Date: 2014年7月15日 10:51
From: Yutaka Ookouchi 
Subject: [Sg-l:454] 第14回素粒子メダル選考結果報告

素粒子論グループのみなさま,

素粒子メダル選考委員会委員長の奥山和美氏より,2014年度素粒子メダルおよび素粒子メダル功労賞の選考結果が報告されましたので転送いたします.

素粒子論委員会 素粒子メダル担当
大河内豊


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2014年度第14回素粒子メダル及び素粒子メダル功労賞 選考報告書

2014年度の素粒子メダル1件2名を以下のように選考しましたので、
ご報告します。なお、本年度は素粒子メダル功労賞は推薦がありませんでした。

2014年度素粒子メダル選考委員会
大野木哲也 岡田安弘 奥山和美*
川合光   畑浩之  細谷裕
(* 委員長)

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<2014年度素粒子メダル>
○萩原薫氏、日笠健一氏
「素粒子標準模型の精密検証を可能にした理論計算の確立」

<選考経緯>
本年度は、素粒子メダル1件1名の候補者推薦があった。選考委員会で協議検討
の後、推薦業績として挙げられた論文の中の1編の論文の共著者2名を受賞者と
するのが適切であると判断し、候補となる業績の分野における専門の外部研究
者複数名に評価の意見を依頼した。寄せられた評価書を参考資料として、選考
委員会で再度該当業績を検討し、素粒子メダル1件2名を決定した。

<受賞理由>
<素粒子メダル>
○萩原薫氏、日笠健一氏
「素粒子標準模型の精密検証を可能にした理論計算の確立」
K.Hagiwara, R.D.Peccei, D.Zeppenfeld and K.Hikasa,
"Probing the Weak Boson Sector in e+ e- ---> W+ W-",
Nucl.Phys.B282, 253-307 (1987).

非可換ゲージ理論に基づく素粒子標準模型の重要な性質は、ゲージ粒子の自己
相互作用が存在することであり、その定量的な検証のためにCERNでは1990年代
に電子・陽電子コライダーであるLEPの衝突エネルギーをW粒子対生成領域に上
げるLEP2実験が計画、実施された。対象論文は、LEP2実験の計画段階に書かれ
たもので、ゲージ粒子の3点結合に影響を与える一般的な有効相互作用を書き下
し、そのヘリシティー振幅を与えるという系統的な方法により、LEP2実験の解
析の基礎となる理論的な枠組みを提示したものである。その解析の形式は、
LEP2のみならず、TEVATRONやLHC実験における標準模型を超える相互作用の探索
の解析にも広く使われている。このように対象論文はゲージ理論の実験的な検
証法を論じた基礎的な論文であり、素粒子メダルにふさわしい業績であると認
められる。

以上
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