★ 3月
武末さんも解いてしまった。全く別の解き方で考え方も違う。どちらにせよ 問題はほぼ終り。光藤君も卒論の後で気を抜くから...。まあ論文のけつに名前が 載る位で我慢して貰うしかないのかな。
今日はさすがにしんどい。無駄話をしている暇はなかった。
時節柄、全学の会議に拘束される機会が多いが、天体核の犬塚さんが突如 「Extended Thermodynamicsはどう思うか」と聞いてきた。金君との経験から 「Burnett orderまで行ったらあんなの駄目なのは明白。」と答えて小貫さんも 「時間相関の効果が入っていないformulationでうまくいく筈がない」と答えたら 意外なことに犬塚さんは擁護派のようだ。Entropyを導入しないGrad展開を考える と相対論と相性がいいとのこと。Radiationとかが問題になる天体プロセスでは そういった数学的構造の利点が重要になる。一方、我々は定常外場しか考えて いないので非定常問題で指摘されるChapman-Enskog法の難点に無頓着に過ぎたかも しれない。Grad展開を完全に理解する必要はありそう。
Granular gasの実験について昔の 知合いからメールの返事が来る。 Microgravityでの実験は ここ参照。彼の意見では容器にくっついてしまう からGranular gasの実験は難しいとのこと。当り前すぎて面白くない。他に ここも教えて貰う。
武末さんの問題を考える。厳密に解けそうな気がするが、ここからが難しいのだろう な。と思ってごそごそ計算すると解けてしまったような。確かにf^{-3/2}だ。
亀問題は棚上げ。
亀ののろいにかかったようである。すっきりしないことばかりで嫌になる。
武末さんがASEPのシミュレーションをやって指数が4/3ではなくて3/2であることを 示す。うーん。その方が説明は楽。しかしキンク1個がランダムウォークしても 駄目なので多少工夫がいるかもしれない。それにしても光藤君が卒論で一服して いるうちに泡のように論文が消えてしまったか。
Granular gasの実験は海外にあるのではないかとの指摘。それで悪文のメールの 問い合わせメールを送る。何か返事が帰って来るかな。
思った以上に原稿は進まない。一つづつチェックしていくからでもあるが量も 結構馬鹿にならない。今度はもっと簡潔な論文を書こう。
松山さんから 実験のデザインについての問い合わせ。結構難しいとのこと。簡単のようで簡単で ないのは世の常。
午前は本の校正をチェック。週末から通して3回チェックした。これでもう手を 加えることもないかな。
午後は久しぶりに論文の原稿に手を入れる。しかし進まない。土曜にちょっと手を 入れたとは言え、体調を崩したり、出張が続いたりで準備に時間が取られたことも 含めて間が空きすぎた。今週も自由 になる時間は少ないのであまり多くの成果は望めない。
礒部君から運動論とExtended thermodynamicsの関係を論じた修士論文を紹介して 貰う。130ページにも及ぶ労作で物性研究に是非と思ったが2年前に卒業してしまった ようだ。議論する機会が失われたことも残念である。
午前は長男の通っている塾の入試分析会なるものに出る。長男は来年小学6年生だが、 文部科学省が教育を破壊したお蔭で塾に通わせる羽目になっている。塾の言って いることはまあまともであるが、促成栽培という点ではちと気になる。
父親は私がテスト前に試験勉強をすると怒るようなアンチ受験派だったが、本人は 新居浜から東京の武蔵中学に入学しているので小学生の時に受験勉強を しているのである。(受験の日は226事件だった、とか当時新居浜に中学がなくて 最寄りが西条中だったとかというのは時代を感じさせる。同じ小学校(住友系の私立) で東京受験組 は何人かいて学校で補習をしていたらしい。)。
ラグビーでNECが勝つとは思わなかった。番狂わせの少ないスポーツでは珍しい。
家で論文を久しぶりに書くが進まず。
結局よく分からない会合だった。DEMのプロジェクトはRIST内部で先送りされて RISTの外部評価の片棒をかつがされたのかもしれない。会議を聞きながらのメモ を編集せずにアップ。金田さんの発言は重みがあるのと池上さんの議論がシャープ であるという印象があったがやはりこの手のお祭りはあまり意味のあるものになる とは思えない。簡単な会食があって京都に戻る。
議事録は公表してまずいものはないと思うが発言者は正しいかどうかは保証はない。
堀さんの「DEM=FEMβ」というのは気になる。今度聞く機会が欲しい。
1:インターパラダイム 金田:独法化で大学の共同利用が阻害される。 堀:FEMの特許料が馬鹿にならない。 金田:ユーザーインタフェース:経験が物を言う。ー>吟味が厳しい。 面白いと思ったときにサポートできるかが大事。 阪口:インターパラダイムが大事。 西野:統一的な枠組が必要。 池上:インターパラダイムよりパラダイムの独自性が大事。統一はできない。 西野:相互コミュニケーションができればいい。 堀:地震では新聞がインターパラダイム。 白山:ドメインとパラダイムは違う。何のためにやるのか。 阿部:Landauは小さなパラメータが大事とした。中間領域は難しいが計算機は そこが得意。 岩田:解けないものに計算機科学が役に立つ。 池上:分野をつなぐというのはあまりにも普通の考え方。計算機に乗らないものを 考える要。コンピューターサイエンスの弊害はある。考えていない。 西野:コンピューターサイエンスとは違う。計算原理を探る。翻訳可能性。 金田:ユーザーが悪い。 白山:時代背景。10年前の最先端がディスクトップ。 **:インターパラダイムにニーズがあるのか? 阿部:small world networkがBoson? Ground stateを探す。?? 2:計算機科学の役割、実現法 金田:役に立つことを強調する必要があるか?日本は有用性を追求しすぎる。面白いと思わせる 必要。 阪口:基礎的なことを忘れている。日本の行政に問題がある。 岩田:地球シミュレーターのテレビを見せたら学生は感化された。戦略化が大事? 戎崎:計算機に心は生まれるか?全脳モデルは100兆円。デシブレイン (鼠レベル)は可能かも。 実証主義的に心と創造性の問題を研究。 池上:ゾウリムシは創造できるかどうか?Kog projectでは育っている。 創造性の判断基準は? 阿部:コンピュータ内で他者をどう認識するか? 戎崎:数の問題に対する脳科学者のエクスキューズを排除できるかも。 森田:脳のモデル。Beyond AI (データベース型).素子は万程度。 シナプスは数百万。2重非線形ダイナミックス。 中野:時系列記憶。モジュール指向。自己組織化(ヒドラの再生)。共進化。 3: 戦略性 白山:研究者は(予算獲得のために)どのようにアピールするか。 吉野:総合ライブラリがあると便利。家内制手工業的研究の保証。 阪口2:サイエンスライターの養成や子供の啓蒙が重要。 堀:天文学は成功している。そろばんがうまくなったのは? 金田:興味を持たせたり、ソフト開発の評価が必要。そろばんは実利があった。 堀:英才教育が重要。テスト的にやってみると面白い。 金田:東大では10人位は教養で並列プログラムを書ける。 出来合のものは害がある。オープンソースは弊害がある。 促成栽培はよくない。評価する人の力量が重要。 阪口:DEMの物性研究の解説。 金田:センスを磨く必要。プログラミングのデバッグをデザインする。 西野:家内制工業の大事さ。肌感覚がわかる。 金田:地球シミュレーターに関心が高い。そういう人にサービスをするのもいい。
事務手続きのために京都に帰ってきたようなものだ。まず学生の旅費を出すためには 教官が随行しないといけないと言われる。また追加の校費旅費が降って来たので急拠 行かない予定だった物理学会に1泊2日で行くことにした。飛行機と宿は抑える。
またちょっと余っていた委任経理金を年度内で使い切る必要があったため、 鵜川さんをセミナーに呼ぶことにした。いいタイミングかもしれない。
11時半から小貫さん、山本さん、武末さんと会議。4月からのセミナーを合同でやって みようということになった。
物性研究の編集会議の後、YKISに乗るかどうかという議論。迷ったが乗ることにした。 非平衡でどういう会議が可能か考えるいい機会かもしれない。
明日の発表の準備。といっても何をどうしたらいいのか分からないのでコンピューター ごと持って行くことにしよう。
農工大へ。実は笹本さんを訪ねようと計画していたのだが彼が海外出張中だったので 農工大は次善の行き先だった。しかし結果としては非常に良かった。
まず鵜川さん、佐野さん に実験を見せて貰った後、D論の結果を議論。11月の日記でも触れたが 彼女は粉体の本質を明らかにする素晴らしい実験結果を出している。私の中の評価 では那須野さんが関わった2つの実験よりも更に素晴らしいものだと思う程である。 無論、昔ぼんやりそうではないかと考えていたことを明確に文句の出ない形で実験 をしてみせたという点に私的な思い入れがあるのは否定できないが、実験結果がその まま理論として整備されてそのまま教科書にも書けるように整理されている点が非常に 素晴らしいのである。岩波の本には時間切れで彼女の実験に触れることはできなかった が、そういう本に取り上げられるべき内容となっている。佐野さんの指導の賜でも あると思う。またあまりにもきれいで発展性がないと思うのは素人の浅ましさで彼女 の実験によって粉体振動層で観測された多くの事実を理論化できる道筋が開けただけ でなく斥力系の弾性率や表面張力という一見矛盾した概念をどう考えるべきかという 道も開いている。
午後の談話会は昨日とはうって変わって、非常に受けが良かった。この分野に馴染みの ない人が目をきらきらして質問をしてくれるとこちらまで嬉しくなる。昨日は皆 ハードスケジュールで疲れていた上に英語だったからよくなかったということに しておこう。
その高木隆司さんの研究室を訪ね、昨日聞いたレーザーによる3次元物体の可視化の 他、いろいろ興味深い研究やおもちゃを見せて頂く。
会議のプログラムはどんどん短縮されて6時までの予定が2時半には終わってしまった。私の発表 は英語が出てこなくて(北原さんは一番前で眠っているし)あまりよいものではなかったかも。 何人かが熱心に質問をしてくれたのが救い。
会議が早く終わったので、どうしようかと思っていたところ、 会議に参加されていた好村さんに誘われたので研究室におじゃまする。 都立大は会場から本当に近い。 そこで世間話の他、御手洗さん の臨時セミナーと、好村さんグループの研究を紹介して頂く。
夕食は御手洗さんと創価大の松山さんと一緒に取る。松山さんは話上手なので楽しく食事を頂けた。 また例の実験をして貰えそうだ。こちらも流体入りのコードを作る必要が生じたかな。
午前いっぱい会議。昼飯は京都駅で取り、八王子に向かう。
宇宙フォーラムの会合の参加者は前回に比べ少な目。夕食後、9時半までプログラムがあり、 その後、懇親会。またも実験を勧められる。
体調は今一。新しく本屋に並んでいたリンドラーの 「ボルツマンの世界」を読む。躁鬱病の彼をえぐりだした点はなかなか 面白いが、背後に感じられる著者による思弁によるメタフィジックスの正当化はちょっと気に なる。
シミュレーションの続き。昨日のバグは取れて動いたがやはり中心部に粒子が集まる。 一方向加振だとそれなりに見えるがちゃんと見れば縦に整列して速度も縦成分しか ないだろう。
ほぼ回復。
農工大でも喋ることになったので2回分の講演のスライドを用意する。
18日の宿は八王子に取る。
17,18日の研究会用にちょっとシミュレーションをするが思ったよりエネルギーを 与えるのに時間がかかるようだ。
昨晩家に帰ると案の定高熱でぶったおれた。気持が悪く動けなかった。 今日は休みたかったが院入試関連業務があって昼前から学校に来る。 朝は熱が下がっていたがまだ駄目のようだ。
風邪の初期症状かもしれない。だるくて熱っぽい。胸やけもして お腹の調子もよくない。 来週はややこしいのにここで体調を崩したくない。
卒研の配属の発表を見に来たのは2名だけ。関心がないのか。
少しずつ進む。
在宅で論文書き。計算しつつ書いているので進度は遅い。とは言え構成はそのまま だしゴールは見えているので気楽な作業である。
卒業研究の発表会。光藤君は先週と同様に質疑応答の受けがもう一つ。大体 メカニズムは分かってきた。何せ相関関数はまるで緩和していないから、 シミュレーションで見ている時間領域は多分短時間にすぎないのであろう。 問題はどうやって数学的にクリアに示すか、に尽きる。その後、懇親会に出席。
21日はDEMプロジェクトのための実務会議かと思ったら全然違うではないですか。 会議の出席メンバーは阿部純義,金田康正,白山 晋, 西野哲郎, 戎崎俊一, 池上高志, 堀 宗郎, 吉野 隆他だそうだ。全然DEMとは関係ない。数値計算と 関係ない人もいる。
在宅であれこれ計算。Fokker-Planck項をまともに取り扱うことに成功。またハード コアの計算も存在しないのでついでに行う。計算のおおまかな所は終了。改訂に向け て長い道のりだったがようやく目処がついた。coolingするだけのガスより実験的にも ずっとrelevantな系なので元の論文より遥かによくなった。
昨日の路線ではどうもうまくいかなかったが、Fokker-Planck項をまともに取り扱う のが一番楽でかつ意味があることに気がつく。
ASEP: どうやらcurrent fluctuationとは本質的に別で、やはり拡散係数がどっちつかずで 小さくなっている点で当初の考えでよさそう。ちょっと自分自身の理解に混乱がある。
改訂は相変わらず苦しいが、昔のアイデアを援用すると活路が開けるかも。
それが終ったらやりたい重要な問題について考えを巡らす。出来そうな気がするが どうすれば手堅く進めることが出来るか。
昼食会では金君が笑いをとってくれた。おかげで数値計算の労力を省くアイデアを思い つき、展望が開けたと思う。
河原田君とM論のテーマについて議論。是非やらないといけない重要なテーマの一つ を頑張ることになった。
苦しいな。死にかけの患者に無理に延命措置をしているような感じがする。
ASEPと粉体の実験のスペクトルの一致は偶然のような気もする。noised Burgers=KPZ の文献を調べてみる。
ちょっと気分を変えて非弾性衝突を考えるがいいアイデアはない。
光藤君の卒論発表の練習会。意外とぼけをかましてくれた。ASEPは1レーンでも ノイズが入るのが面白い。時間相関が解けると尚よい。
採点は終了。やっぱり金曜の方が火曜より有意に成績がいい。困ったな。
金君との化学反応の論文は早くもresponseがあってちょっと修正すればacceptされる 見込み。しかしぼんくらレフェリーのおかげで肝心の本論文が一向にacceptされない。
偏微分方程式の数値解法の大家による 環境流体シミュレーションを買う。バルハン砂丘のシミュレーションや火災旋風のシミュレーション などなかなかすごい。動画も満載。シミュレーションもこれ位やらないと話になら ないということだろう。卒研にいいネタ。
Maxwell modelの反応系は等温系であるという変な結果が導かれる。そもそも反応熱の 導入の仕方がおかしい。また取り扱いに勘違いがあるかもしれない。
修論発表。渦糸系の解析は実験家が興味を示す結果を出せただけでも合格に値する。 この分野をリードする実験家がそばにいて大規模数値計算をするPDが4月から加わる ことを考えると吉田君はいい時期にいいテーマに恵まれたと思う。今後の進展を期待 したい。
採点を今週中にやってしまう必要があるのでやり始めたが進まない。1/4終了。 どうも出題意図が伝わっていない問題がある。
午前は卒研生と議論。卒論提出後の訂正が入って4/3乗則はよりそれらしくなった。 もっとも低周波数側に出ているので一致は偶然かもしれない。 ASEPで時間相関関数を解析 した論文を眺める。
化学反応をrealisticに扱うことをいじいじとやるが駄目っぽい。ここは求めた計算 をベースに摂動をした方がいいかも。平衡系からの摂動だと反応率が発散するから この計算の方が役に立つ可能性がある。
Referee's reportを一つ仕上げる。後2つ。
NASDA主催の研究会をパスしようと思っていたが、熱心に誘ってくれるので行くこと にした。そこでスペース・シャトルの事故が起こったのだが研究会はどうなるの だろう。
疲れたので休憩とあいなった。図書館に行ったがあまり面白い本はなかった。
また歳を一つ取ってしまった。在宅で化学反応系の計算。先週の勘違いを正すと やはり一定の反応率をもつ Maxwell modelでの化学反応系では速度分布はべきになることを確認。一応 輸送係数も求めることはできるが変わり映えはしない。反応率をline-of-centers modelに変える画策もしたが不調に終った。
★ 1月