありマルチリードにおける最も一 般的な状況において厳密に行う。この一般論を通じて、非線形輸送領域における 非自明な関係式群を導出する。現在の実験を紹介しながら、これらの関係式 が観測可能であることを、強調したい。