% sg-l.9812005 文部省での会見の報告: 以前お知らせしましたように、ポスドクフォーラムの活動として文部省 での会見をしてきましたので、御報告します。 日時:12月2日(水) 14:10 から15:30くらい 場所:文部省の会議室 参加者:青木一(高エ研)、浅川恵理(お茶大)、佐藤丈(東大理)、 早川雅司(東工理)、 文部省学術国際局の方4名 提出書類:参加者リスト、レジメ、実態調査の結果(表、グラフ) このメールの最後に添付します。 グラフは http://www-th.kek.jp/tsukasa/pd/survey1.html を見てください。 一時間をこえる充実した議論がなされ、有意義な会見でした。この分野 のポスドクの実態を伝え、ポスドクフォーラムの存在を伝えることがで きました。 もっとも彼らはある程度このような状況を認識しており、例えば「ポス ドク一万人計画」達成後の増加したポスドクの将来等について、まさに 今学術審議会等で議論しているそうです。我々がポスドクの解決策とし て提案した内容も何度も議論に上がっているそうです。 我々はこの分野の特殊性を強調し、早急に対応する必要があることをう ったえました。ポスドク実態調査の結果などは彼らにとっても有用な情 報で、今回の会見の内容を今後の彼らの議論に役立てて頂くことになり ました。今回は初めての会見でしたので、あまり細かい話にはなりませ んでした。 彼らとは今後も連絡をとりあうことにしました。今回の会見をふまえ、 今後さらにポスドクフォーラムの活動を進展させて行く予定ですので、 みなさんの御理解と御協力を頂きたいと思います。 青木一@KEK %%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%% %\documentclass{jarticle} \documentstyle{jarticle} \begin{document} \begin{center} {\Large 素粒子・原子核理論におけるポスドクの実態報告と\\ その改善への文部省の協力のお願い } \end{center} \begin{flushright} ポスドクフォーラム\\ 1998年12月2日 \end{flushright} \vspace{0.5cm} \noindent {\large 1 ポスドク問題の重要性と深刻さ、\\   及びポスドクフォーラムの設立: } \vspace{0.2cm} 博士(ドクター)の学位取得後、大学や研究所等の定職に就いていない研究 者のことを、ここではポスドクと呼びます。 日本学術振興会特別研究員等で研究生活資金の交付を受けている者も、 研究生等として授業料を大学等に支払い ながら研究を続けている者もおります。 素粒子$\cdot$原子核理論の分野は大変多くのポスドクがおり、これらポス ドクや大学院生といった若手研究者が精力的に先鋭的な研究を行い、それが活 力となって目覚ましい発展を遂げています。我々若手研究者が研究を支えていると 自負しています。また、 この分野は、すべての自然現象を統一的に、また、より深く理解し記 述しようという人類の壮大な挑戦であり、それが故に多くの若者がこれらの研究を 希望しています。 しかし、現在の日本ではポスドクの生活$\cdot$研究を支える制度が不十分であり、思 うように研究のできないポスドクが大変多くおります。また、大学・研究所の職員の 数が少ないため最終的にこの分野の研究者としての就職を望めず、 優れた研究をしているにも拘わらず研究をやめることを 余儀なくされている者が少なくありません。 この問題は、我々の分野では以前から深刻で、今日に至るまで抜本的解決策 は施されていません。 さらに近年の学院構想の実施により、 大学院生$\cdot$ポスドクの数は増加したものの、 大学や研究所等の職員の数は増えず、 このままでは多くの大学院生$\cdot$ポスドクが研究者の職には就けません。 また大学教官一人当たりの大学院生の数が増えたため、 学生に対する十分な指導が困難になっている場合もあるようです。 この様な状況を見ても、より一層の科学技術の発展のためには、 更に多くの常勤の研究者の職を増やすべきだと思われます。 学振特別研究員制度等のポスドク制度が導入されましたが、 この分野の研究を志す非常に多くの若手研究者を支えるにはまだ不十分です。 また、最近は、学振特別研究員を経た後、次の任期つきの職(狭い意味でのポスドク) に就くことが困難な研究者が増えてきました。 このことは今後最も深刻な問題になると思われます。 これらの事情を考慮した、一層のポスドク制度の拡充$\cdot$整備が早急に必要です。 このような厳しい状況を乗り切るため、ポスドク間の意見交換及びその議論に基 づいた具体的な働きかけを行う場として、「ポスドクフォーラム」を1998年10月の 日本物理学会において設立しました。ポスドクフォーラムは、素粒子$\cdot$原子 核理論の研究者の集まりである「素粒子論グループ」から支援を受けています。 このポスドクフォーラムの活動として、まず有馬文部大臣との会見を希望し、それ が今回の文部省での会見となりました。近年、文部省をはじめ日本全体が若手研究 者の育成に力を入れて下さっていることは非常にありがたいことと思います。 更に、実際の若手研究者の生の声を聞くことで、より有効な形で運営に役立てて 頂ければ幸いです。 %\vspace{0.5cm} \newpage \noindent {\large 2 ポスドク実態調査の結果: } \vspace{0.2cm} 1998年11月初めに素粒子$\cdot$原子核を研究する272の研究グループ宛に 電子メールにより別紙のようなアンケートを配布し、 うち210の研究グループより回答がありました。これ は回答した研究グループに属する教員の人数で考えて、 全体の約9割にあたります。 特に大学院生、ポスドクを抱える大きな研究グループからは ほぼ10割の回答を得ていますので、 実質的にこの分野のセンサスと言って良いものになっています。 この結果によると、 現在この分野のポスドクは163名おります。 これは大学院生を抱える研究グループに属する教員総数316名の半分強にあたり、 人数的にもこの分野の研究を支える大きな集団となっています。 そのうち学振特別研究員、COE研究員として研究生活資金の交付を受け ているものは79名のみで、 この部分を諸外国では一般にポスドクと称しています。 日本の場合ポスドクの約三分の一にあたる51名が研究生等として、博士号 取得後、入学金、授業料を自己負担で支払いながら研究を続ける事を余儀なくされてい ます。 またこれらポスドク163名、博士課程三年目に在籍の者79名に対して、 これらの者の応募が期待される来年度の講師または助手の採用予定は13名、 今年度実績では11名となっています。 特に研究上の中心となる大学院生を抱える大きな研究グループでの来年度採 用予定、今年度実績は共にわずかに3名です。 一方この分野の学生の総数669名はこの分野で指導にあたる教授$\cdot$助教授の 総数235名の3倍弱に上ります。 すなわち学生の増加により、一人の教授もしくは助教授は常時約3名の大 学院生の指導に当たっている事になります。 研究室によっては一人の教授が10名以上の学生を指導している場合もあります。 今回の調査に引続き、より詳しい実態調査を続けて行く予定です。 %\vspace{0.5cm} \newpage \noindent {\large 3 ポスドク問題に対する解決策: } \vspace{0.2cm} 次のようなことが考えられます。他機関管轄の問題も含まれているかと思いますが、 その点はご指摘下さい。 \vspace{0.2cm} I 当面の(対処療法的)解決策(ポスドク制度の拡充、整備): \renewcommand{\theenumi}{\roman{enumi}} \begin{enumerate} \item 日本学術振興会の制度改善 現在最も大きなポスドク制度は学振制度ですが、いくつか改善して頂きたい 点があります。 \begin{enumerate} \item PD特別研究員に二回以上就くことを可能にする。 現在PD特別研究員への応募は一回のみとなっています。 しかし、PD特別研究員の三年の任期を終え次の職のないポスドクは増加する一方です。 このようなポスドクが研究職に留まれるようにするために 当面の策として二回以上応募できるよう改善をお願いします。 \item 分野毎にDCとPDの比率をどうするか等の裁量を増やす。 学部によってはDC特別研究員を多く採用する必要があるようですが、 素粒子$\cdot$原子核の分野は多くのポスドクを抱え、PD特別研究員の増員が急務です。 このように研究分野により必要とする特別研究員の種類が全く異なります。 そこで、分野毎にDCとPDの比率をどうするかなどの裁量を 増やして頂きたいと思います。 \end{enumerate} \item 学振以外のポスドク制度の強化 学振特別研究員だけではこの分野のポスドクを支えるのは不可能ですので、 学振以外のポスドク制度の強化も必要です。 \begin{enumerate} \item COE研究員を拡充する。 COE研究員は学振特別研究員と同程度の研究生活資金を受けられる数少ない ポスドク制度ですので、 採用者の増員をして頂きたいと思います。 また近い将来、学振特別研究員と同様に、 2回以上の応募可能性等の検討が必要になると思われます。 \item 科研費でのポスドクの雇用を可能にするための制度を整備する。 諸外国では、大学$\cdot$研究所等についた科研費でポスドクを雇用していますが、 日本でもこのような制度の整備をして頂きたいと思います。 \end{enumerate} \item 日本育英会の返還猶予、返還免除制度の改正 五年の返還猶予期間を過ぎ、ポスドクを続けている者が増加しております。 経済的保証のないポスドクにとって、 返還による経済事情の圧迫は厳しいものです。 \begin{enumerate} \item 返還猶予期間、免除職就職期限を延ばす。 素粒子$\cdot$原子核理論分野に於ける研究職への就業状況を見ると 少なくとも十年は必要です。 \item ポスドクも免除職相当にする。 実際に研究者として仕事をしているのですから、 免除職相当であると思います。 \end{enumerate} \item 研究生、研修生の入学金、授業料の減額 奨学金返還と同様、これらの経済的負担は大きく研究生活を圧迫しています。 \begin{enumerate} \item 協力研究員制度を各大学$\cdot$研究所に導入する。 高エネルギー加速器研究機構では協力研究員制度(入学金、授業料不要) が施行されていますが、この制度を他の大学、 研究所にも導入することの必要性を強く感じます。 \end{enumerate} \item 博士課程の大学院生の待遇の改善 博士課程の大学院生も研究者として仕事を行っています。 博士課程の授業料を減らす、または Teaching Assistant等の制度を拡充する 等の改善をして頂きたいと思います。 \end{enumerate} II 抜本的解決策(就職問題): \begin{enumerate} \item 大学・研究所の職の数の増強 この分野の大学・研究所の職員数の増員無くして、 ポスドク問題の根本的な解決はあり得ません。 また、学院構想により大学院生数が増加したことに伴い、 教官数も増えなければ、 大学の教官による大学院生に対する十分な指導は望めません。 日本の基礎科学の将来の発展のためにも、大学・研究所の職員の数を増やし て頂きたいと思います。ちなみに、欧米諸国では素粒子$\cdot$原子核理論のような 基礎科学の研究の盛んな大学・研究所はレベルの高い研究をしている例 が多く見られます。 日本の基礎科学分野が欧米と肩を並べて発展していくためには、 日本も更に力を入れることが必要ではないでしょうか。 \item 大学・研究所の人事の透明化、交流の促進 素粒子$\cdot$原子核理論分野における大学・研究所の職員採用に関しては、公募 を呼びかけていきたいと思っています。 また他の分野との交流を深め他分野 への就職の可能性も追求していく予定です。 \item 大学・研究所以外への就職の可能性の探索 大学・研究所の研究職のみならず、民間企業や官庁への就職の可能性も考 える必要があると認識しています。 しかし、 日本においては 博士号を取ることが就職先の間口を狭めているというのが 現状です。 博士を採用することの利点を世間が感じるような環境作りが必要と思われます。 ちなみに、wwwの構築など、この分 野の人が別の分野で創造的な仕事をして成功した例は数多くあります。 \end{enumerate} \end{document} %%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%% 第一回ポスドク実態調査の結果 (1998 年 4 月 1 日現在での状況) 【1】 学生の数およびサポート状況 学年 人数 育英会 DC学振 MC 1 201 人 [ うち 79 人 ] MC 2 178 人 [ うち 94 人 ] MC 3以上 12 人 DC 1 90 人 [ うち 56 人 ] [ うち 12 人 ] DC 2 81 人 [ うち 52 人 ] [ うち 15 人 ] DC 3 79 人 [ うち 41 人 ] [ うち 21 人 ] DC 4以上 28 人 [ うち 0 人 ] (合計) 669 人 [ 332 人 ] [ 48 人 ] 【2】 ポスドクの数およびサポート状況 人数 PD学振 or COE研究員 研究生 or 研修生 163 人 [ うち 79 人 ] [ うち 51 人 ] (注) ここで、「ポスドク」とは、サポートの有無にかかわらず、ドクターを とってパーマネントの職についていない人を指す。 また、「研究生 or 研修生vとは、授業料等を支払っている者を指す。 【3】 パーマネントスタッフの構成および採用状況 3-1. 人数 [うち、大学院生のいる研究室の数 ] 教授 256 人 [134 人] 助教授 178 人 [101 人] 講師 69 人 [ 20 人] 助手 115 人 [ 61 人] (合計) 618人 [316 人] 3-2. 近年の採用状況 [うち、大学院生のいる研究室の数 ] 講師 or 助手 助教授 or 教授 1997 年度 22 人 [11 人] 21 人 [15 人] 1998 年度 11 人 [ 3 人] 16 人 [ 9 人] 1999 年度 13 人 [ 3 人] 16 人 [ 9 人] (合計) 46 人 [17 人] 53 人 [33 人] (注) ここで、「1999 年度」の段には、来年度の採用見込みの数を記入。 また、「パーマネントスタッフ」とは、任期が 3 年を越えるものを指す。 (注) ここで、「ポスドク」とは、サポートの有無にかかわらず、ドクターを とってパーマネントの職についていない人を指す。 また、「研究生 or 研修生vとは、授業料等を支払っている者を指す。 %%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%