10月 3(木) 13:00~, 4日(金) 9:00~
発表者
Tomio Y. Petrosky (所属:The University of Texas at Austin)

題目
リウビル演算子の複素固有値問題から見た非平衡系の運動論的方程式

概要
 
不安定動力学系の時間の対称性の破れをリウビル演算子の複素固有値問題の立場から分
析する。この分析によって、非平衡系の不可逆性は古典力学における位相関数や量子力
学における確率密度行列が、無限自由度を持った非可積分系に起因する超関数をも含ん
だ、ヒルベルト空間よりももっと拡張された関数空間における厳密な力学的性質である
ことを示す。この拡張された関数空間ではリウビル演算子は対称演算子であるにもかか
わらず、複素固有値問を持つことができる。この虚数部は非可積分系に特徴的な共鳴特
異性の結果現れて来る。そして、その虚数部が時間の対称性を破る。その場合、非平衡
系の運動論的方程式の衝突演算子とリウビル演算子は相似関係によって結ばれており、
その結果、その固有値を共有する。したがって、運動論的方程式の衝突演算子の固有値
問題を解くことによって、リウビル演算子の固有値問題も解けることになる。この固有
値問題の解の具体的な例を、線形化されたボルツマン方程式、ローレンツガス、比較的
濃密度なガス、熱浴としてのホノン系と相互作用をしている量子電子系、それにタンパ
ク質連鎖の中でのエネルギー伝播の機構などについて、幾つか例示する。講義は日本語
で行う。 
      

場所
京都大学 基礎物理学研究所 湯川記念館・大会議室 Y206
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