9月 27(水) 16:00~
発表者
國仲 寛人 (所属:中央大学 理工学部 物理学科)

題目
市の人口分布を再現する人口移動モデル?Zipf則はなぜ破れるか??

概要
 
都市を人口の多い順に並べ、横軸に人口、縦軸に順位を取った「人口ランク分
布」はべき分布になり、そのべき指数が極めて1に近い値を取ることが知られて
いる。このことはZipfの法則と呼ばれ、都市人口以外でも様々な自然・社会現象
で観測されることが知られている。[1]

これまでに我々は日本の全市町村の人口ランク分布をデータ解析とモデル解析の
両面から調べてきたが[2]、
戦後の人口データの解析から市の人口ランク分布のべき指数は時代と共に変化
し、更にZipf則が成立する期間は30年程度だということが明らかになった。ま
た、データ解析から戦後2回起こった市町村大合併が市の人口ランク分布におけ
るZipf則の破れに関与することがわかった。[3]

我々は市の人口ランク分布に見られるZipf則を再現する市町村間の人口移動モデ
ルを構築し、更に市町村合併のメカニズムを入れることで市のべき指数の時間変
化を定性的に説明することに成功した。[3]
講演では、データ解析の結果と我々のシミュレーション結果との比較について報
告する。この研究は松下貢氏(中央大理工学部物理学科教授)との共同研究である。

参考文献:
[1] http://www.nslij-genetics.org/wli/zipf/
[2] Y. Sasaki, H. Kuninaka, N. Kobayashi, and M. Matsushita:
  J. Phys. Soc. Jpn. 76, 074801(2007).
[3] H. Kuninaka and M. Matsushita, arXiv:0802.2810


      

場所
京都大学 基礎物理学研究所 研究棟・講義室K102
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