近年、たんぱく質をコードしないRNAによる翻訳過程の制御が注目を集めている。 我々は、大腸菌における鉄代謝系が、小さなRNA(sRNA)による mRNAの分解過程を 含んでいることに注目し、それを簡単化したフィードバックモデルを提案した。 さらに、その振舞いを、単純な転写制御と比較して、 sRNAによる制御の特長を 明らかにすることを目指した。その結果、速い反応を可能にするための代謝コス トが、sRNAによる制御と転写制御で異なることがわかった。さらに、1種類の小 さなRNAを用いた調節によって、複数のmRNAの発現の優先順位付けが可能である ことを指摘する。 N. Mitarai, A. Andersson, S. Krishna, Szabolcs Semsey, and K. Sneppen, Phys. Biol. 4 (2007) 164-171.