Date: Fri, 24 Jun 2022 17:29 +0900
From: Yoshifumi HYAKUTAKE 
Subject: [Sg-l:6774] 第22回素粒子メダルの選考結果報告

素粒子論グループの皆様

素粒子メダル選考委員会委員長の棚橋誠治氏より、
2022年度第22回素粒子メダルの選考結果が報告されましたので、転送いたします。

授賞式は9月10日(土)に秋の学会の素粒子論懇談会(オンライン)において行われます。
よろしくお願いいたします。

素粒子論委員会 素粒子メダル担当
百武慶文

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素粒子メダル、素粒子メダル功労賞 選考結果報告

素粒子メダル選考委員会での選考結果をご報告いたします。どうぞよろしくお願いいた
します。

なお、今回、同一研究者による2つの異なる業績をひとつにまとめて素粒子メダルに
推薦する推薦書がございましたが、この推薦については、それぞれの業績への別個の推
薦であるとみなして審査いたしました。次回から、素粒子論グループ会員に候補者の推
薦を募る際に、素粒子メダルは業績に対する賞であることを強調したほうが良いのでは
ないかという意見があったことを申し添えます。

選考委員会
棚橋誠治(委員長)、日笠健一(副委員長)、高柳匡、野尻美保子、久野純治、松尾泰


「選考経過」
素粒子メダルに対し1件と、素粒子メダル功労賞に対して1件の推薦があった。素粒子論
委員会からの依頼を受け、素粒子メダル選考委員会は、3月29日にZoom上でオンライン会
合をもち、素粒子メダルは業績に対して与えられる賞であることを確認した。また、素粒
子メダルと素粒子メダル功労賞のそれぞれに推薦された業績について、各選考委員が精査し、
審査コメントを5月16日までに審査委員長に提出することを決定した。次いで5月18日に
Zoom上で第2回オンライン委員会を開催し、提出された審査コメントに基づいて議論を行っ
た。その結果、今年度の素粒子メダルについては受賞者なしとし、素粒子メダル功労賞に
ついては、受賞理由について正確さを期すため、推薦された業績に詳しい研究者2名に意見
書を求めることになった。その後、研究者2名からの意見書を5月24日に受け取り、メール
審議を経て素粒子メダル功労賞受賞者を決定した。

<素粒子メダル功労賞>
○宇川彰氏
「格子QCDの精密科学化と計算科学の環境基盤構築への貢献」

<受賞理由>
非摂動的な強い相互作用の理論としての格子量子色力学(QCD)は、
陽子と中性子の質量差も再現できるまでに精密科学としての成長を遂げている。
宇川氏は、場の量子論の立場から統計誤差や系統誤差の客観的な評価の基準や
アルゴリズムを提唱し、これらに立脚した計算成果を継続的に発展させる
原動力となった。格子QCDの数値計算が第一原理計算による精密科学の段階に
進展したのは、氏が設定した厳しい達成基準によるところが大である。

宇川氏はまた、PACS-CSの製作とそれを用いた大型研究の牽引、京コンピュータや
その後の富岳コンピュータを筆頭とする日本のスーパーコンピュータ開発への
貢献をはじめ、日本の計算機科学の発展に主導的な役割を果した。
現在、計算科学は素粒子物理学のみならず、あらゆる科学の分野において発展を続け
ている。 格子QCDの精密科学化および国内における計算科学の進展に対する宇川氏
の貢献は非常に大きい。

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