「SPWG-News #2」[sg-l 404] :これまでの活動報告及び今後の活動計画 

素粒子論グループメンバー各位、
「SPWG-News #2」(99/9/17)をお届け致します。(因に、創刊号は99/3/5発行)

来週開催される島根学会で、SPWG(SuccessionPlanningWG、後継研究者育成問題検討
WG)から報告・提案する内容に関するお知らせです。

以下の[1]-[4]は、sg-l等で既に公表した活動内容ですので、先ずは[5]-[
8]を読んで頂き、学会での御議論をお願い致します。SPWG責任者:菅本晶夫

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SPWG「これまでの活動報告及び今後の活動計画 」(於:99年9月島根学会)

[1]育英会との会見(Ref. [sg-l 255] SPWG 号外(99/5/14) ): 

SPWGは素粒子論グループを代表して、99年4月27日に日本育英会にお願いに行っ
た。午後2時より1時間10分程の会見。 育英会側:川村恒明理事長、横井勝哉返
還部部長、高木明宏返還部返還課課長 参加者:菅本、岡、夏梅、青木一、佐藤、中
務の6名。 尚、核理論からの参加者の岡と中務は当時SPWG暫定メンバー。 

< 要望 >
(1)奨学金返済の特別猶予期間を現行の「最大5年」から「最大10年」に延長。
       
(2)奨学金特別猶予職に、無給でありながら研究に従事している「協力研究員」、
民間団体の「素粒子奨学会奨学生」 等を加える。 
(3)学振特別研究員等の研究員を、「猶予職」から「免除職」に格上げ。 

< 返答内容 >
(1ー3)の要求と、我々の分野の事情について、一定の理解は得られたが、同時に
これらの実施が容易ではないことも言われた。 

【1】(1)に関しては、分野によって事情が異なる。 
【2】どの要求も、予算措置を必要とするため大蔵省との交渉が必要で、現在の状況
では、わずかでも予算を増やす要求は難しい。 
【3】文部省内部の異なる局の間に「なわばり」があり、奨学金返済の問題とポスド
クの問題とを統一的に議論することが困難である。 

< 総括 >
我々の要求に対して具体的な回答を得ることはできなかった。育英会自身は、猶予期
間の延長よりも、猶予枠の拡大の方により積極的であるような印象を受けた(同様の
要求が他分野からも有り)。 

上で述べたように、文部省内部の部局間にまたがる問題なので、学術審議会、文部大
臣等、トップダウンのルートを使わないと、事態はスムースに進展しそうにない。そ
の点で、有馬さんが文部大臣である今が、チャンスであるかもしれない。 

[2]国立10大学理学部長会議(於:九大理学部)へ向けてのキャンペーン: 

(1) From: Ken-Ichi Aoki  Date: Thu, 13 May
1999 19:50:53 +0900 Subject: [sg-l 254] 「協力研究員制度(仮称)」 

ついさっき、物理学科長の久保さんからもらった資料です。重要です。効果的な事前
対応をすべきだと思います。週末も近いので、とりあえず全文コピーを送ります。後
ほど、後継研究者育成問題検討WG(SPWG)からまとまった報告や要請が送られ
ると思います。   青木@金沢大理 

==================文教速報 平成11年5月10日(月曜日) 

国立10大学理学部長会議 20日・21日開催(九大理学部) 「協力研究員」(
仮称)制度の導入などを検討 

第九十一回国立十大学理学部長会議が、九州大学理学部を当番として五月二十日、二
十一日の両日、公立共済福岡リーセントホテルで開催される。会議では、 
1「国立十大学理学系研究科・理学部実態調査報告」の概要説明、 
2「理学部基礎教育の充実について(要望)」の取り扱いについて、 
3協力研究員制度の導入について、
4情報公開と入試情報について、
5中学・高校の情報教育の飛躍的拡充に対する大学側の対応について、 
6今後の理学研究科・理学部の目指すべき方向と社会の要請―などが議題として提案
さ  れている。

このうち、協力研究員制度の導入では、PDFなどを修了してなお職のない研究者が
授業料を払いながら研究を続けることを余儀なくされていることから、授業料を払わ
ずに研究を続けられ、かつ職歴にもなるような制度(「協力研究員(仮称)」)が導
入できないか検討する。 また、今後の理学研究科・理学部の目指すべき方向と社会
の要請については、「産学連携」「技術移転・特許支援」「OD問題と博士号取得後
の就職先」「研究支援資金の大型化と偏在化」に留意しながら、基礎的研究教育を担
当する部局として、大学審議会答申を受けての大学像の変化や独立行政法人の論議の
動向などを踏まえた理学研究科・理学部の今後の在り方について意見を交わす。 

(2)[sg-l 255] SPWG 号外(99/5/14) ):

本日、青木健一さんからsg-lに流れた、文教速報 平成11年5月10日(月曜日)
によりますと、来週の20日・21日に開催される、国立10大学理学部長会議(於
:九大理学部)において、「協力研究員」(仮称)制度の導入の検討が、議題に上り
ました。これは、九後さんからの要請を受けた数学者の丸山理学部長が議題をお出し
下さったものです。 
皆様、来週早々出来れば月曜日に、関係する国立10大学の理学部長さんをつかまえ
て、会議に出発される前に、 

(1)協力研究員制度と何か
(2)われわれは如何に導入を切望しているかの2点をお話し下さい。 

くれぐれも熱くならずに淡々とお話しください。重要な事はこれらの言葉を理学部長
さんに覚えて頂くという事で充分です。 SPWG責任者:菅本晶夫 

(3)各大学での様々な方々の行った行動をリアルタイムで9通のSPWG号外として流
した。 

(4)総括: [sg-l 266] SPWG号外(99/5/25) 

菅本様:
大川学部長からの井上さんへの内容は以下のようです。連絡まで。柏 

柏様、多田様    井上 研三

今日、大川理学部長に10大学理学部長会議での協力研究員についての検討の結果につ
いてたずねました。 この議題については30分ほど議論がなされたとのことです。 今
回の議題提案の背景(および事前の根回し)が素粒子分野にあるため、この問題が素
粒子関係に特化した問題なのかどうか(もしそうであるとすると文部省としては対応
できないと、同席した文部省係官はいっているとのこと)、あるいは素粒子だけでな
く他の分野でもあるのではないかということで、もう少し調査しようということにな
り、この議題は継続審議ということで10月の理学部長会議でも調査をもとに審議され
ることになるだろうということでした。 

[3]5月26日開催の核理論委員会:
  
核理論からSPWGに参加するメンバーを大塚孝治と中務孝に確定した。    

[4]学振訪問計画及び実行:

(1)最初の提案:
Date: Fri, 28 May 1999 19:10:33 +0900
Subject: [sg-l 270] Read me certainly: SPWGの学振訪問計画 

最初の提案は次の1項目のお願いであった。即ち、 

「日本学術振興会PD特別研究員を2回以上採用可能にして頂きたい。」 

(2)これに関して、sg-lにおいて活発な議論がなされ、賛成、反対等様々な意見が
出された。その結果、提案の趣旨及び提出文章を2度改訂し、最終的には幾つかの項
目について学振に御相談に伺うという事で合意した。 

(3)総括:
Date: Mon, 28 Jun 1999 18:10:59 +0900
Subject: [sg-l 320] 6月24日の学振訪問報告( SPWG) 

6月24日(木)に、素粒子論グループの 後継 研究者育成問題ワーキンググループ
メンバー(出席者:菅本、大塚、夏梅、青木一、中務)は、日本学術振興会理事長・
菊池健氏 と会見し、いくつかの相談項目を議論して頂いた。2時間程の会見であっ
た。 我々が持って行った主な相談項目は

(1)PD特別研究員を二回以上採用可能にできないか。 
(2)DC:PDの比を分野によって弾力的に運用できないか。 
(3)科研費でPDを雇えるようにできないか。研究グループにPDをつけることは可能か。
(4)単独の書きおろし論文一本によって審査される種目がつくれないか。 
(5) 正規の職員以外の者でも科研費に応募できるようにならないか。 

これらについての菊池先生の御意見。

(1)他分野の理解が得られれば原理的には可能である。医学系からも同様の要求が
ある。しかし、現在1回目のPD学振の競争率が非常に高くなっている中で、 2回目 
を導入して更に競争率を上げることが本当に良いことなのかどうか。PDを30代半ば
まで伸ばすことで問題が解決するのか。 因に学振の採用期間が3年になったのは、 
実は 医学系からの要求。教官の年齢分布のムラは、 確かに この通りで、この傾向
は他分野にも当てはまることだ。新制大学発足時のポス ト増が原因で、後の世代に
も幾つかの山が出来た。このムラが無くなるには、相当時 間がかかるだろう。
(2)DC、PDの予算枠が(DCが何人PDが何人と)別 々に来て(しかも単価が異なる 
ので)、それを混ぜて配分を変えることは難しい。 もし実行するとなれば、分野の 
細分化をし、各分野毎に予算を決めて、その予算の中 でDC、PDの数を決めることが 
必要となる。現在の制度でやや多めの特別 研究員を獲 得している物理にとっては、
むしろ不利となる可能性もある。因にわれわれの数物系には工学部も含まれている。 
(3)これは一番の難問で、両刃の剣である。文部省が大蔵省に掛け合えば可能。た
だし、もしこの制度が成立したら、助手ポストを廃止する、など定員削減の口実を与
えることにもなるので慎重に考える必要あり。独立行政法人化とも関連する。又大学
の研究グループにPDを配分する場合には、それを誰が審査するのか、各グループに審
査能力があるのかどうか、といった問題も起きる。 
(4)人文系の審査などでは、実質上一本の論文審査による選考が行なわれている。
つまり現行制度でも可能であるが、物理などの場合、審査員の大幅な拡充が必要で、
現在でもアップアップの学振にそれだけの新たな仕事ができるのか疑問。財団でも作
る必要がある。
(5)現在でも、PDはおろかDCにも科研費が配られている...。ここで脱線して 、DC
の科研費を本人につけるべきかどうかの話題になってしまった。 

この他に、話題に上ったこと。

*核理論分野のPD学振の採択率がここ数年非常に低い(5ー10%)。 --> 採用決 
定の最終段階で分野間の格差を少なくするチェック機能がある。この機能 が働き過 
ぎたのか、あるいは構造的な欠陥があるのかどうか、確認する。 
*DC学振の科研費を本人につけるべきか、指導者につけるべきか。 --> 研究場所を 
移動させる確率がほとんどない大学院生の場合、(外国人特別研究員 の様に)指導 
者(あるいは当該グループ)に付けるのが適当かも。検討課題とする。ただし、外国
人特別研究員の場合、ホストと研究員の間でこの科研費の使用に関するトラブルが絶
えないらしい。
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[5]在外予定となった2名に関する後継メンバーの選出: 

SPWGは、当初素粒子論委員会のWGとして発足し、活動を実質的なものにするために、
核理論メンバー2名が核理論委員会の承認の下に加わった。 その核理論メンバーの
内、大塚は核理論委員であるが、中務は核理論委員ではないが実質的に大いに活動を
行った。秋から素粒子論のメンバーである青木一、佐藤丈が在外予定となったので、
その後継者の選出方法を素粒子論委員会で議論した結果、次の合意を得た。(先程素
粒子論委員会から流された、[sg-l 402] 素粒子論委員会、懇談会を参照の事)

「WGの活動を実質的なものにするためには、素粒子論委員以外の人をWGの正式メンバ
ーとすることできる。又SPWGからの人選を尊重する。」 

その結果、SPWGとして推薦した、杉本茂樹(基研学振研究員)と早川雅司(KEKCOE研
究員)は、SPWG正式メンバーとして素粒子論委員会によって承認された。又青木一、
佐藤丈両氏にも今後ともメンバーとして残留し、ご協力願う事になった。 

[6]秋以降のSPWG活動計画:

'99年3月の広島学会で承認されたSPWGの検討課題項目(文末の[付録]参照の事
)と、これまでの活動を基に、以下の活動を行う。 

(1)宇宙物理分野と後継研究者育成(SP)問題について共同歩調を目指す。 (水面
下で基礎医学とも意見交換をする。) 

(2)機会ある毎にSP問題について、院生、ポストドク、教官を交えて意見の交換を
し、問題の焦点を明かにする。 

(3)これまでの活動で残された宿題を地道に片付ける。 
1)育英会:(有馬ルートを水面下で探る。) 
2)協力研究員制度:10大学理学部長会議等の上からの働きかけと、各大学での導
入支援。都市圏及び地方圏でのこの制度の在り方の検討。 
3)学振への要求に関する意志統一。

(4)就職・転職支援活動。先ず、他分野及び企業に転職して成功した実例の収集か
ら始める。 

(5)PD forumの調査結果の分析。

(6)独立行政法人化問題に関する情報交換と、 そうなった場合の協力研究員制度
、大学所属のポストドク制度の検討。 

(7)最近の学生の理科離れと学力低下問題に対する検討。 

補足:
1)以上の提案及び以下のアピールは9月13日に、2名のSPWG新メンバーを加えた7名
のSPWGメンバーが東京に集結してまとめたものである。当日のSPWG会合では、PD問題
の何処に焦点を当てて対策を立てるかに、かなりの時間を使って議論した。以前のOD
問題に於ける考え方、アメリカのPD達の考え方等と、現状を比較検討した。
2) その他話題に上った事として、「素粒子奨学生に選ばれた人に学会特別講演を
依頼する。」と言う考えがあった。この制度が論文賞的色彩がある事、若手をエンカ
レッジし、更にこういったボランティア活動を長年続けて来られた中村誠太郎先生始
め関係者の努力に報いる為である。若手のエンカレッジという観点なら、「幾つかあ
る特別講演のうち一つは必ずPDに依頼する。」も考えられる。

[7]アピール

(1)10月に開催予定の10大学理学部長会議に向けて、他分野の方と意見を交換
し、PD問題が素粒子・原子核分野に特化した問題でないことをアピールしたい。先ず
は宇宙物理をターゲットとする。 

(2)公募があった場合に、PDの方はどしどし応募下さい。教官の方はどしどし推薦
書をお書き下さい。又公募に際して、推薦書より意見書にするか、あるいは意見書な
しもお考え下さい。 

(3)独立行政法人化問題に注目し、各大学は緊急に対策を取ると共に、そうなった
場合の後継研究者育成(SP)問題を熟慮下さい。 

[8]会計の中間報告及び予算の増額要求

I. 99年度会計中間報告
-------------------------------------------------- 
1 収入
--------------------------------------------------   
素粒子論グループより        100,000 円
-------------------------------------------------- 
2 支出(交通費)
--------------------------------------------------   
  第1回打ち合わせ(2/13)     6,000円
  育英会訪問(4/27)      13,000円
  第2回打ち合わせ(5/22) 10,000円
  学振訪問(6/24)         12,000円
  第3回打ち合わせ(9/13) 43,000円
( 出席者:杉本、早川、中務、夏梅、佐藤、青木(健)、菅本。但し、青木(健)の
旅費滞在費は集中講義により別途支給。) 
                   支出計       84,000円
-------------------------------------------------- 
                    残高       16,000円
-------------------------------------------------- 

II. 99年度後期活動予定
 打ち合わせ2回:1回約5万円 x 2。

III. 99年度予算追加請求

  交通費追加(概算)           80,000 円
-------------------------------------------------- 
                   計 80,000 円

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[付録]SPWGの目的及び検討課題

*目的:
われわれの分野において、後継研究者育成 (Succession Planning) に係わる諸問題 
を検討するのが、このワーキング・グループ (WG) の目的である。 後継研究者育成 
問題を考える際に、まず直面する最大の問題は、博士号をもっているが常勤職につい
ていない、多数の「ポストドク」達の存在である。 彼(女)等は、一方では後継研 
究者の豊富な供給源となっているが、他方、常勤職についていないために様々な社会
的困難に直面している。 従って先ず、この「ポストドク問題」に係わる諸問題を(W
G)として調査・検討し、この問題を少しでも緩和し得る具体策を提案し、これをsg-l
等によって素粒子論グループ(SG)会員へ積極的に広めて議論して頂く事から、われ
われの活動を始めたい。 更に、時宜を得た対外的な行動を取れるように努力する。 
  一方平成10年秋の日本物理学会において、PDフォーラム結成が素粒子論グルー
プ総 会において承認され、既に活動を開始している。われわれはこの若手サイドの
活動と 協調しながら、若手サイドと教官サイドとの接点に立って、お互いの円滑な
意志疎通 を図る事によって、ポストドク問題の緩和に努力すると共に、如何にして
後継研究者 を育成していったらよいのかを、短期的及び長期的な視野に立って検討
する。 

*検討課題:
(1)ポストドク問題の緊急性と深刻さの理解を広める事。 
(2)研究員制度の在り方。
  1)今年度所属を失うポストドクの緊急避難対策としての研究場所の確保。  
           2)ポストドクの大学及び研究機関における正式な所属の認知。  
    
3)学振及びCOE等、研究員制度の整備・拡充。奨学金の返済猶予期限の延長
及び     免除制度の改善。 
(3)公募・就職情報の収集及び就職支援。    
1)国内外の関連分野からの公募並びに企業からの求人情報の収集。    
2)ポス トドクが企業に就職し成功した実例と心構えの収集。    
3)ポストを増やす可能性の検討。
(4)PDフォーラムによるポストドク問題に関する調査結果の評価・分析と、10年
後 のポストドク及び素粒子論研究の実態に関するシミュレーション。
(5)大学のスタッフ構成の中でのポストドク研究員制度の在り方。 (6)その他 
、短期的・長期的視野に立った後継研究者育成に係わる諸問題。 

これらの課題項目に対して、WGとして随時積極的な提案をすると共に、活動報告をsg
-l に流して理解を深める。これらをまとめて2年後を目処に「後継研究者育成問題 
検討WG報告書(その1):ポストドク問題」をまとめる予定。 又、時宜を得た対外
的活動を取れるように、後継研究者育成問題検討WGとして努力する。 

WGメンバーは日常的には電子メールで意見交換をするが、年に数回集まって、諸課題
について議論をすると共に意見を集約する。 


1999 Mar.10
krmt@sci.toyama-u.ac.jp