われわれは慣性の効果が無視できないほど短い時間スケールでのブラウン粒子多体系を 研究しました。このスケールではブラウン粒子多体系は位置と運動量を変数とする3N個 のランジュバン方程式で記述されます。われわれはこの3N個のランジュバン方程式から、 ある仮定の下で密度場と運動量密度場に対する時間発展方程式(確率偏微分方程式)を厳 密に導きました。われわれはこの方程式から慣性が無視できるほど長い時間スケールで 有効な粗視化された方程式、いわゆる Dean-Kawasaki公式を導出しました。この発表で はこれらの導出の方法と得られた方程式の持つ性質、そして近年盛んに研究されている ガラスの研究との関連について紹介します。本研究は吉森明氏との共同研究であります。