非線形波動の理論と応用

非線形波動の理論と応用

2001年11月14日ー16日九州大学応用力学研究所

場所:福岡県春日市春日公園6−1 九州大学筑紫地区共通管理棟3階大会議室
JR鹿児島本線「大野城」駅または西鉄天神大牟田線「白木原」駅下車
研究代表者:高橋大輔(早稲田大・理工)

特別講演
神部 勉 (力学系研究所) 「可積分系の幾何学的理論」
御手洗 菜美子 (九州大学大学院理学府) 「斜面上の粉体流とその安定性」
森田 善久 (龍谷大学理工学部) 「ギンツブルグ・ランダウ方程式とパターン形成・ダイナミクス」

プログラム

11月14日
13:00〜13:25 交通流セルオートマトンモデルにおける Euler-Lagrange 変換
松木平 淳太(龍谷大・理工) 西成 活裕(龍谷大・理工)
Rule184 などの交通流セルオートマトンには、Euler 的表現と Lagrange 的表現が存在する。本講演では両者を結ぶ Euler-Lagrange 変換について、議論する。
13:25〜13:50 信号機付き Burgers Cellular Automaton
橋詰 真美(早大・理工) 志田 篤彦(早大・理工) 高橋 大輔(早大・理工)
BCAから , 線形化可能な形を保ったまま , 信号機付きの交通流モデルが出来ることがわかった。この信号機付きBCAで , 規則的な信号機やランダムな信号機を設けた場合の交通流の解析を行う。
13:50〜14:15 周期離散戸田方程式と周期箱玉系
君嶋妙子(東大・数理) 時弘哲治(東大・数理)
周期離散戸田方程式の初期値問題の解法と、その周期箱玉系への応用を説明する。時間が許せば、箱の容量が1、玉の種類が1種類の場合に基本周期を与える公式と、任意の初期値状態から終状態を厳密に決定できることの証明、可解格子模型との対応についても説明したい。
14:15〜14:40 結合型KP階層における結合戸田格子とその簡約
Ralph Willox(東大・数理)
結合 KP ヒエラルキーに付随して結合戸田格子の構成が可能であることを示し、その結合格子の簡約を実例を挙げて説明する。特に、結合 sine-Gordon 系 や結合 Tzitzeica 系とこれらの Pfaffian 型 tau 函数を議論する。時間によって、上述の方程式の離散化の実例も言及する。
15:00〜15:25 cKP方程式系のさまざまな解について
礒島 伸(東大・数理) Ralph Willox(東大・数理) 薩摩 順吉(東大・数理)
cKP方程式のソリトン解は、一般によく知られている他のソリトン解と比べて、多くのパラメータを持つ。これに注目して、cKP方程式やそれからreductionで得られる方程式のソリトン解からresonant解などのおもしろい振る舞いをする解を実現し、解析する。
15:25〜15:50 Relativistic Deformation of Integrable Lattice Systems and Discrete Soliton Equations
丸野 健一(九大・応力研)
近、Surisによって導出されたRelativistic Lotka-Volterra LatticeをはじめとするRelativistic Soliton Latticeをτ函数の観点から調べ、Discrete Soliton Equationとの関係を明らかにし、τ函数を用いてSoliton EquationをRelativistic Deformationする方法について、具体例を用いて考察する。
15:50〜16:30 Supersymmetric soliton equations
A. Ramani(Ecole Polytechnique) B. Grammaticos(Universit\'e Paris VII) A. S. Carstea(Institute of Physics and Nuclear Engineering)
Using the bilinear formalism we show how to construct the multi-soliton solutions of the supersymmetric (fermionic) extensions of integrable PDE's. From their similarity reductions we obtain supersymmetric Painleve equations.
16:50〜17:15 \widetilde{W}(A^{(1)}_1) × \widetilde{W}(A^{(1)}_3)の双有理表現と離散パンルヴェ方程式
竹縄 知之(東大・数理)
梶原らによって提唱された拡大Weyl群\widetilde{W}(A^{(1)}_{m-1} × \widetilde{W}(A^{(1)}_{n-1})の双有理表現について,特にm=2,n=4の場合に,初期値空間と離散Painlev\'e方程式との関係を調べる.
17:15〜17:40 q-Painlev\'e III 方程式: 対称性・特殊解・一般化
梶原 健司(九大・数理) 野海 正俊(神戸大・自然) 山田 泰彦(神戸大・自然)
$q$-Painlev\'e III 方程式と呼ばれる差分方程式の対称性を議論し,それが A_1^{(1)}×A_1^{(1)}型アフィンワイル群になっていることを示す.また,特殊解として,2種類の Riccati 解と Umemura多項式型の多項式の比で表される有理解を構成する.さらに,対称性の観点からの一般化と q-KP 階層との関連について触れる.
17:40〜18:05 q-Painlev\'e V 方程式の有理解
増田 哲(神戸大・自然)
Painlev\'e V 方程式の有理解は Laguerre 多項式を要素とする行列式で表され,その行列式表示は universal character の特殊化と見做すことができる.本講演では,q-Painlev\'e V 方程式を考察し,その有理解が P_{\rm V} と同じ構造の行列式で表されることを報告する.行列式の要素は continuous q-Laguerre 多項式で与えられる.
18:05〜18:30 トロイダル対称性に基くソリトン方程式の(2+1)次元化
筧 三郎(立教大・理) 池田 岳(岡山理科大・理) 高崎 金久(京大・総合人間)
KdV方程式等の代表的なソリトン方程式は(1+1)次元の時空でのものである。これを可積分性を保ちつつ高次元に拡張する試みはいくつかあるが,今回の講演ではトロイダル・リー代数の対称性に基く方法を紹介し,これまでに知られている系との関係を議論する。

11月15日
9:00〜9:15 非一様性をもつ光ファイバー中のソリトン伝播
久保田 陽二(九大・理) 小田垣 孝(九大・理)
光ファイバー中のソリトンの運動は、非線形シュレディンガー(NLS)方程式で記述される。ファイバーの非一様性を考慮に入れ、係数に空間依存性をもつNLS方程式を数値的に時間発展させた。その結果、1ソリトンが、高次のソリトンに変化するパラメーター領域があることがわかった。
9:25〜9:50 離散非線形シュレーディンガー方程式における変調不安定解の相空間構造
後藤 振一郎(名大・理) 野崎 一洋(名大・理) 山田 裕康(名大・理)
高自由度ハミルトン系の基本的な相空間構造を理解を目指すため、時空離散 d-NLS Eq.を symplectic map として取扱い、その相空間構造解析を行う。本講演では特に変調不安定性による相空間の不規則化について報告する。
9:50〜10:15 非局所的非線形シュレーディンガー方程式の多重ソリトン解とその性質
松野 好雅(山口大・工)
有限深さの成層流体中を伝播する準単色波の変調は非局所的な非線形項をもつ非線形シュレーディンガー方程式で記述される。本公演では、この方程式の多重ソリトン解の直接証明を行列式の公式を用いて行う。さらに、解の性質について議論する。
10:15〜10:40 微分型非線形シュレディンガー方程式の拡張について
土田 隆之(東大・数理)
微分型非線形シュレディンガー方程式に関して、多成分拡張、可積分性を保った離散化、高階微分化(非線形項の微分の高階化)による拡張、などを考察する。
11:00〜11:25 高温超伝導体で見られるプラズマ非線形局在現象:非線形結合振動子の局在モード
町田 昌彦(日本原子力研・計算科学技術推進センター) 佐々 成正(日本原子力研・計算科学技術推進センター)
高温超伝導体の超伝導位相のダイナミクスは数学的には一次元非線形結合振動子モデルで記述される。本講演では、このモデルの数値シミュレーション結果を用いて非線形局在運動が示す様々な側面について系統的に報告したい。講演により非線形局在運動に対する理解を深める議論ができれば幸いである。
11:25〜12:20 斜面上の粉体流とその安定性
御手洗 菜美子(九大・理) 早川 尚男(京大・総合人間) 中西 秀(九大・理)
巨視的な大きさを持つ粒子の集まりである粉体系の流動は,長年研究されてきたが,いまだにその挙動を記述する枠組は確立されていない.本講演では,粒子の回転の自由度をとり入れた流体モデルである極性流体モデルによる粉体流の記述の試みを紹介する.
13:20〜13:45 湾曲境界面下における渦糸の運動に関する実験
舟久保 悠子(横浜国大・工) 渡辺 慎介(横浜国大・工)
渦糸の運動に関する実験を報告する。これまで平らな固体境界面を利用して渦糸の運動を制御してきた。今回、平板でなく、湾曲した境界面に接したときの渦糸の運動について報告する。
13:45〜14:10 回転するループソリトン
角畠 浩(富山大・工) 紺野 公明(日大・理工)
外部磁場と相互作用する内部電流を持つストリングは3次元Euclid空間上のループソリトン解を持つ。双線形方程式により,回転するソリトン解を導き,2ソリトン解の相互作用について述べる。
14:10〜14:35 ソリトンの斜め相互作用について
辻 英一(九大・応力研) 及川 正行(九大・応力研)
Benjamin-OnoソリトンやMKdVソリトンのOblique Interactionについて数値的に調べた結果を報告する.
14:55〜15:50 ギンツブルグ・ランダウ方程式とパターン形成・ダイナミクス
森田 善久(龍谷大・理工)
ギンツブルグ・ランダウ方程式は超伝導のマクロ現象を記述するため,ギンツブルグとランダウによって提出されたモデルに由来している。物理の方面では以前からよく研究されていたが,ここ10年余りの間に数学側からも活発に研究がおこなわれ大きく進展した。この講演では,パターン形成の観点からこの方程式の解の安定性と領域の位相や幾何学的形状との関連,および2次元領域での解の零点(ヴォルテクスと呼ばれる)のダイナミクスについて,これまでの数学的な成果を解説する。
15:50〜16:15 興奮性反応拡散方程式におけるパルスの分裂理論
早瀬 友美乃(九大・理) 太田 隆夫(広大・理)
興奮性を示す反応拡散系においてパルスの分裂現象が,計算機シミュレーションにて数多く報告されている.本講演では,単安定系の反応拡散方程式を解析し,パルスの分裂までを含めた界面方程式を構成する.
16:15〜16:40 進行パターンの変調を記述する拡散弱不安定な位相方程式
増冨 祐司(名大・理) 野崎 一洋(名大・理)
パターンの変調は位相場の発展方程式(位相方程式)で記述される。その方程式が拡散弱不安定な場合、現在まで、系を線形安定化さす項を方程式に加えることによってその不安定性を抑えてきた。今回、この様な線形安定な項がなくてもいくつかの非線形項でこの不安定性を抑えることができること示す。
17:00〜17:25 離散ミッタークレフラー関数
永井 敦(阪大・基礎工)
流体中の球形粒子の運動を記述するチェン方程式は非整数階微分を含み解析困難であったが,亀高により解がミッタークレフラー関数を用いて構成された.本講演ではミッタークレフラー関数を差分化し,チェン方程式の数値計算への応用についても述べる.
17:25〜17:50 可積分特異値計算法の高速化とその数値安定性
岩崎 雅史(阪大・基礎工) 中村 佳正(京大・情報) 辻本 諭(京大・情報)
我々は離散ロトカ・ボルテラ系による可積分特異値計算法を既に提案した.本講演では, このアルゴリズムに原点移動を導入することでさらなる高速化を行う.また, 数値安定となる原点移動量の設定方法についても示す.
17:50〜18:15 離散時間ソリトン方程式のある性質について
山本 純一(都立大・理) 齋藤 暁(都立大・理) 齋藤革子(横浜国大・工) 吉田 勝彦(北里大・一般教育)
有理関数型写像を導く離散時間ソリトン方程式について、それらが持つ性質について議論する.
18:15〜18:40 離散写像に伴う Hamiltonian flow について
吉田 勝彦(北里大・一般教育) 山本 純一(都立大・理) 首藤 啓(都立大・理) 齋藤 暁(都立大・理)
特定の離散写像の繰り返しを考えた時,その写像の初期値が時間の役割を果たすような Hamiltonian flow が存在することを示す.例として,可積分な写像である離散 KdV 写像と非可積分な写像であるエノン写像についてそれぞれ示し,さらに,q差分パンルベIV写像についても考察する.

11月16日
9:00〜9:25 Lie symmetryによる境界値問題の厳密解の構成
村田 宗一(名大・理) 野崎一洋(名大・理)
D.V.Shirkovらの、functinal self-similarityを使えば与えられた境界条件のみたす、解を構成でき、Lie symmetryから境界値問題を解くことができる。ここでは、wave beam のself-focusingの問題について、その例をあげる。
9:25〜9:50 標準形理論による摂動KdV方程式の解析
平岡 裕章(阪大・基礎工) 児玉 裕治(オハイオ州立大・数)
標準形理論は逓減摂動法などによって得られる可積分方程式に摂動項が加わった系を解析する為に導入された.講演では例を用いて標準形理論を解説する.また,佐藤理論を用いてリー変換とガードナー変換の関係を明らかにしリー変換の性質を考察する.
9:50〜10:15 Localized excitations as one of the sources of finite lattice thermal conductivity
武野 正三(大阪工大・情報科学)
1次元格子におけるlattice thermal conductivityの問題はその場合 Fourier law が成り立つか否か、熱伝導度は有限か否か等の問題等に関連して格子力学のみならず、統計物理学のなかでも完全に解決されていない最も基礎的な問題の一つである。格子系の非可積分性は有限の熱伝導を必ずしも与えない。本講演においては、非線形格子における局在モード、特に非線形回転モードが有限の熱伝導を与えるということを示す(数値計算の結果)
10:15〜10:40 ハミルトン系の全保存量を保つ差分化
峯崎 征隆(阪大・基礎工)
ハミルトン系に適用される差分法として、シンプレクティック数値計算法、GHI スキーム ( エネルギーを保存するスキーム )、変分原理を元にした差分化等が知られている。しかし、これらの計算法では一般に全ての系の保存量を保たない。本発表では Kepler 方程式の全ての保存量を保つ差分法を構成し、この差分法の性質を述べる。さらに、この差分法の構成法についても簡単に述べる。
11:00〜11:25 形式的に完全可積分な4階連立発展方程式の数え上げ
渡邊 芳英(同志社大・工) 伊藤 雅明(広大・工)
4階の連立発展方程式であって Sokolov-Shabat の意味で形式的に完全可積分なものを数式処理システム REDUCE を用いて数え上げる.その計算の全体はかなり膨大なものになり未完成である.今回は特別なクラスに限って,計算の途中経過をお話したい.
11:25〜11:50 Darboux-Lam\'e方程式とモノドロミー保存変形
大宮 真弓(同志社大・工) 浦久保 正美(大阪産業大・教養)
n次Lam\'e方程式が、ある種の退化条件を満たすとき、Darboux変換を用いて構成される代数幾何的楕円ポテンシャルを係数に持つトーラス上の線形常微分方程式の1パラメータ族が、n=2の場合は、適当な変数変換により超幾何方程式のモノドロミー同型族になることを報告する。
11:50〜12:15 古典微分幾何における可積分系(非線型ダランベール公式の観点から)
井ノ口 順一(福岡大・理)
サイン・ゴルドン方程式は負定曲率曲面の構造方程式(Gauss-Codazzi)であり元祖ベックルンド変換は負定曲率曲面の変換理論である。ここ15年の間に元祖ベックルンド変換は幾何学者の関心を惹き「古典微分幾何学」が現代の可積分系理論により再び研究されるようになった。現在ではサイン・ゴルドン方程式なみならず戸田方程式・パンルヴェ方程式を構造方程式にもつ曲面の研究が盛んに行われている。この講演では現代微分幾何の観点からサイン・ゴルドン方程式に対する無限次元リー群による解法理論を導入しそれが非線型版のダランベール公式と理解できることを説明する。
13:15〜14:10 可積分系の幾何学的理論
神部 勉氏(力学系研研究所)
可積分系の幾何学的理論を簡明に解説することを試みる.従来,Soliton Surface の理論が幾何学的理論としてよく知られている.まずそれを review してから,変換群(リー群)理論にもとづく力学系の幾何学的理論を提示する.これはゲージ理論を一般の力学系に応用したものと考えることができる.特に,KdV 方程式と渦線の Fukumoto-Miyazaki 方程式が,どのような類似の数学的構造の背景をもつかを示す.理論の骨格をなすのは,群上の接続,測地線方程式,Jacobi 方程式,Gauss-Codazzi 方程式等で,解のファミリーの時間発展はリーマン曲率(無限個)で特徴づけられる.(この理論をカオスや臨界現象に応用する研究もある.)
14:10〜14:35 再帰方程式とは
志田 篤彦(早大・理工) 岩尾 昌央(早大・理工) 高橋 大輔(早大・理工) 広田 良吾(早大・理工)
任意の初期値に対し一定周期を持つ方程式を再帰方程式と呼ぶ.再帰的超離散方程式と再帰的差分方程式の実例を紹介し,それらの再帰性の検証や超離散化による結びつきなどについて詳しく議論する.
14:55〜15:20 超離散化可能な再帰方程式系
岩尾 昌央(早大・理工) 広田 良吾(早大・理工)
最近離散可積分系として認識されつつある「再帰的差分方程式」の研究に関し>て報告する。本報告では、双線形形式に対して超離散化可能であるための条件を仮定し再帰的差分方程式を構成する発見的手法について述べる。
15:20〜15:45 再帰的差分方程式,
矢作 秀之(早大・理工) 広田 良吾(早大・理工)
可積分性を判定するテストとしてVialletらによって提出されている"algebraic entropy"を利用した再帰的差分方程式(任意の初期値に対して定周期的現象が発生する差分方程式)の構成法について述べる.
15:45〜16:10 再帰的差分方程式,II
広田 良吾(早大・理工) 矢作 秀之(早大・理工)
再帰的差分方程式は十分な数の保存量を持っているので可積分系である。保存量の生成法と再帰性がどのようなメカニズムで生成されるかその構造を説明する.