論文のコメントなど(工事中)

  1. arXiv:2008.07237 with Kohei Kawabata, Masatoshi Sato, "Higher-order non-Hermitian skin effect"
    角に非エルミート表皮効果が生じる系について,模型,表皮効果の数値計算,トポロジカル不変量としてのWess-Zumino項,表皮状態の解析計算など書いている. 他のグループの論文が先に出たので急いで出した.
  2. arXiv:2008.05499 with Seishiro Ono, Hoi Chun Po, "Z_2-enriched symmetry indicators for topological superconductors in the 1651 magnetic space groups" 前論文では超伝導体の対称性指標の分類の計算は行っていなかった.この論文で計算した. Mathematicaで磁気空間群を扱う環境を整えた. Z_2を含む群の計算手法については,Poさんから群の第3同型定理について教えて頂き,一気に計算が進んだ.
  3. arXiv:1907.13632, Ken Shiozaki,"Variants of the symmetry-based indicator" 角状態などを波数空間の不変量により特徴付ける仕事を見ていて, Symmetry-based indicator (SI)の構成する際のatomic insulaorたちを単位胞内部に制限すると 角状態などを検出するSIが系統的に構成できるのではないかと思い,その定式化を書いた. また,超伝導状態において,常伝導状態のSIとは異なるSIが定義されることに気がついたので,それも書いた. 超伝導状態のSIについては,論文を準備しているうちに他のグループの論文が先に出た.今回は定式化だけ.
  4. arXiv:1907.09354, Ken Shiozaki,"The classification of surface states of topological insulators and superconductors with magnetic point group symmetry" 任意の点群対称性についてもK群の計算がClifford代数の拡大問題に帰着する, とのCornfeldとChapmanの結果が出て,自分でも定式化した. 空間一様なDiracハミルトニアンに加えて,空間変調する巻き付き数1の質量項が存在する場合も Diracハミルトニアンの分類ができることに気がつき,両者を比較することで,トポロジカル絶縁体・超伝導体の点群対称な表面状態の分類を得た.
  5. arXiv:1810.00801, Ken Shiozaki, Charles Zhaoxi Xiong, Kiyonori Gomi, "Generalized homology and Atiyah-Hirzebruch spectral sequence in crystalline symmetry protected topological phenomena" SPT相は一般コホモロジー理論で記述できる[Kitaev]のであれば, 一般コホモロジーのAtiyah-Hirzebruchスペクトル系列にはSPT相として解釈があるのではないかと思い, 関連する論文を書いていたCharlesさんにAPS3月会議で会い,始めた話題.Song-Huang-Fu-Hermeleなどを検討するうちに, コホモロジーではなく実空間上の一般ホモロジーとして定式化できることに気が付いた. SPT相に関連する話題のうち,特に点群,空間群に関連する部分については, 一般ホモロジー理論とAtiyah-Hirzebruchスペクトル系列,という枠組みでだいたい記述ができる,というのが論文の内容.
  6. arXiv:1802.06694 Ken Shiozaki, Masatoshi Sato, Kiyonori Gomi, "Atiyah-Hirzebruch Spectral Sequence in Band Topology: General Formalism and Topological Invariants for 230 Space Groups" Atiyah-Hirzebruchスペクトル系列をバンド理論の観点から解説した. E_1ページがセル内の(i)ギャップのあるハミルトニアンのデータ,(ii)ギャップレス状態のデータ,及び(iii)特異 点のデータであることを示し, E_rページの微分d_rの構成方法について議論している. 計算例として,空間群230個について複素K理論のE_{infty}ページを計算し, クラスAとAIIIに おけるトポロジカル不変量の分類を与えた.
  7. arXiv:1710.01886 Ken Shiozaki, Hassan Shapourian, Kiyonori Gomi, Shinsei Ryu, "Many-body topological invariants for fermionic short-range entangled topological phases protected by antiunitary symmetries" 1607.03896,1609.05970に引き続いて,反ユニタリな対称性(時間反転対称性など)によって保護されたフェルミオン・トポロジカル相の トポロジカル不変量の構成を進めた. 例として,多体系におけるKane-Mele Z2不変量がある. 演算子形式において向き付けのない時空を表現するため,”フェルミオンの部分転置(fermionic partial transpose)”を導入し,その性質を詳しく書いた. (1607.03896において導入したものと特別な場合において一致する. 1607.03896を書いた際は,fermionic partial transposeがなぜそのような形で定義されなければいけないのかについて全く納得していなかったので, 本論文で納得できる形で定式化した.) また,複素フェルミオン場 のpin構造の性質について詳しくまとめた. (Class AIIに対応するpin^{\tilde c}_+構造の障害類,トポロジカルセクターの分類など五味さんに質問したところ, 10通り のAZクラス全てについて解説をして頂き,Appendix Dがそれである.)
  8. arXiv:1701.08725 Ken Shiozaki, Masatoshi Sato, and Kiyonori Gomi, "Topological Crystalline Materials -General Formulation, Module Structure, and Wallpaper Groups-" トポロジカル結晶絶縁体・超伝導体におけるK理論の計算手法について具体例を交えて解説した. 特にMayer-Vietoris系列を用いた計算手法とK群の加群構造の有用性について詳しく書 いた. VIII章は計算を全て書き,対応する格子模型など示したので,計算を追うとK理論の計算が物性物理の言葉で理解できるようになっている.
  9. arXiv:1609.05970 Ken Shiozaki, Hassan Shapourian, Shinsei Ryu, "Many-body topological invariants in fermionic symmetry protected topological phases: Cases of point group symmetries" 基底状態の波動関数が与えられたときにFermionのSPT相を特徴づける多体のトポロジカル数(秩序変数)をどのように構成するのかを考えた. この論文では主に点群対称性に注目し た.FermionのSPT相は同境類(cobordism group)によって分類されることが知られており, その同境不変量を演算子形式に翻訳する,という戦略を取った.表面状態を用いた解析計 算,及びバルクの数値計算により, 提案した多体のトポロジカル数が機能することを示した.特に,空間3次元で反転対称性のあるフェルミオンのSPT相のZ16不変量が, バルクの部分 的空間反転操作,及び球面上の表面状態に対するantipodal mapで与えられることを示した.
  10. arXiv:1607.06504 Ken Shiozaki and Shinsei Ryu, "Matrix product states and equivariant topological field theories for bosonic symmetry-protected topological phases in (1+1) dimensions" 空間1次元における異なる2つのSPT間の記述に使えるのではないか,ということでイリノイ大に移り最初に薦められた論文がMoore-Segal. 結局は空間1次元のボソンのSPTと等価だ ということが分かり新しいことは出なかったが,記録としてまとめた. Open and closed, equivariant, state sumなどのTQFTの概念がSPTの言葉で理解できるように書いた.
  11. arXiv:1511.01463 Ken Shiozaki, Masatoshi Sato, and Kiyonori Gomi, "Topology of nonsymmorphic crystalline insulators and superconductors" 前結果を拡張し,点群が位数2の非共形空間群(映進,2回螺旋など)+ Altland-Zirnbauerの10通りの対称性クラス, という枠組みでトポロジカル結晶絶縁体・超伝導体の分類を 行った.特に,時間反転と映進の対称性が共存する場合はZ4により分類されることがわかった. 独立して,同時期にWang-Alexandradinata-Cava-BernevigによるZ4=2の状態の理論的発見と実験提案があり,また結果が被ってしまった.
  12. arXiv:1502.03265 Ken Shiozaki, Masatoshi Sato, and Kiyonori Gomi, "Z_2-topology in nonsymmorphic crystalline insulators: Mobius twist in surface states" 映進対称性によって守られたトポロジカル結晶絶縁体の分類の,K理論による計算結果がZ2であるという五味さんの結果を受けて, それを物性物理の文脈で理解した論文.表面状態が バルクから離れて, かつ2つのバンドがペアでブリルアンゾーンの1方向に巻きつくような構造をしているので"Mobius twist in surface states"と名付けられた. Fang-Fuによって同じ結果を先に出されてしまい,こちらも急いで出した.
  13. arXiv:1403.3331 Ken Shiozaki and Masatoshi Sato, "Topology of crystalline insulators and superconductors" Morimoto-Furusaki によって鏡映対称なトポロジカル結晶絶縁体・超伝導体の分類は Clifford 代数の拡大問題として綺麗にまとめられており, それを行けるところまで,任意の位数 2の点群に,拡張した.
  14. arXiv:1310.4982 Ken Shiozaki and Satoshi Fujimoto, "Dynamical axion in topological superconductors and superfluids" ある種の磁気ゆらぎにより磁気電気分極のゆらぎ,つまり動的axion場が誘起できることが Li-Wang-Qi-Zhang により提案されていたので, その超伝導ゆらぎ版を考えた,というも の.p波のトポロジカル超伝導体の系において,複素s波のゆらぎが動的axion場を誘起し, スピン軌道相互作用の存在が動的axion場の実現にとって有効であることなどを議論した.
  15. arXiv:1210.2825 Ken Shiozaki and Satoshi Fujimoto, "Electromagnetic and thermal responses of Z topological insulators and superconductors in odd spatial dimensions" Class AIII, DIII のような自由フェルミオンの範囲内で分類がZで与えられるトポロジカル絶縁体・超伝導体における,Z不変量と物理量との対応を考えた. 結果は表面のギャップレス 状態に対しギャップを誘起する摂動を対称性に応じて上手く選べばZ不変量と関係づく電磁応答,熱応答が導けるというもの. 他にもClass AIIIトポロジカル絶縁体におい て,”projected chiral density”の3-bracketとZ不変量の関係など扱っている.
  16. arXiv:1203.2086 Ken Shiozaki, Takahiro Fukui, and Satoshi Fujimoto "Index theorem for topological heterostructure systems" 接合系のような,欠陥を特徴づける空間変化のスケールがバルクのエネルてギー・ギャップに比べて無視できない場合に, Dirac模型の範囲内で欠陥ゼロ状態を特徴づける指数定理の構 成を試みた. 考えているうちに Niemi-Semmenoff が同じ状況を扱っていることに気がついたので,その応用例という形に.
  17. arXiv:1111.1685 Ken Shiozaki and Satoshi Fujimoto, "Green's function method for line defects and gapless modes in topological insulators: Beyond the semiclassical approach" トポロジカル欠陥に局在するギャップレス状態に関するTeo-Kaneの分類方法の,磁気電気分極θが変化する強磁性体-絶縁体界面への適用を試みたこころ, 半古典ハミルトニアンでは 接合界面のエネルギー・ギャップを正しく記述できず, それで半古典近似をやめて真面目にエネルギー固有状態を解いてGreen関数の巻きつきを計算したというもの. 結果はTeo- Kaneと一致し,”トポロジカルな現象”はギャップが保たれている限りどのように計算しても結果は変わらない, ということを実感した良い経験になった.

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