11月 6(木) 16:00~
発表者
鄭誠虎(Chong Song-Ho) (所属:分子科学研究所)

題目
均一シア系に対する非平衡モード結合理論
"Nonequilibrium mode-coupling theory for uniformly sheared systems"

概要
 
非平衡状態、特にシアがかかった状態におけるガラス形性物質の振る舞いは、
ジャミング転移との関連も含めて、最近活発に研究されている。シア流中の過冷
却液体は、わずかなシアをかけることによって粘性率が劇的に減少する(shear
thinningと呼ばれている)といった非線形な応答を示す等、レオロジーの観点か
らも興味深い系である。

ガラス転移の問題に対して、これまで数多くの理論的試みがなされてきたが、そ
のほとんどは微視的な基礎を持たない現象論の域を出ない。「ガラス転移のモー
ド結合理論」は、第一原理からガラス転移の問題にチャレンジして、部分的にし
ろ成功した唯一の統計力学理論として注目されている。よって、この理論を非平
衡状態をも扱えるように拡張することがpromisingであると考えることは自然で
あろう。

実際、シアがかかった系を扱うための非平衡モード結合理論は、これまで3つの
グループにより提案されている。ところが、これらの理論には多くの問題点が存
在する。本セミナーにおいてはこれらの問題点について整理し、それらを含まな
い非平衡モード結合理論の定式化について述べる。

      

場所
京都大学 基礎物理学研究所 湯川記念館・大会議室Y306
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