素粒子物理学における最も重要な課題の一つは標準模型を越える物理の探求である。 Higgs 粒子の 発見で知られる CERN の LHC 実験が従来よりも高い粒子のエネルギーにより標準模型を越える物 理の探索を試みるのに対し、それと 相補的な方法として、ニュートリノを中心としたレプトンセク ターにおいて新しい物理を探索するのが本研究の目的である。具体的には、近未来の大強度ニュー トリノ加速器実験・超大型ニュートリノ観測施設における精密実験により測定できると予測される、 標準的な3世代の枠組みからのずれに注目して標準模型を越える物理を探求するための現象論的研 究を行う。特に、標準的な三世代のニュートリノ混合のシナリオで説明できない実験結果が現時点 でいくつか知られており、その解釈としてステライルニュートリノ・非標準相互作用などの新物理の 存在が提唱されている。本研究ではそれらの現象が標準模型で説明できるのか新物理が必要なのか を検討し、現在の国内外のニュートリノ研究計画の次の段階に指針を与えることを目指す。