★ 6月
5月も終わり。4年のセミナーは今日で僕の分は終了。残りの前期は冨田さんが見る。 文系向きにビデオを見せたらビデオを貸して欲しいと言われたので貸す。力学は 次回からケプラー問題。
空間的に一様な場合はGaussian thermostatの定常状態とHomogeneous coolingの等価 性はMaxwell modelに限らず一般的に成り立つ。
7/18の部屋を予約。
いろいろ考えたが徒労に終わった。
佐野君のセミナーは6回座標変換するところで落ちこぼれた。
阪口さん来訪。神戸大の助手のときにオーストラリアで在外研究をしている途中で 神戸の職を捨ててオーストラリアに6年程いた後、リストラを嫌って 帰国してきた。オーストラリア では研究者の給料が安く暮らして行くには共稼ぎが必要とか、研究の審査がかなり いい加減かつ危険(阪口さんのグループのPDF連中がある違う研究所のボスを最低 クラスと評価したら全豪で最低ランクになって問題になった)とか楽しい話が一杯 聞けた。彼の来訪の目的は土井プロのやったOpen sourceの精神でのプログラム開発を DEMでもやろうというプロジェクトを立ち上げるための賛同者を募るためのものである。 勿論教科書レベルの記述の整備や問題点、高速化のためのハードコアの導入を含めて 議論するのであろう。8/30に東京で会議があるらしい。 彼の職場では面白そうな話が一杯ある。
会議は思ったより早く終わった。しかし宿題付。早く終わったために別の会議に出て また教務委員としてカリキュラムの改編にも携わらないといけなくなった。今年は 辛いな。
東京へ日帰り出張。昼飯前に会場に到着。講演はレスポンスがあまりなく、不調。 森川さんの講演は前半(conventional approachのレビュー)はよかったが後半 (Tsallisや安定分布の応用)はつまらなかった。時間がなく伝わっていないせいもあるが パラメーター理論では肝心な箇所に何も答えられない。(そもそもべき分布の観測 データに合わせるTsallisパラメーターを一つ持って来るというのは何も言っていない に等しい)。
追記:阪上さんのTsallis統計の応用はセミナーでも聞いたがずっとしっかりしたもの という印象を持っている。
子守。「宋家の三姉妹」を見る。特に蒋介石の俳優が本物によく似ていた。
月曜の講演の準備。そこに挿入するMaxwell modelの話は業界の中でも相当混乱がある 様だ。そもそもtailに普遍性がないという主張もあるし、すぐ密度不安定があるから 一様状態で特解を求めても意味がないという話もある。よく分からない。少なくとも 昨日の日記に書いたような単純な状況ではなく、さっと書き上げればいいというもの でもなさそうだ。
講義の合間に手にしたJSPでBoblyevの最近の論文を発見(と言っても投稿はかなり 昔)。一見して同じことをやっているのに驚き、結果が違っているのに焦る。読んで みると拡散の強い極限しか議論をしていないので一安心。心配になって検索すると Boltzmann方程式の第1人者と見なされるCercignaniも手を出している。こちらも Maxwell分布からのSonine展開という方法論と拡散極限に拘りちょっと外れている。 またErnst groupの今まで把握していなかった論文も発見。こちらは衝突項を簡単 化しない解析で僕の考えている状況では通常観測される指数関数のテールがない (だからべきだろう)という事を議論している。実は僕の方法論はErnstの方法の援用 なのでもうやられてしまっているかもしれないがまだサーバーとかでは発見できない。 Italy groupや Ben-Naim and Krapivskyのコンビも最近(といってもここ2月)は論文を出していない 様だ。実に心臓によくない日だった。知らんふりをして速攻で論文を書かないと 書く機会を逸する。ともかくmicropolar fluidは棚上げ。
昨晩の計算では多分H定理はなく、Tsallis統計とは関係がなさそう。それほど確証 がある訳ではないが。
こういう日は朝から夕方まで講義。その後、会議。会議が早く終わった。
昔神戸大にいてオーストラリア出張に出た後、向こうに居着いてしまった阪口さん からメールを貰う。火曜に会えそうだ。
京都市民管弦楽団 の定期演奏会のチケットが余っています。6/2(Sun) 14:00開場、14:30開演で曲目は ブラームスの「ハイドンの主題による変奏曲」、ラフマニノフ「パガニーニの主題に よる狂詩曲」、リムスキー=コルサコフの「シェヘラザード」です。ご希望の方は 早川までお知らせ下さい。チケットを差し上げます。
授業は粛々とこなす。銀行振り込みなど事務手続き。 Tsallisはまだ決着がつかず。有限温度の 場合のべきの指数を求めてみる。
ずりは難しいので流体中での非弾性粒子系を考える。前日の勘違いが分かり、一挙に 問題が解決。Maxwell modelで定常状態も作れて、たとえ流体から受けるノイズがあって もべき分布は崩れないことがはっきりした。Tsallis統計とは多分関係がないと思う がこれから確認する必要がある(普通の非弾性Boltzmann方程式ではTsallis entropyに 関するH定理は成立しない)。月曜にはTsallisに凝っている人が参加するので 話に挿入しよう。
水谷さんのセミナー。多くの現象で従来考えられていたのとは異なり 時間スケールが分離しないのはある意味当然としてその後が聴きたかった。
簡単ではないのは例えばshearであれば定常状態は問題なく作れるし、simple shear であれば空間依存性も気にしなくていいが、等方性が破れるのでMaxwell modelでは 駄目である点である。一方定常外力であれば加速する(波が発生する)ので定常化せず 流体からdragを受ける形にすると粒子数の保存が破れるように見える。 人工的なLangevin的なノイズ で叩くとその統計的性質に支配されるので非弾性系の定常状態の特異性が 見えないだろう。 やはりshearを考えるべきだが単純ではないということだ。弾性極限からの展開だと簡単 なんだけどね。
金君との論文のコメントが返ってくる。大体予想通りの反応かな。読みにくい論文を 書かざるを得なかったのは長い歴史に+αを加えたため。無論SSTに関連した所は refereesに無視された。
とりあえず定常状態は作れそうである。基礎文献もコピーして読む。しかし初めの 方で計算ミスがあった。ここが違うとやはり簡単ではないということになる。
金田さん (名大)から電話がかかってくる。理論応用力学講演会のセッションの オーガナイザーをやってくれという要請。流体力学の時はうまく逃げられたが 今回はそうもいきそうもない。とりあえず那須野さんにSOSを出したらco-organizerに 乗ってくれたのでやりますか。講演してやろうという方はお知らせ下さい (1/28-30 at Tokyo)。去年のページ。 因みに旅費は出ません。講演時間は学会と一緒。
Maxwell modelを考えてみる。できそうなのだが。
連続体の本の構成を考えていたが結局進まず。
ハリーポッターのビデオを視る。原作に割と忠実で映像も素晴らしく感心した。 (もっとも何回となく本を読み込んでいる長男に言わせると全然駄目だそうだ)。
授業日。4年はだいぶしっかりしてきた印象がある。OCTAをinstallして少し遊んで みる。
熱心な生徒がいる流体(連続体)はともかく統計力学は不調。ラメの弾性定数λは 負になり得るのか。訂正せねば。それにしてもポアソン比の導入で絶対値で書いたら そもそも正だからおかしい。
拡散反射壁のプログラムを作ってみるが見るからに変な反射なので数値不安定を 引き起こす。
セミナーは眠くなった。
土井さんからOCTAの分厚いマニュアルとCD-ROMが送られて来る。とりあえず インストールしてどれくらい使えるかどうかを試してみよう。4年がきっと 興味を持つだろう。M1はどうかな。
5/28に会議が入ったので学習院行きはあえなくキャンセル。
Lougeからメール。 7/18,19あたりに京都に来るとのこと。
牧野さんへの返答。
DEMはあまり早いコードではありません。惑星リング形成のシミュレーション などには適さない可能性があります。大抵の場合角運動量があってshearがかか っているのでhomogeneous cooling等のケースに比べてcollapseが起きる可能性 は低いように思います。 しかしそれでも何かのはずみでcollapseしてしまうことはある でしょう。その場合非弾性衝突のはねかえり係数に衝突速度依存性を導入すると collapseが起こりにくくなることが知られています。これは何もartifactでは なく実際に速度依存性はあります。Hertzian contact theoryを信じるとはねかえり 係数は速度の1/5乗に比例すると言われています。またTexas大学のグループは 速度依存性を導入してcollapseを回避しつつそこそこ早いevent drivenコードで 計算しています。というメールを送ったらやはり自己重力不安定もあっていろいろ構造ができたり して局所的には密度が上がることもあるとのこと。それはそれで面白い。ともかく メールを送った真意は実は集中講義の依頼であった。実際の粉体系では重力があって一部固まっているような状況もあるのでEvent driven codeでは如何ともしがたい状況が多々ありますが、astrophysicsへの応用 のように比較的低密度が保たれている場合にはEvent driven MDに速度依存性を 入れたものがいいと思います。
あるいはcollapseの起こりそうもない状況ではEnskog 方程式を数値的に直接解く というのもいいかもしれません。積分はかなり粗く見積もってもいいようです。 体積分率が20%位ではDEMよりはかなり早いのですがEvent driven型の MDより早いかどうかは知りません。
ところで宇宙屋で非弾性衝突を問題にしている人はどの位日本にいるのだろう。 昔井田さんがちょっと田口さんと何かをしようとしていたが、その後没交渉に なった。結構人口はあると思う。
どうもシミュレーションが極性流体とマッチしそうにもないので拡散境界条件を 導入しようかと画策。
明日、明後日と身内の不幸で東京に行かないといけない。
昨晩にNoriにどうなっていると連絡したら電話しろということなので長電話。結局 またも延長。
授業は思い付きでシナリオを変更したらつまる。来週訂正がいる。力学はオイラー の定理とか、文系物理はドップラー効果とマイケルソンの実験。
セミナーは遅々として進まないが学生の理解が深まったのを実感した。やはり遅くても ゆっくり本を読まないと駄目かな。
会議の集まりが早くて驚いた。皆自分の将来には関心がある。
学部講義は人数が減りすぎて気合いが入らないな。出発点が四捨五入で0だから仕方 がない。
物性研究の編集会議では修論が応募多数で採用基準が厳しくなった。時間延長。
奥村さんのトポロジカルゲルの話。昨日の小嶋さんとは対照的であるが魅力的な話。 実用的な価値が高い物質を合成したというのは強い。応用は無数にありそうだ。
エネルギーの初期値を大体収束するであろう値近傍から出発するとかなりいい収束 を見せる。ということは初期値によって違うbasinに引き込まれるのか。こんな状況 で定常状態を取り出してもどれだけ意味があるのか分からない。
小嶋さん のセミナー。ちょっと頼りない聴衆だったが5時過ぎ迄講演をして頂いた。 ちょっと学生にはしんどかった様だが 小嶋さんが単に数学が出来るというだけでなく、非常に抽象概念にイメージを 明確に持っておられることや、指向すべきもの(自然感)がはっきりと窺える 味わい深いセミナーだった。
それやこれやであまり集中できていないが講義、会議がないラッキーな日なので 数値計算で定常化するかどうかいろいろ調べてみるがきれいに定常化してくれない。 どうもずりで非弾性がかなり小さくても流れ方向に非一様化する様だ。もうそっち をベースに解析したい気分である。
3日はJT生命科学誌館に行った。入場無料だけの内容だったかな。その後、義妹一家 と講演に行ったり、お宅におじゃましたり。
4日から妻、長男、次男の順で風邪で寝込む。長男はかなり高熱になった。6日の 午前は次男と植物園に行ったが、晩に熱を出していた。
家での休日は2D Enskogの計算のチェックと読書。本は例によって5冊程借りて来て さっさと読む。その中でベルリンフィルの元副コンサートマスターであり、ユダヤ人 として数奇な運命をたどらざるを得なかったシュテルンの 「ベルリンへの長い旅」という本が印象的。
連続体力学の講義:弾性論で基礎方程式の導出で4階テンソルから2つの独立な 弾性定数に落す話はどうもうまくない。計算は面倒だから講義ノートに書いていない のでだましたみたいだし物理的には2つしか自由度がないのは自明な気もするし。 ちょっと考える必要がある。統計力学は量子理想気体。
M1はようやくHertzの弾性論をほぼクリアした。まだ積み残しはあるが。次はMindlin か。或はシミュレーションか。
金君はようやく弾性系の2次元Enskog方程式をクリア。週末に確認して非弾性を 入れてみよう。3体以上はどうすべきかはまだ分からないが 対数発散であればくりこみが有効かもしれない。
地球惑星合同学会のプログラムが分かる。
バグを一つ潰す。エネルギー減衰はほぼ一定の割合で起きるがエネルギー の供給は微妙という印象がある。
松本さんの セミナーはよく準備された秀逸なものであった。先週と似た題材で タイミング的にも良かった。measure 0でも一様・等方乱流 が存在するというのは乱流研究にとってラッキーなのかもしれない。 普通は壁やエネルギーソースの影響で異方的になるのが本質と考えると 思う。
連続体の 講義ノートのバージョンアップ。マイナーチェンジのみ。
★ 4月