佐々木 節


これまでの研究経過

弦理論はこの宇宙が本当は高次元時空であることを予言する。そこで、佐々木は高次元時空理論に立脚した宇宙論・相対論を展開し、その実験的・観測的検証可能性を追求してきた。その成果のひとつは、 LHCにおいて生成が期待される高次元ブラックホールの性質や生成率と余剰次元数との関係をより定性的に明らかにしたことである。もうひとつは、高次元理論の低エネルギー極限としての有効4次元重力理論に関する成果である。 有効4次元理論は一般に曲率の高次の項を含むことが予想されるが、そうした高次の曲率項を持つ一般的理論のハミルトン形式を定式化し、それらの力学的自由度に基づくクラス分けを行った。 また、有効4次元理論には多数のスカラー場が同時に現れ、それらが宇宙初期のインフレーション宇宙で重要な役割を果たすと予想される。そこで、そうした多成分スカラー場理論に、 近い将来PLANCK衛星で観測可能なレベルの非ガウス的揺らぎや重力波揺らぎを生成するモデルが存在することを示し、それらが観測されれば、高次元時空理論への重要な糸口となることを明らかにした。



代表的な成果発表
<雑誌論文>
  1. N. Deruelle, M. Sasaki, Y. Sendouda, D. Yamauchi,
    “Hamiltonian formulation of f(Riemann) theories of gravity”. PTP, 123: 169-185 (2010).
  2. A. Flachi, M. Sasaki, T. Tanaka,
    “Spin polarization effects in micro black hole evaporation”. JHEP, 0905: 031 (2009).
  3. H. Kihara, M. Nitta, M. Sasaki, C-M. Yoo, I. Zaballa,
    “Dynamical Compactification and Inflation in Einstein-Yang-Mills Theory with Higher Derivative Coupling”. Physical Review D, 80: 066004 (2009).
  4. M. Sasaki,
    “Multi-brid inflation and non-Gaussianity”. PTP, 120: 159-174 (2008).
  5. C. T. Byrnes, K. Koyama, M. Sasaki, D Wands,
    “Diagrammatic approach to non-Gaussianity from inflation”. JCAP, 0711: 027 (2007).
<学会発表>
  1. M. Sasaki,
    “Delta N formalism and nonlinear curvature perturbations from inflation”. L.D.Landau Memorial Conference "Advances in Theoretical Physics", Chernogolovka, Russia, June 22 (2008).
  2. M. Sasaki,
    “Nonlinear curvature perturbations in two-field hybrid inflation.” CIFAR08 on Cosmology and Gravity, Stanford, USA, March 9 (2008).
  3. M. Sasaki,
    “Delta N formalism for curvature perturbations”. Frontiers of Modern Cosmology, Waterloo, Canada, November 10 (2007).