- 10月 9(木) 16:00~
- 発表者
- 渡辺 宙志 (所属:東京大学 情報基盤センター)
- 題目
- 定温ダイナミクスとリュービル演算子の非エルミート性
- 概要
解析力学で指定される運動に温度を導入しようとすると、そもそも温度と運動を結びつ
ける原理が無いという事実に直面する。定常分布としてカノニカル分布を維持すること
を要請すると、その時間発展を表すリュービル演算子は必ず非エルミートとなり、温度
は非可換成分の振幅として現れることがわかる。このようなリュービル演算子を変分原
理で決めることはできないが、発見法的に構築した例としてNose-Hoover法に代表される
拡張系の方法が挙げられる。
一方、微視的なハミルトンダイナミクスから温度を抽出する手法としては森らによる射
影演算子の方法が一般的な枠組みを与える。この枠組みでは森方程式からLangevin方程
式に帰着する過程で、マルコフ近似により時間反転対称性が陽に破られている。
本発表ではその二つの温度の導入法の違いについて比較し、温度とダイナミクスのあり
方、およびそれらがリュービル演算子の性質にどのように現れるかについて議論する。
- 場所
- 京都大学 基礎物理学研究所 湯川記念館・大会議室 Y206
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