計画班: A3

超弦理論による素粒子の統一理論と時空構造

研究代表者二宮 正夫京都大学基礎物理学研究所・教授
益川 敏英京都産業大学・教授
川合 光京都大学大学院・教授
畑 浩之京都大学大学院・教授
國友 浩京都大学基礎物理学研究所・助教授
大野木 哲也京都大学基礎物理学研究所・助教授
笹倉 直樹京都大学基礎物理学研究所・助教授
福間 将文京都大学大学院・助教授
糸山 浩司大阪市立大学大学院・教授(H17--18年度)
米山 博志佐賀大学・教授(H17--18年度)
原田 恒司九州大学大学院・助教授(H15--18年度)

重要な成果

二宮は川合・福間と共に超弦理論を応用してビッグバン前後の超初期の宇宙構造の研究を行ない、プレビッグバン理論を提唱した。 また、Holger B. Nielsen 氏と共に場の理論の長年の難問であったボソンに対する Hole Theory の構成を行なった。 川合は超弦理論を構成的に定義した。 原理的に物理量を数値計算により求まるようにし、重力まで含めた究極の統一理論を構築するよう行列模型を構成して、非摂動的に研究を進めた。 大野木哲也を含む研究チームは、格子QCDによって、自発的カイラル対称性の破れの現象を世界で初めて厳密に実証した。 即ち、クォークの質量がゼロに近いときに、シミュレーションの結果をカイラル対称性の破れから予言されるエネルギー準位と比較することで、量子色力学が自発的カイラル対称性の破れを引き起こすことを示した。 これは、物質の質量生成の起源に対する理解にゆるぎない基礎をあたえる研究成果であり、量子色力学にもとづくハドロン(陽子・中性子・パイ中間子等)や原子核の性質の解明に道を拓くものである。

年度毎の進展と成果

平成13年度

川合らは提唱している超弦理論の構成的定義のIIB行列理論を超対称性を取り入れた超対称行列模型へと進化させた。 θ項を含む場の理論としてのCP$^N-1$ 模型の連続極限の性質を、固定点作用を用いた数値シミュレーションの方法で調べ、スケーリングが成り立つことを検証した。

平成14年度

川合らはIIB行列理論から平均場近似を用いて、4次元時空を導出する事に成功した。 2次元重力におけるホログラフィー原理の定式化はこれまで謎であったが、ワイル・アノマリーを正しく考慮することによりホログラフィー原理が非自明に成立することを示し、高次元で期待されるようなエントロピーの上限が2次元にも存在することを確かめた。

平成15年度

二宮・川合・福間は超弦理論の基本的事項だけを用いて、超初期の宇宙論に応用し、ビッグバン・ビッグクランチを30〜50回くり返すことによって現在の宇宙に達するという、インフラトンを必要としない初期宇宙モデルとして「サイクリックユニバースモデル」を構成した。 時空間の不確定性より導かれるエントロピー公式が弦理論の双対性に対し不変であることを示した。

平成16年度

二宮は H.B.Nielsen と共同で場の量子論の長年の難問「ボソンに対し如何にホール理論を構成するか」について、ボソンの Dirac Sea を具体的に構成し、解決の突破口を作るのに成功した。 川合らは自らの超弦の行列理論を応用して、格子場の理論においてカイラル対称なフェルミオン場の理論が Nielsen-二宮 のNo-Go 定理を Fuzzy Shpere を用いることにより避けることが出来ることを示した。 VSFT において、摂動論的不安定真空が安定真空に崩壊して行く過程を表す古典解を厳密に構成し、その様々な性質を解析的および数値的に研究した。 新しく発見された $\Theta^+$ 共鳴の性質を、Skyrme 模型に「有効理論」的な考えを導入して解析し、崩壊確率の計算には大きな不定性があることを指摘、実験的に得られている非常に狭い崩壊幅を得ることが困難であることを示した。

平成17年度

二宮は H.B.Nielsen と共同で、宇宙論の法則と熱力学の第2法則を統一するモデルを提唱し、宇宙項問題とインフレーション問題を解決する手がかりを与えた。 川合らは超弦理論の行列理論から曲がった時空を導出する方法を提案した。 現在の格子QCDの近似にともなう系統誤差を格段に減少させるため、軽いクォークの新しい定式化、重いクォークの新しい定式化の研究を行った。 拡大超対称性の部分的自発的破れをおこす$U(N)$ ゲージ模型の質量スペクトル等を調べた。

平成18年度

二宮は H.B.Nielsen と共同で、初期宇宙論の研究に必須の熱力学の第2法則の研究から、その背後にある基本法則のモデルを構成した。 川合らは、タイプIIB行列理論から4次元時空を導出した。また、その安定性を解析的・数値的に研究した。 CSW 則を拡張して、$N=1$ 超対称 QCD における任意の MHV 振幅を計算した。

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