研究3:Λ(1405)粒子の構造の研究

twopole 一般に、共鳴状態が力学的に生成されると、複素エネルギー平面に解析接続した散乱振幅が、共鳴に対応する極を持つ。カイラルユニタリー法では散乱振幅の解析的な形が得られるので、生成される極の位置や留数が数値的に計算でき、共鳴状態の質量、幅、チャンネルとの結合の強さなどの情報を引きだすことができる。最近Λ(1405)粒子のエネルギー付近に二つの極があらわれることが報告されており、今まで単一の粒子として考えられていたΛ(1405)共鳴が、エネルギーの近い二つの粒子の共鳴の複合ではないかと議論されている。本研究ではこの構造を実験で調べる方法を調べる。実験で得られる情報は実軸上のものに限られるが、チャンネルによって二つの極の留数が異なることから、いくつかの過程を計算し、比較することで極の構造が調べられると期待される。

具体的な極の位置と強く結合するチャンネルは、

である。

カイラルユニタリー法を用いたΛ(1405)粒子の研究は、これまでに K-p -> γπΣ、およびγp -> K-πΣという過程が計算されている。本研究ではπ-p -> K0πΣ過程をカイラルユニタリー法を用いて計算する。そこでわかったことは以下の通りである。

参考文献:論文[4]、紀要[8][9][14]、発表[7][9][10]

また、γp -> K*Λ(1405) -> KππΣという過程を計算した。ここでは初期状態で結合するチャンネルがKbar Nに限られることから、高い方の極が質量分布に強く影響すると期待される。 実際に不変質量分布を計算してわかったことは以下の通りである。 Mdist

参考文献:論文[7]、紀要[11]、発表[12][13][14][16][18][19][21][24][26]


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